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学び舎の緑風  作者: 瓶覗
340/477

340,第四大陸の村

 乗合馬車は何の問題もなく今日の宿泊地である村に到着した。

 私は、一応外套のフードを被ってリオンの後ろにくっ付いている。

 でっかいから隠れやすいなぁ。借りていたリオンの外套は、馬車を降りたところで返してある。


 日が沈むとちょっと冷えるからね。リオンは平気そうだったけど、一応外套は羽織ることにしたようだ。

 シャムはしっかり前まで閉めている。ロイは……御者さんと何か話しているので、とりあえず待った方がいいだろう。


「セルちゃんセルちゃん」

「なぁに?シャム」

「目の色、気になるなら光魔法でちょっと誤魔化せると思うんだけど、やってみる?」

「そんなこと出来るの?」

「うん。セルちゃんの目は薄めの色だし、魔力が色に出てる感じだから魔法で誤魔化しやすいと思うんだよね」


 そう言われて、そっと目に触れる。

 確かに、姉さまの知り合いの何人かに私の目の色は風精霊の加護の影響が出ているんだろうと言われたことがあった。

 そっか、これ、魔法で色誤魔化せるのか。


「お願いしてもいい?」

「勿論!」


 シャムが私の目の前で杖を振って、目の前がちょっと明るくなる。

 リオンが覗き込んでくるのでそっちを向くと、ちょっとびっくりした顔をされた。

 なんだろうその反応は。シャムの表情を見る感じ、変なことにはなってないと思うんだけどな。


「どうなった?」

「黄色くなってる!」

「なんかコガネさんみてぇな色になってんな……」


 コガネ姉さんの目の色は、名の通りの黄金色だ。

 そんな感じの色になってるとしたら、少なくとも「悪魔の目」と言われることはないだろう。

 どんなふうになっているのか気になるので、後で鏡を見てみよう。


「どうしたの?」

「あ、ロイ。セルちゃんの目に魔法かけてたところ」

「魔法?……ああ、なるほど。似合ってるよ」

「そうなの?」


 自分では見てないので分からないけど、まあ似合っているならいいか。

 リオンは落ち着かないのか気になるのか、ずっとこっち見てるけど。

 ともかくロイのお話も終わったようなので、さっさと休むために宿に向かうことになった。


 基本的に宿に泊まる時は二部屋取って男女で別れるんだけど、今回は四人部屋の方が安いらしくて四人で一部屋に泊まることになった。

 ベッドの周りにカーテンがあるから着替える時とかはこれを閉めればいいのか。


「リオン、ここから馬車の確認出来る?」

「おう。最悪窓から行くわ」

「あ、セルちゃん鏡あったよー」

「やったー。……おぉ……金色だ……」


 シャムが部屋に置かれていた鏡を見つけてくれたので、さっそく自分の顔を確認する。

 そこには見慣れたライトグリーンではなく、金色の瞳が映っていた。

 リオンはコガネ姉さんみたいな色って言ってたけど、それよりは薄いかな。


 ……なんだか不思議な感じだ。ちょっと落ち着かない。

 それが原因で捨てられようが、周りに何を言われようが、何だかんだ私は自分の目の色をそれなりに気に入っていたからね。


 別にこれからずっとこの色ってわけじゃないんだけど、一時であっても落ち着かないものだなぁ。

 でも便利だよね。ちょっと誤魔化すだけで、今まで入りにくかった第四大陸の村に泊まっていける。

 私も覚えようかなぁ……これ、シャムの魔力でこの色になってるのかな?だとしたら私が使ったところで色は変わらないから意味ないな。


「おーい、セルー。飯食い行こうぜー」

「あ、うん」


 呼ばれたので杖だけ持ってリオンに寄っていく。

 横に食堂があるんだっけ。フード被ってリオンの後ろに付いてきたから、あんまり周り見てなかったんだよね。


 部屋から出る前にフードを被ろうかどうか考えたけど、とりあえず被らないで行ってみることにした。リオンの背中にはくっ付いてくけど。

 何かあったらフードを被ればいいだろう。あとはまあ、あんまりにも落ち着かなかったら被ることにする。


「横の建物が食堂だって。酒場でもあるらしいから、食べてすぐに出ようか」

「はーい」


 リオンに背中を押されて、扉を開けて中に入ったロイについて行く。

 中は賑やかで、運よく端の席が空いていたのでそこに座って周りの様子を窺う。

 乗合馬車で見かけた人も何人かいるので、この村に泊まっている人は大体来ている感じなのかな?


 なんて考えながらメニューを眺めて、気になったものをいくつか注文する。

 私が食べきれなくても、リオンが食べてくれるらしいからね。

 リオンは満腹という概念を知ってるのかなって思うくらいあればあるだけ食べるので、残ったら食べるって言われた時の安心感が凄い。


「あ、見て見てセルちゃん。ギーバのシチューだって」

「ギーバって美味しいの?ウサギと同じ感じ?」

「ウサギよりちょっと硬いかな。煮込み料理とかではたまに見るよ」

「へぇー」

「頼んでみよっと。セルちゃん一口食べる?」

「食べるー」


 ちょっとフォーンから出ると、普段はあんまり見ないようなものも見かけるようになるなぁ。

 見慣れないものは避けがちだけど、とりあえず食べてみる方が楽しいかもしれない。

 味が無理ってなったら食べれそうな人に渡そう。辛かったらリオン、苦かったらロイだ。


 そんなことを考えながら、注文したものを来た順に食べて行く。

 ギーバのシチューは美味しかった。しっかり煮込まれていて、食べた瞬間に口の中でほどける感じだったので、今度また見かけたら食べてみようと思う。


 ちなみに私は頼んだ分の七割ほどを食べたところで満腹になったので、残りはリオンに食べて貰った。リオンの方が色々頼んでいたのに余裕の表情で食べきっていた。

 まあ、そんなこんなで宿に戻り、シャワーを浴びてさっさと寝ることにした。


「明日朝早い?」

「今日と同じくらいだよ」

「じゃあいつも通り起きれば大丈夫かな」

「そうだね。リオンは夜は起きてる?」

「おう。馬車も見とくわ」


 ロイに明日の確認をして、先にベッドに入ってわざとらしく寝たふりをしているシャムにちょっかいをかける。

 そんな分かりやすい寝たふり、構ってくれと言ってるようなもんだよねぇ。


 なんてやっていたらリオンに部屋の明かりを消されてしまったので、大人しく自分のベッドに戻って寝ることにした。

 ベッドの周りのカーテンは閉める必要性も感じなかったので開けたままにしておく。


 目を閉じると思ったより疲れていたのかすぐに眠くなってきたので、逆らわず素直に眠る。

 朝は早めに起きて、夜ずっと見張りをしてるリオンと交代した方がいいだろうしね。


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