表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
学び舎の緑風  作者: 瓶覗
330/477

330,ダンジョンマップの作成

 ロイと共に朝食を食べ、その後一限には出ずに荷物の確認をする。

 今日はダンジョン探索に行くので、いつもより念入りに確認しておかないとちょっと落ち着かないんだよね。


 ダンジョンは普通のクエストよりなんか緊張する。

 まだ一回しか行ったことが無いからなのかもしれないけど、狭い通路ってだけでいつもとは雰囲気が違うから慣れることは無さそうな気がするんだよね。まあ、慣れなくていいのかもしれないけど。


 杖だけじゃなくてレイピアも持ったし、予備のタスクも持った。

 ポーションもいつもより多めに持っているし、その他万が一に備えて必要そうなものはちゃんと入れたのを確認している。

 そんなわけで念入りな装備の確認を行い、時間を見てちょっと早めに部屋を出た。


「さて、と。リオーン!起きてー!」


 ちょっと早めに部屋を出た理由はこれ。

 いつもは多少遅れても問題ないんだけど、今日は早めに出たいらしいからしっかり起こさないといけない。

 昨日の時点でリオンからも起こしてって言われてたんだよね。


「ダンジョンいくよー!おーきろー!」


 ダンダンダンダンと扉を叩きながら大声でリオンを起こしていたら、中で物音がした。

 手を止めて扉から一歩下がったところで扉が開き、中から眠そうなリオンが出てくる。


「おはよ……」

「おはようリオン」

「ちとまて……」

「うん」


 部屋の中に戻って行ったリオンを待ちつつ、なんとなくリングを弄る。

 実はタスクよりこっちの方が使うんだよね。

 持ち替える必要が無いから、小間事によく使うんだけど……なんかこう、杖と同じ感じでぼーっとしてると弄ってしまう。


 こういうのってずっと付けてたりずっと持ってたりするほど、手癖で弄っちゃうんだよねぇ。

 私は杖もだけど、このリングもなんだかんだ何年も付けてるから、実はかなりの頻度で弄ってたりする。


「おっし、行こうぜー」

「うん」


 リングを弄っている間にリオンが支度を済ませて出てきたので、並んで中央施設に向かう。

 鍵を預けて外に出ると、既にシャムとロイが立っていた。

 合流して門を潜り、大通りを進んでギルドに入り、取っておいてもらったクエストを受注してフォーンの外に出た。


 向かう方向は第三大陸との関所がある方らしい。

 とはいえ、関所ではなく森の方に寄っていくらしく、詳しい地図を見せて貰ったけど正直よく分からなかったのでロイとシャムに任せてしまうことにした。


 こういうのはね、下手に手を出すより任せてしまった方が安全だし確かだからね。

 そんなわけで私とリオンはいつも通り道中の安全にだけ意識を配り、時々ロイとシャムが進行方向を修正して進んで行く。


 つまりいつも通りだ。

 今日は途中で人とすれ違うことも無く、目的のダンジョンの入口には昼を少し過ぎた頃に辿り着いた。入る前に昼食を食べて、ダンジョンについての最終確認をして中に入る。


「今回はダンジョンマップの作成が目的だから、全ての道を見て回るよ」

「おう」

「最下層は十階。一気には降れないだろうから、途中休憩しながら行こう。先頭はリオン、その次がシャム。基本的に戦闘は二人にお願いするね。その後ろに僕で、最後にセルリア。セルリアは常に後ろを警戒していて」

「はーい」

「シャム、灯りお願い」

「はいはーい!……ほい、これロイの。こっちはセルちゃんのね」


 基本的には、前に行ったダンジョンと同じ感じだ。

 ダンジョンにも種類があって、罠とかが多いものもあるんだけど今回はそう言うのは確認されていないらしい。


 気を付けないといけないことに変わりはないけど、どこもかしこも罠だらけ、なんて事は無さそうでなによりだ。無い方がいいからね、罠なんて。

 そんなわけで順番にダンジョン内に入り、私は後ろを塞ぐように風を展開する。


「お、さっそく分かれ道だぞ」

「右から行こう」

「おー」


 分かれ道の先は後ろから魔物に襲われることが増えるので、索敵にも風を吹かせて警戒しておく。

 ……それにしても、ロイは良く歩きながら地図かけるよなぁ……

 ふわふわと横に浮かぶ灯りを頼りに歩きながら、ロイは器用に地図を描き続けている。


 やたら曲がった道とか、分かれ道もかなり多い。

 後ろからちょっと覗き込んだ地図は、そのあたりもしっかり書き込まれていた。

 私も去年の選択授業でダンジョン補佐とったけどさ、机と椅子がある状態でもここまで綺麗にかけなかったよ?


「……ん、なんか来た」

「何体?」

「五かな。倒すね」

「うん、お願い」


 後ろに張っていた風に小さな影が引っかかり、それに対応するために足を止める。

 リオン達も気付いたようだけど、移動の手間と前方の警戒を考えてかこっちには来ないようだ。

 まあ、この程度なら相当なへまをしない限り大丈夫だろう。


「絡み付け、巻き上げろ」


 小さく唱えて、五本の紐状に作った風を飛ばす。

 それがすでに私の風の中に侵入していた魔物に絡みついて空中で縛り上げたのを確認して、他にも居ないかを確かめてから捕らえた魔物に止めを刺した。


「……うん、オッケー。追加は来なさそう」

「了解。先に進もう」


 風蛇を解いて、その分の風は後ろの壁に馴染ませる。

 それだけササッと終わらせて、先に歩き出していたロイたちの背中を追いかけた。

 前に出た敵にはリオンとシャムが、後ろに出た敵には私が。その決めごとを破るような相手は出てこないまま一階の地図が完成し、途中で見つけていた階段を降りて二階のマッピングが始まった。


 まあ、二階も三階も特に変わったことはなかった。

 四階に入って少し進んだところでセーフエリアを見つけて、少し早いけど夕飯を食べて今日はここで休むことになった。次いつセーフエリアがあるか分からないから、休める時に休むんだって。


 そんなわけで今回もシャムとくっついて目を閉じたわけなんだけど……寝るのはまあ、寝れたから問題ない。

 問題なのは目覚めの方で、普段朝日やそれ代わりの照明の点灯で起きているので、明るくなってないのに目が覚めるのはなんか変な感じだった。


 なーんかもやもやするというか、落ち着かないというか。

 そんなことをぼやきながら朝食の準備をしていたら、先に淹れておいたお茶を飲んでいたロイが慣れなくても問題ないと笑った。


 長期でダンジョンに潜る時はちょっと問題かもだけど、今気にすることではないのは確かか。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ