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学び舎の緑風  作者: 瓶覗
414/477

414,ダンジョンのボス

 大量の魔物を倒しきった後に出てきた階段を降りて、その先にあった大きな扉の前で一度止まる。

 ここがこのダンジョンの最下層だ。この扉の先に居るボスを倒して、ダンジョンの核を壊したらクエストは完了になる。


 まあ、その後来た道を戻るわけだから、まだまだ時間はかかるけどね。

 さてそんなわけで、扉前での小休憩を終えたらダンジョンの最奥に住むボスとの戦いだ。

 魔力は十分残ってるし、先ほどの魔物大量発生のおかげでいい感じに戦闘のテンションが保たれているから調子は抜群にいい。


「大丈夫かな?」

「私は大丈夫」

「私も!……あ、待って会話用の魔法組んでおこう。多分セルちゃん上に居るよね」

「そうだね。これに混ぜちゃう?」

「いいねぇ!」


 今のうちに灯りの魔法に音魔法を混ぜ込んで、会話が出来るようにしておく。

 確かにボス戦じゃあ私もリオンも離れた位置にいるもんね。

 完全に魔法撃ちまくるテンションだったから、その辺全然考えてなかったわ。


「おーっし、行こうぜ」

「リオン身体強化いる?要らないなら防御とロイの身体強化に徹するけど……」

「あー……とりあえず要らねぇかな。駄目そうならそっち行くわ」

「分かったー」


 とりあえず必要な作戦会議もどきだけ終わらせて、最奥の大きな扉を押し開けた。

 円形の部屋の中央に鎮座していたのは、でっけぇ鹿のような魔獣だった。

 ……鹿か?あれ。四つ足で角があって……でも尻尾長いな?


「シャム、あれなにー?」

「あれはダンジョンのボス!通称はキングホーン!」

「どこ斬りゃいいんだ?」

「普通に胴体と頭!角は硬いから避けて!あと尻尾も硬いから!」

「了解。胴体狙う」

「俺首狙うわ。セル上か?」

「うん」


 ダンジョンのボスは色んなダンジョンで同じのが出るのかな?

 そしてダンジョンのボスはダンジョンの最下層以外には居ないんだろうな。あの断言の仕方は、そんな感じがする。


 もしかしてダンジョンのボス一覧とかあるのかな?

 なんか気になってきた。戻ったらシャムに聞いてみよう。

 帰り道で聞いてもいいかもしれないけど、阻害系のダンジョンで雑談は危険だよなぁ。


「さあ、行こうか」

「来るよー!」

「上がりまーす」

「セル、俺も傍まで運んでくれ」

「はいよー」


 一気に起こした風に乗って空中に上がり、リオンを回収してボスに近付き、適当な位置に降ろす。

 後は好きにやるだろうから、私はもう少し上にいよう。

 ロイたちはあの位置か。とりあえず反対側に陣取っておこうかな。


「セルリア、雪魔法使える?」

「使えるよ。準備する?」

「お願い。氷も効くらしいから、余裕があればそっちも撒いて欲しいな」

「……あの見た目で寒いの駄目なんだ!?」


 もこもこなのに……あんなに寒冷地仕様っぽいのに……

 炎とかの方が効きそうなのに、寒いの駄目なんだ……

 衝撃を受けつつ雪魔法を練って準備して、リオンに合図として風を一つ送ってからボスの真上に雪を降らせた。


「……お?なんか動き鈍い?」

「セルちゃーん!そのまま氷ぶつけてー!」

「分かった!リオン動ける?」

「風くれ、踏んでくわ」

「はいよー」


 氷の準備をしつつ、リオンのいる場所からボスのいる場所まで風の道を作っておく。

 薄くてもリオンは器用に歩いて行くから、あんまり分厚くしなくても大丈夫だ。

 リオンが来る前に一発氷を撃っておいて、リオンが来たら邪魔しないように位置を調整する。


 器用に風に乗ってボスまで近付いたリオンは、勢いを乗せて大剣を振り切り……ガキンと音を立てて弾かれた。

 マジか。まさかリオンがしっかり弾かれるとは。


「リオン大丈夫?」

「くそ硬ぇぞアイツ!?」

「一回シャムの所まで飛ばすね。私足止めする」

「おう、頼むわ」


 リオンを風に乗せて吹き飛ばし、再度氷と雪の魔力を練ってボスにぶつける。

 やっぱり鈍くはなっているみたいだから、とりあえず時間稼ぎは出来そうだ。

 後はリオンがあれを斬れるかどうかなんだけど……


「セルリア」

「はいはーい?」

「リオンの準備に少し時間がかかるから、その間にやって欲しいことがあるんだ」


 動けないようにボスの周りを雪で埋めていたら、ロイが傍に来ていたので一度高度を下げる。

 準備に時間がかかるってことは、シャムが何か補助の魔法でもかけてるのかな。

 ……というか雪と氷撒きすぎてちょっと寒くなってきたな。風の膜厚くしよ。


「角の付け根を狙い続けて欲しいんだ」

「角の付け根……なるべく根元?」

「うん」

「分かった。属性は何でもいいんだよね」

「そうだね。それと体毛に見える部分、あれ全部鱗というかとげだから、触らないように気を付けて」

「とげなんだあれ……だから寒いの駄目なんだ……」


 一見モフモフに見えても、全然モフモフではないんだな。なーんだ。

 納得したので高度を上げて、風の攻撃魔法を準備する。まだ雪も氷も残ってるから、リオンの準備が終わるまで角を狙い続けてみよう。


「疾風よ、刃と成れ」


 右手を軽く上げて、その上に魔法を練り上げる。

 風の槍は一撃の威力を重視した攻撃魔法なのでここでは使い勝手が悪い。

 なので今回は、似たような効果だけど威力が弱く、連発できるものを選んで準備した。


 前からちょこちょこ使っていた魔法ではあるので、威力も精度も十分だ。

 手の上で一気に五つほど作ったそれを構えて、狙いを定めて後ろから放っていく。

 一発当たると避けようと顔の向きを変えるので、私も場所を変えて再度狙う。


 ボスの上をフラフラ飛び回りながら魔法を放ち、付け根に当たってカンカン音が鳴っているのを確かめる。うーん、これ本当に硬いな……

 とんでもない強度だぁ、とのんびり構えていたら急にとげを飛ばしてきたので、避けるために思い切り高度を上げる。なるほど、本来の攻撃手段はあんな感じなのね。


「セルー!」

「はいよー」


 上から狙いを定めていたら、リオンが雪のないところまで進んで来ていた。

 剣になにやら魔力が付属されているから、あれが斬るための準備だろうな。


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