表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
学び舎の緑風  作者: 瓶覗
412/477

412,長時間のダンジョン攻略

 家からフォーンに戻ってきて、二日ほどのんびり過ごした後。

 色々と準備を整えて、私たちはダンジョン攻略に向かうことにした。

 今回は今までに行った場所とは違い、まだ攻略も終わっていないし何階層あるかも分かっていない場所の攻略なので、準備は念入りに。


 あまりに深いようなら最下層に到達していなくても引き返す予定ではあるらしいけど、出来ることなら最下層まで行って核の破壊もしたいらしい。

 私たちが引き返す目安は地下二十階なので、そこまでに最下層があれば核を破壊して帰ることになるかな。


「そろそろ入口が見えると思うけど……あぁ、あった。あれだね」

「地図作りながらだよね。いつも通りリオン先頭で、セルちゃんが最後尾?」

「そうだね。先に灯りだけ作っておこうか」


 ダンジョンの入口前で一度止まり、マッピングのための道具を取り出しているロイの横でシャムと一緒に灯りを作る。

 四つ作って一人一個傍に浮かべて置けるようにして、これで私たちの準備は終了だ。


「このダンジョンは阻害系だから、壁とかには基本触れないようにしてね。魔物より罠が多いと思うから、リオンも魔視で確認してほしい」

「おう。壁触ったらどうなんだ?」

「最悪壁に取り込まれる。毒があったり、魔力阻害があったりもするかな」

「おぉ……」

「……みんなの周りに薄く風の膜作っておこうか?」

「そうだね、出来ればその方がいいかもしれない」


 コンッと杖で地面を叩いて、リオンから順番に風で包んでいく。

 灯りは……まあ、外でいいか。そんなに厚い風じゃないし、中には入らないかな。

 ロイの風はちょっと広めにしとこうかな。地図書くのに邪魔にならないように……よし。


「オッケー」

「よし、行こうか」


 杖を持ち直して先に歩き始めた三人の背中を追いかける。

 ……うわ、すごいなこれ。今までのダンジョンとは、なんというか、空気が違う。

 風の槍でぶっ壊しに行ったダンジョンは魔法系だったんだけど、それとも違う感じだ。


「やーな感じ」

「どこに何があるかとか、分かる?」

「んー……分かんない。もう壁とか全部やな感じする」


 索敵はいつも通り出来るだろうけど、阻害系のダンジョンは敵より罠が多いらしいしあんまり意味はないかもなぁ。

 とはいえやった方がいいことに変わりはないから、索敵用にも風を作って周りに撒いていく。


「あ、やべぇ」

「カチッていった!スイッチ見えない!」

「セルリア、後ろ何か居る?」

「居ない。……あ、通路閉じたかも」

「分かった、進もう」

「大丈夫なやつか……?」

「帰りは別の道になるかもしれないけど、退路が消えただけならまだ大丈夫だよ」


 リオンが探知できないんならもう仕方ない、って感じするよね。

 退路が消えたの、割とマズイ気もするんだけど……ロイが落ち着いてるなら、まあ大丈夫なんだろうなぁ。


 ……それにしても、本当に魔物より罠の方が先に来るとは。

 流石に一階入口付近には魔物が居るもんかと思ってたんだけどな。

 まあ、潜って行ったら居るんだろう。魔物の対処をしようと思ったら罠を踏むとか、そういうのが後半は多いんだろう。


「お、分かれ道」

「右から行こうか。リオン足元気を付けて」

「おう」


 リオンとロイの会話を聞きつつ、風を散らして周囲の様子を探る。

 分かれ道の後は特に、後ろから魔物が来てないか注意しないといけないからね。

 そんなわけで索敵をしていたら、リオンが急に足を止めた。


「わっぷ……」

「大丈夫?ごめんね」

「平気……なんかあった?」


 シャムとロイはしっかり止まれたみたいだけど、私は風に意識を向けていたせいでうっかりロイの背中に衝突してしまった。

 とりあえずロイに杖が当たってないことを確認してから、背中越しに前を窺う。


「なーんかある気がすんだよなぁ……」

「むむ……魔力は特に変な感じしないなぁ」

「リオンの勘は当たるからね、ちょっと確認してみよう」


 どうやらリオンが床に違和感を感じるらしく、一回確認をするためにロイが前に移動する。

 入れ替わるように私の前に来たシャムが灯りをチカチカさせているので、とりあえず風で包んでみたら満足そうに笑顔になった。


 構われたがりめー。もう一周風を追加してやろう。

 ほれほれ、と無言のままシャムと戯れていたらロイの確認作業は終わったらしく、床を踏まなければ発動はしないらしいので一人ずつ私が浮かせて運ぶことになった。


「どこまで行けばいい?」

「もう少し。……ここで大丈夫」

「はーい」


 一番最初にロイを浮かせて、罠のない場所を教えてもらう。

 後は順番に一人ずつ手を繋いで浮かせて運び、三往復して自分も着地すればオッケーだ。

 こういう時に飛べるのは便利だよねぇ。魔法使い無しでダンジョン攻略する人たちも普通に居るけど、どうやってるんだろう。


「あれなんだったんだ?」

「多分落とし穴だね、どこまで落ちるかは分からないけど」

「……下の階に行けるのか?」

「いや、最下層への階段へは行けなくなってるはずだよ。階段を見つけて、ここまで上がってこないと先に進めない」

「おわ……めんど……」

「落ちないに越したことはないよねぇ」


 落下しても衝突する前に風は起こせるけど、落とし穴が閉じちゃうとしたら登れないしなぁ。

 ……というか、リオンは良く気付いたね。シャムが見て分からないってことは、魔力とかの違和感はないはずなのに。


 私の杖の変化に気付くくらいだし、鬼人ってそういう判別得意なのかな?

 それか、鬼人は関係なくてただのリオンの特殊能力か。

 ……どっちもあり得そうだから、いつかしっかり確かめたいよね。


「さて、進もうか」

「はーい」


 風の量を調整するのに杖で一度地面を叩いて、少しだけ量を減らす。

 多すぎても邪魔になりかねないから……うん、このくらいかな。

 なんてやっている間に三人はいつもの並びに直っていたので、その後すぐに攻略を再開した。


 一階はすぐに階段を見つけられたけど、二階は中々に時間がかかったし、三階は罠が増えて大変だった。

 ちなみに四階では落とし穴に落ちた。落ちた床はしっかり閉じやがったので、階段を見つけて上がらないといけなかった。やたらと疲れた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ