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学び舎の緑風  作者: 瓶覗
333/477

333,今後について

 部屋でお茶を淹れて、部屋の中央に置いた予備の机の上に並べる。椅子も四つあるし、これで準備はオッケーかな。

 満足の息を吐いたところでちょうどよく扉がノックされて、開けるとそこにはリオンとシャムとロイが揃って立っている。


「ちょうどお茶が入ったところだよ」

「いい香り!」

「はい、手土産」

「クッキーだ。やったー」

「三種類くらい買ってきたぞ」


 今日は次に行く場所とかの相談をするのに集まろうって話になっていたのだ。

 食堂でもいいんだけど、何となく他に聞かれない方が話しやすいから私の部屋になった。

 それ自体は全く文句とかないし、何ならウキウキで準備してたんだけど……やっぱり四人も居ると狭いな。


「椅子増えてね?」

「増えたの去年とかだよ。四つ目が必要なことがあんまりなかっただけ」


 なんだかんだこの部屋、遊びに来る人がそれなりに居るから畳めるタイプの椅子をいくつか置いてあるんだよね。

 ダンスパーティーの日とかもそうだけど、何もなくてもシャムとお茶してたりするし。


「あ、そいえばダンジョンアイテムの鑑定ってどうなったの?」

「その話もしないとね。まあ、結論から言うと分からなかったよ」

「分かんなかったのか」

「うん。先生にも聞いてみたけど、先生も分からないって。もっと詳しく調べられる施設とか、鑑定士とか探さないといけないかな」


 話を聞きながらお茶を一口。うーん、我ながら上出来。

 ついでにクッキーも食べて、鑑定内容について難しい話をしているシャムとロイを見る。

 ……どうしようかな、言った方がいいよな。話が途切れるの待ってたら次の話題に移っちゃいそうだしなぁ……


 なんてちょっと悩みながら話の途切れ目を探していたら、それに気付いたらしいロイが保護者の笑みを浮かべてこっちを見た。

 察しがいいなぁ、こういう所が子供に好かれる所以なんだろうか。


「あー……えっと、一人、知ってるかも。鑑定士」

「そうなの?」

「うん。姉さまの知り合いで……あの人鑑定士だよね……?あれ、考古学者なんだっけ……?」


 ちょっとそのあたりの記憶が曖昧だけど、どっちにしても私が知ってる中で一番鑑定技術が高いのはあの人なんだよね。

 最後に会ったのは数年前だけど、姉さまに頼めば連絡は取れるはずだ。


「その人どこに居るんだ?」

「イツァムナーだよ。確か……カブルだったと思うな」

「……ちなみにその人、名前は?」

「レークさん。レーク・ヴィストレーン」

「ヴィッ……知り合いなんだぁ……」

「姉さまがね」

「有名人か?」

「まあ、魔道具関係のあらゆることに精通した家だからね……これが魔道具なら、これ以上の適任者は居ないかな……名家だから、普通はそんなに気軽に会えないんだけどね?」


 やっぱりあの人凄い人だったんだな。

 うちに遊びに来るときは従者さんは二人だけだし、その二人からは結構雑な扱いを受けているし、やたらテンションが高いしであんまりそんな感じしないんだけどな。


 姉さまが前に「家の雰囲気が物凄く良い。もし今後何かしらの建物を作ることになったら参考にしたい」って言ってた記憶があるけど、あれはまた別の話か。

 私の記憶としては、時々家に遊びに来て姉さまとハイテンションで話してどこかに行くお兄さん、くらいの認識になる。あとは、魔法めっちゃ褒めてくれる人。


「とりあえず姉さまに手紙書いてみる?」

「そう、だね……うん」

「会えるとしても、第二大陸まで行くってなると色々準備が必要だね」

「なんにせよ資金調達かー」


 話をしながら便箋とペンを持ってきて、ざっくりと事の経緯を書き上げる。

 レークさんに鑑定お願いしたいんだけど大丈夫かな、とお伺いも立てて一度内容を読み返す。

 ……うん、問題ないのでは?シャムが横から覗き込んでいるので手紙を渡して、封筒に宛名を書いたら完成だ。


 ついこの間手紙を出したばっかりなので、返事は纏めて来るだろう。

 この手紙は夕飯の前にでも出しに行くことにして、お茶を飲み切ってしまったので淹れるついでにおかわりがいるか尋ねる。

 全員いるらしいので多めにお湯を沸かして、待っている間にクッキーを摘まんだ。


「しばらくはクエストをこなしてイツァムナーまでの資金を溜めるとして……そうだな、乗合馬車の護衛とかの依頼も受けてみていいかもしれないね」

「そんなのあるの?」

「うん。冒険者ランクが高いほど受けやすいし報酬も上がるんだ」


 冒険者ランク、と言われてそういえばあんまり気にしたことが無かったなぁと思った。

 登録するときに説明はされていたけど、普段受けるクエストは小型魔獣の討伐とかが多いから、制限されたことがそんなに無かったんだよね。


「今は皆Dランクだと思うんだけど……どうだろう。リオンとセルリアは大型魔獣の討伐記録あるのかな?」

「え、どうだろう。出くわしたことはあるけど」


 確か冒険者ランクをCに上げるのに、大型の魔獣や魔物の討伐記録が必要なんだよね。

 ちょっと思い返してみたけれど、討伐はしてないはずだ。

 リオンも討伐記録はないはずだと言っているので、皆Dランクで合ってるだろう。


「じゃあ、大型の討伐に行ってみようか?」

「お、おお……」

「今まで避けてたからちょっとドキドキするね」


 ロイの提案にちょっとソワソワしてしまいながら、第四大陸でよく目撃されていて戦いやすい大型の魔獣か魔物をピックアップすることになった。

 それに付いてはシャムが詳しいので、次々に上げられて行く名前を認識するので精いっぱいだ。


「ミーファ暇なら手伝ってくれないかなぁ……?」

「あー、そうだな。ランクアップ興味ねぇか聞いてみるか」


 早々に話について行くのを諦めたリオンに話しかけると、すぐに同意が返ってきた。

 やっぱり万全は期したいからね、戦力は多い方がいい。

 無理強いはしないけれど、ミーファはあれで戦闘に消極的な訳でもないから一緒に来てくれる気がする。


 ロイとシャムもミーファを誘うことに異論はないらしいので、このまま探しに行ってみることになった。

 そろそろ授業も終わって昼休みに入る頃だからね、食堂のあたりに行けば多分会えるだろう。


 私は手紙を出しに行くので一旦みんなと別れて、中央施設で手紙を出して中庭を通って食堂に向かう。ちょうど鐘が鳴ったので、ミーファが見つからなくても昼食を食べているだろう。

 そう思って昼食を取っていつも座っている席に向かったら、ミーファは見つかったようで四人で席に座っていた。


 シャムの横にミーファが居るのでその横に腰を下ろして、ニコニコとこちらを見上げてくる可愛い子の頭を撫でる。

 そして食事を食べながら冒険者ランクのランクアップの話をして、快諾してくれたミーファも含めた五人で近々冒険者活動に出ることになった。


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