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学び舎の緑風  作者: 瓶覗
329/477

329,受けたいクエスト

 一限の座学に出席して、一度部屋に戻って服を着替えて荷物を持ち換える。

 そして道中でリオンの部屋に寄ってリオンを叩き起こして合流した。

 今日は元々クエストに出る予定だったんだけど、その前に一限だけなら授業に出れるのはないかという話を実行に移してみたんだよね。


 ちょっとバタついたけど、実際出れたね。

 のんびりしたい日はやめた方がいいけど、出たい授業があれば出れるってのはいいね。

 リオンを叩き起こすのにもちょうどいい時間だったし、今後も続けよう。


「セル、それ着けたまま行くのか?」

「ん?どれ?」

「髪留め。クエスト出る時いつも外してんだろ?」

「……あー……忘れてた……予備の髪紐入れてたっけなぁ」


 一限に出るからと朝は制服に着替えて、その流れでいつも通り髪をハーフアップにしていたんだった。服は着替えて来たけど、髪を纏め直すのを忘れていた。

 予備の髪紐を荷物に入れていたらそれでまとめ直すけど……ないなぁ。


「ごめん、先に行ってて。ちょっと部屋戻ってくる」

「おー、別に急がなくていいぞー」

「ありがとー」


 急いで部屋に戻って髪留めを外し、ポニーテールに纏め直して予備の髪紐を一本荷物に突っ込んでおく。

 これで良し、急いでみんなの所に向かおう。


 人とぶつからないように少し先だけ風で索敵して、人の居ないところは走って進む。

 そんなに遅れてないと思うけど、さっきが時間ピッタリくらいだったからどうしたって遅刻なんだよね。リオンが先に行ってるから心配とかはかけてないはず。


「ごめーん、お待たせー」

「大丈夫、全然待ってないよ」

「セルちゃんおはよー!」

「おはようシャム!」

「早かったな」

「走ってきた」


 シャムが笑顔で手を広げているのでそこに飛び込んで、とりあえず息を吐いた。

 この程度で息は切れないから離れようと思ったんだけど、なんかシャムが楽しそうに抱きしめてくるから離れられない。


「行くよ、シャム」

「はぁーい」


 どうしようかと考えていたら、ロイの一言でシャムが離れた。

 そして腕にくっ付いてくる。これはいつもの事なので気にせずそのまま歩き始め、ギルドに向かいながら今日の詳しい予定について話す。


「予定は一日で出してるから、そんなに遠くには行けないね」

「なんかいいのがあると良いねー」

「クエストだけ見て、明日改めて出てもいいけど……何か一つくらい受けたいね」

「こないだ出てた海獣の討伐はもう終わってるよなぁ」

「流石に全部はけたんじゃないかな?」


 話している間にギルドに到着したので中に入り、クエストボードを確認する。

 今日は比較的討伐系が多いかな?これなら何か一つくらい良いものが見つかりそうだ。

 詳しい内容を見るのにちょっとボードに近付いたところで、リオンが上の方に貼ってあったクエストに手を伸ばした。


「それなにー?」

「……ダンジョンの探索だってよ。核破壊済み、ダンジョンマップ未製作」

「へぇ。……ロイ、どうする?」

「行ってみたいな。でも、今から行くと門限に間に合わなそうだね。受けるだけ受けて明日出発に出来るか確認してみようか」

「賛成!」


 基本的にダンジョンは、核の破壊を目的にする第一陣と内部探索を目的にする第二陣があるらしい。

 これは第二陣、中を完全に把握してダンジョン内の地図を作るのが目的になる。

 地図を作って持ってくるとギルドが買い取ってくれたりもするので、ダンジョン攻略を主活動にしている冒険者も居たりする。


 私たちの中だとロイがダンジョンマップを作れるので、行くかどうかはロイ次第になる。

 けどまあ、わざわざダンジョン補佐の授業を選択してるくらいだし、ダンジョンに興味はあるんだろうなぁ。たまに謎の道具とか出て来るらしいし、それも気になるんだろう。


 と、まあそんなわけでクエストを受けて出発を明日に出来るかとロイが受付のお姉さんに確認しに行ってくれて、少し話して戻ってきた。


「取っておいてもらえるらしいから、今日は別のを選んで受けよう。明日は別で外出届けだして、二日三日くらいのプチ遠征だね」

「食料が必要だな……」

「はいはい、帰りにねー」


 日帰りじゃないってなった瞬間に私の方を見たリオンの顔を風で押して正面に戻し、クエストボードの前に戻る。

 ……何かリオンが寄りかかってくるんだけど。重いなぁ……


「リオン重いー」

「おー」

「聞いてる?ちょっと?ギルドの中であんまり魔法使いたくないんだけど?」

「おー」

「……ロイー!」

「はいはい。リオン、セルリアが潰れるから」


 急に応答が雑になったリオンをロイに押し付けて、我関せずでクエストボードを眺めていたシャムの腕にくっ付く。

 ああいうのはね、大体意味なんてないから放置するのが一番なんだ。唐突に雑に絡んでくる兄姉たちがいるので慣れてるんだ私は。


「あ、見て見てー、セゥレルの角採取だって」

「このあたりに生息してるんだっけ?」

「内海に沿って群れで大陸間を移動し続けてるんだよ。今は第四大陸に来てるのかもね」

「セゥレルってなんだ?」

「鹿みたいな魔物だよ!」

「角が薬の材料になるんだ。だから、近くに来ている時は採取依頼が出る。……でも、内海の方に行かないといけないからね……間に合うかな」


 後ろから話に混ざってきたロイの説明を聞いて、脳内で地図を広げる。

 フォーンは外海側の国なので、群れの位置によっては行って戻ってくるのは難しいだろう。

 それこそ往復で一日くらいかかりそうな感じだ。となると、別のクエストか。


「薬の材料なぁ……セルは見たことあんのか?」

「セゥレル?そのものは見たことないよ。角は確か家にあったと思うけど」

「アオイさんって薬の材料買う時どうしてるの?クエスト発注はしてなさそうだけど」

「アジサシさんから買ってるのが一番よく見るかな。あとはまあ、兄さん達が採取に行ったりしてるみたい」


 姉さまは色んな所に顔が利くからね、家には元々あらゆる素材があったし、なくてもすぐに用意できていた。

 急に必要になった時はモエギお兄ちゃんがアジサシさんを探しに行ったりもしていたはずだから、やっぱり一番はアジサシさんからの購入なんじゃないだろうか。


 そんな話をしながら、最終的には二手に分かれて荷物運搬と薬草採取のクエストを受注することになった。

 私とロイが薬草採取、シャムとリオンが荷物運搬だ。

 またそのうち遠出もしたいから、ちょっとしたクエストでも受けるに越したことはないんだよね。


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