表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
学び舎の緑風  作者: 瓶覗
413/477

413,攻略三日目

 ダンジョン攻略も三日目になり、私たちは地下十六階まで降りて来ていた。

 引き返す目安である二十階まではあと四階。それまでに最下層があれば攻略完了だけど……


「セル床!」

「ほい!」


 もう正直、残りどれくらいとか考えてる余裕はあんまり無かったりする。

 コーンッと勢いよく杖で地面を叩いて全員を浮かせたところで、地面が開いてゆっくりと元に戻った。

 下がって、下がって……よし、ここは安全。


「ふー……よし、一人ずつ送るよー」

「二人とも反応速度が凄いね」

「踏むまで分かんねぇのに、踏んだらどれか分かるんだよな」

「何その特殊能力」


 基本的に先頭を歩くリオンが罠を発動させて、それが攻撃だったら自分で対処、落とし穴だったら先ほどのように私が風を起こして落ちないようにする。

 この対処法の精度がどんどん上がっていて、落とし穴に関してはかなり避けれるようになってきた。


 避けれるようになってきたとはいえ、普通に落ちることもあるし、常に警戒していないといけないからかなり疲れる。

 セーフエリアで休んでるし、寝てもいるけど、どうしてもねぇ。


「よーし」

「セルちゃん大丈夫?魔力消費増えてない?」

「集中力が死んできてる。反射だけで生きてる」

「あの速度で全員を浮かせられるなら大丈夫な気もしちゃうね。……次のセーフエリアで少し休もうか」

「はーい」


 私は何も考えずに風を吹かせてる時の方が強い可能性すらあるからね。

 魔力の消費量が増える代わりに、反射だけで生きてるから威力は上がるのだ。

 消費量が増えるとは言っても私の魔力量からするとさほど問題でもなく、集中力が切れたら早々に諦めて反射行動に切り替えている。


 なーんも考えないで風を吹かせておいて、後はロイの後ろにくっ付いていくだけだ。

 リオンに呼ばれたらとりあえず風を吹かせる、ロイに呼ばれたらちゃんと話を聞く。そのくらいしか考えてないけど、ちゃんと思考を回してくれる人が二人もいるからどうになっちゃうんだよね。


「……お?広いとこ出るぞー」

「セーフエリア……ではなさそうだね。ロイー?」

「あー……なるほど。この下が最下層みたいだね。セルリア、おいで」

「どこかに階段があるの?」

「いや、これから出てくる」


 呼ばれるままロイの傍に寄って、目の前の広場に足を踏み入れる。

 入って数歩進んだところで後ろから音がして、振り返ると入ってきた道が閉じて戻れなくなっていた。


「……あー……なんだっけこれ……授業でやった記憶あるんだけどなぁ……」

「考えてみる?」

「時間無さそうだしいいや。正解は?」

「魔物の大量出現。追加も来るから、全員距離近めで行こうか」

「おう」

「私一旦壁張るね。セルちゃん攻撃でいいよー」

「分かった。いっくぞー」


 部屋の中央に陣取って、背中合わせて各々武器を構える。

 魔法使いは動かないことのデメリットってそんなにないから、ここからドカドカ魔法を撃っていけばいいだろう。


 杖で強く地面を叩いて起こった風を一つに集める。

 とりあえず狙うのは正面。あとは、私の左側にシャムが居るからそっちにも少し意識を裂いておいたほうがいいかな。


「おー、すげぇ量。俺もう一歩前行くわ」

「分かった!隙間魔力で埋めとくねー」

「……あ、上にも居る。私あれ狙う」

「了解。シャムは防御に徹していいよ。セルリアも、狙い辛ければ上にあがっていいから」

「はーい」


 背中にシャムの魔力が当たっているのを感じつつ、風で見つけた魔物を狙って魔法を放つ。

 最悪落ちてくればリオンが倒してくれるから、まずは当てるだけでいいかな。

 増えるなら上は私が殲滅する感じになるだろうけど……とりあえず今は数いないし、まだ地上でいいだろう。


 風だけじゃなくて氷も作って、風に乗せて氷も放っておく。

 前方にばら撒いておけば半分くらいは倒せる威力があるんじゃないかな?

 それでも倒せてないやつは各個撃破でいいから、まずは数を減らそう。


「……お?なんかでかいのが出てきた」

「セルー!上のどうにかしてくれー!」

「はいよー。私飛ぶね」

「オッケー。シャム、少し距離詰めようか」

「分かった!」


 上にでかいのが飛び始めたかな?と思ったらリオンからヘルプコールが来た。

 ロイに声をかけてから空中に上がり、先ほど風で見つけたでかいのを探す。

 おぉ、でかい鳥みたいなのがいるわ。


 他の魔物を足で掴んで放り投げているようで、リオンは急に降ってくる魔物が鬱陶しいらしい。

 ならまあ、手っ取り早く動けないようにしようかな。

 私に向かってくる魔物を避けつつ、魔力を練って鳥に右手の人差し指を向ける。


「サンダー」


 バチバチと音を立てて放たれた雷魔法が綺麗に当たり、グギャアみたいな鳴き声と共に鳥型魔物が落下したのを確認してその真上に移動する。

 足元に氷を作って鋭く削りだし、それを踏んで魔物に突き刺した。


「……処理完了。上の魔物倒すね」

「了解、ありがとう」

「セル!ついでにその奥のやつも頼む!」

「どれ?これ?」


 部屋中に撒いた風に音を乗せて運ぶと、ロイとリオンから返事が来た。

 リオンの言ってるのはどれだ……?なんか他と見た目違うし、これかな?

 浮き上がって上の魔物へ風をぶつけながら、適当にあたりを付けて雷魔法を撃ち込んだ。


「それだー!」

「オッケー!」


 これも氷で潰しておこうかな。と、思って魔力を練っていたら、下から衝撃が来て練りかけの魔力が砕けた。

 おやまぁ、このタイミングで潰してくるのか。


「これ強い奴だ。周りの倒してリオンも来て」

「おう」


 リオンがわざわざ指定してくるだけはあるなぁ。

 とりあえず私は上の方を飛んでる魔物を全部落として、リオンの合流を待とう。

 さっきロイの方を確認したけど、普通に戦えてたから大丈夫そうだった。


 向こうはシャムもいるし、私とリオンがあの強いのを倒す感じで良さそうだ。

 ……うん、ロイも片手上げてる。あれは行って良しのサインなので、さっさと倒してしまおう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ