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学び舎の緑風  作者: 瓶覗
348/477

348,討伐対象、確認

 淹れて貰ったお茶を飲みながら、レイラのお母さんと魔法について少し話をした。

 今は早朝で、リオンは私と入れ替わるように仮眠を取りに行き、ロイが起きて来るまではもう少しだけ時間があるので今は二人だけだ。


 杖の事や魔法の種類のほかに、フォーンの学校でどんなことをしているのか、とかも話した。

 シルフィードの声を完全にではなくても声として認識出来ては居たので、少なくとも一定以上は風魔法の適性があるはずだ、とかそういう真面目な話のほかに、飛べるの楽しいとかいう単なる私の感想みたいなことも話した。


 レイラのお母さんは、レイラが望むならフォーンの学校にも行かせたいらしい。

 魔法の適性があると言っても、この村では教えられる人が居ないからしっかりと学べる場所で安全に学んでほしいんだとか。


 確かに、入学した後で自分に魔法の適性があったことを知る人も結構居るし、学校でなら始めての杖の選び方とかも教われるのかもしれない。

 私は入学前から飛び回ってたからなぁ。そのあたりはあんまり知らないのだ。


 そんな話をしている間にロイが起きて来て、レイラのお母さんはロイにもお茶を出してから朝食の支度をすると言ってキッチンに去って行った。

 ロイと二人きりになって、朝食を待っている間に昨日私が寝た後にしていたという話を聞いておいた。


「じゃあ、直接行くのは私とリオンだけなんだね」

「うん。僕とシャムは出来る限り近付くけど、中心部の暴風には耐えられないだろうからね。ギリギリ飛ばされない所まで行って、そこから援護するよ」

「分かった。具体的な作戦とかは?」

「ビャンヒィの討伐例自体があんまり記録に残ってないから、僕もシャムも基本知識しかなくて……とりあえず、周りに何か別のモノが現れたりしたら光で合図を送るよ」


 それでも基本知識は頭に入ってるんだから、二人とも凄いよなぁ。

 私は基本的に興味があるものしか覚えないし、それも全部しっかり覚えきるわけじゃない。

 ……というか、覚えれるものなのかあの分厚い図鑑を……研究職組は皆覚えてるのかな?すごいな……


「光は、何か別のモノがいる可能性があったら赤く光らせるから」

「赤は警戒ね。オッケー」

「うん。それから、青の時は僕らの方に不具合があった時。出来れば戻ってきて欲しいけど無理して戻って来なくても大丈夫、くらいに思っておいて」

「分かった。どうやってでも戻った方がいい時は何色?」

「黄色。セルリア達の方に不具合があった時も、同じ色で知らせて。どうにかして回収するから」

「オッケー」


 この暴風で土ぼこりなんかも巻き上がっているので視界はあまり良くないんだけど、魔法で作った光ならしっかり見えるのは昨日実証済みだからね。

 音は風にかき消されてしまうだろうからいつもの会話魔法は使えないだろうけど、少しだけでも意思の疎通が出来るのは有難い。


 その後、ロイが言う所の「基本知識」を聞いているところで朝食を支度が出来たとレイラのお母さんが伝えてくれた。

 シャムは起きて来てもあまり食べないし、リオンは起きて来るまでまだ時間がある。


「私はレイラを起こしてくるから、先に食べていて」

「はい」

「ありがとうございます」


 出された朝食を頬張って、起きてきたレイラに手を振る。

 レイラと一緒にシャムも起きたようで、眠そうにしているからかレイラに手を引かれていた。

 リオンは私が起きてから寝たのもあって起こさなかったそうだ。


「シャム髪そのままでいいの?風でぼっさぼさにならない?」

「んー?……うん……だいじょぶ……」

「まだ寝てるなこれ」


 まあ、長い髪が風に靡くのも慣れてるだろうし、邪魔なら途中で纏めるか。

 ちなみに私はポニーテールでも暴れまくる可能性を感知して、今日は髪をお団子にしている。

 髪が勢いよく顔に当たると、結構痛いからね。


 私だけならまだ慣れてるから一人でキレて終わるけど、リオンに被害が行くのは流石にちょっとね。

 なんて話もしながら朝食を食べ、私は食べ終わった後お茶を飲んで一呼吸おいてからリオンを起こしに行くことにした。


 リオンを起こして、リオンが朝食を食べている間にまだ微妙に眠そうなシャムを起こす。

 シャムがちゃんと起きてリオンが朝食を食べきったらすぐに家を出て、ビャンヒィの討伐に向かう。

 位置はシャムとロイが事前にある程度の場所を調べておいてくれたので、二人と別れるまで私はあまり気にしなくて良さそうだ。


「……ここが限界かも!これ以上は飛んじゃうー」

「分かった、じゃあここから別行動だね」

「リオン、マジで背中乗ってていいの?」

「おう。手ぇ塞がる方が面倒だしな」


 最終確認をして、そっとリオンの背中に乗っかる。

 手を前に回して杖を握り直し、風を作って足元を浮かせたのでそんなに邪魔にはならないはず。

 これ、リオンが朝食を食べてる最中に提案してきたことなんだよね。


 いつも通り飛ぼうとすると、手を繋いで風の中心まで行くことになる。

 移動はそれでいいとしても目的はビャンヒィの討伐なので、リオンが剣を振れないと駄目なんだよね。そうなると片手がふさがるのは不味い。


 じゃあビャンヒィの目の前で手を離して後ろに回るかってことになるんだけど……それはそれで、何かとリスクが大きいなと。

 何せどういう攻撃をしてくるのかもよく分かっていない魔物だからね。


 そんなわけで提案されたのがこのおんぶスタイル。

 多少動きに制限はかかるけど、手が塞がるよりは安全だし距離が近い分風の密度も上げられる。

 リオンなら私くらいの重さで動きが鈍ることも無いし、ロイもいいんじゃないかなって言ってたのでこれで行くことになったのだ。


「……よし、とりあえず向こう!」

「任せろ!」


 移動中は飛ばすに私が風よけをしてリオンに走ってもらうことになったので、向かう方向の指示だけしておく。

 ちなみに、大剣は既に抜かれている。じゃないと私が邪魔で抜けないからね。


「……ん、風強くなった。そろそろ」

「おう。方向このままか?」

「うん。ちょっとだけ右かな?誤差の範囲」

「了解」


 どのくらい風が強くなったらビャンヒィが居るのか、とかは分からないんだけど、何となくそろそろだろうという予感があった。

 中心部に近付いているっていうか……何か居るって感覚ではないから、風の状態から無意識で情報を拾ってるんだろうな。


「今更だけど、リオン魔視出来る?」

「昨日の夜試したら一面薄緑で何も視えなかった」

「あ、やっぱり?じゃあ私の感覚頼りか」

「セルは?魔視してんのか?」

「してないよ。風で情報拾ってる。……さあ、来るぞー!」

「おう!」


 風の中心部に入り込み、一番厚い壁を抜ける。

 その先には見たことのない魔物……ビャンヒィが、明らかな警戒態勢でこちらを凝視していた。

 ……ロイたちから聞いた時はどんなのだよそれって思ったけど、確かにこれは足を増やした白いイタチって感じだな。


予定では今回で討伐が完了しているはずでした。

なのにギリギリ目視できたところまでしか話が進みませんでした。

不思議ですね。

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