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学び舎の緑風  作者: 瓶覗
32/477

32,満足も満足の大満足

 研究職の教室棟に入って先に見つけたのはシャムの方で、向こうが私たちを見つけて駆け寄ってきた。

 こっちに来てるなんて珍しい!と目を輝かせた彼女に先ほどまでやっていたことを話すと、二つ返事でついていくと言われる。


 ロイは図書館にいるらしく、それならついでに本を返して新しいのを借りようと話しながら図書館に向かう。

 リオンは読書をしないので、図書館の中をちゃんと見たことがないらしい。


 宝の山なのに……と思うが、まあ重要視するものは人によって違うので声には出さない。

 私が本の虫なのは皆知っているので新しい本を借りる、と言ってもそれ以上話は広がらなかった。

 ……もう少し、本に対して興味を持ってもいいのでは?


「じゃあ、とりあえず私は本返してくるね」

「はーい。ロイは探しとくよ」


 小声でそういってばらばらの場所へ向かう。

 私は先にカウンターに向かい、本を返してロイと次に借りていく本を探すことにした。

 といっても、次に借りるものはもう決めていたので探すべきはロイだけなのだけど。


「こんにちは。返却ね?」

「はい。お願いします」


 持っていた本をレースさんに差し出し、返却の手続きを済ませる。

 それを見届けてから新しく借りる本を取りに行く。

 今回は誰かに借りられているということも無く、借りるそれをもってそそくさとカウンターに戻る。


 借りる手続きをしていると後ろから肩を叩かれて振り返ったら、ロイが立っていた。

 その横からぴょっとシャムが出てきて、親指を立てている。

 同じポーズを返して借りた本を抱える。


 ロイも借りるものがあるらしくカウンターに向かっていた。

 思っていたより早く見つかったようだ。

 本を借り終えたらしいロイの手を引いて図書館を出る。


「で、何をするの?」

「魔法で氷つくる」

「それを斬る」

「……観測係、かな?」


 流石察しがいい。そうです!と声を揃えれば、楽しそうな笑い声が返ってきた。

 どこでやるの?と聞かれたので元居た林の前に戻る。


「そもそもどうして氷を作って斬るってことになったの?」

「最初の議題は、魔法は剣で斬れるのか」

「んで、俺の剣じゃ斬れないってセルが言うから」

「でも斬ってたんでしょ?」

「斬れるって言うか、壊れる氷を作ってたの」


 話しながら杖を構え、自分の魔力残量を確かめる。

 うーん。まだまだ大丈夫だと思うけれど……一回息切れしているからあんまりやりすぎない方がいいかな。


 完全に尽きたりはしないけれど、まあ無理は良くないのだが観測が出来るならちょっとくらいね、やってもいいよね。なんてウキウキしながら杖を回し魔力を練り上げる。


「ねえねえセルちゃん、魔法って観測するものなの?」

「んー……ちょっとした特訓とか、他の人とやる時は一人くらい見てる人が居た方がいいかなって思う感じ?かな?」

「そうなんだー」

「うん。なんかあった時に見てる人が居た方が気付きやすいから、って」


 まあ、私も別によく知っているわけではないのだが、兄姉が言っていたし魔法を教えてくれた人も言っていたし。

 居た方がいいんだろうと思っているので連れてきた程度である。先生にも言われたしね。


「よーし。やるか」

「やるかー」


 話しながら練り上げた魔力を少しずつリオンの周りに浮かべ、氷の形を作っていく。

 作った傍からリオンが壊していくので、徐々に徐々に生成速度が上がる。

 さっきまでと、面白いくらいに行動が同じだ。


 あー楽しい、すごく楽しい非常に楽しい。

 何かを考えるのも面倒になって、ただそれをやり続けるだけなのがこんなにも楽しい。

 そもそも魔法を使っているのが楽しくて仕方ない性格をしているので、遊びの延長のような感覚なのだ。


 しばらく続けて、練り上げていた魔力が消えた時点でその場に倒れて寝転がる。

 リオンも転がっているのでここまでさっきまでと同じだ。それに気づいて笑いが漏れた。


「ずっとこれやってたの?」

「そう。楽しくなっちゃって。やりすぎてヴィレイ先生にお小言言われた」

「俺は別件で小言貰った」

「あれはリオンが悪いでしょ」


 話しながら身体を起こす。

 近くに寄ってきていたシャムとロイは、顔を見合わせて楽しそうに笑った。


「見てるのも楽しかったよ」

「本当に?」

「うん。セルちゃんの魔力消費がどんどん大きくなっていくあたりで楽しんでるなーって分かって面白かった」

「……楽しくなっちゃったからね、仕方ないね」


 ハーフエルフであるシャムには私の練り上げた魔力の残量が見えていたようで、最初は消費を抑えていたのがどんどん雑になっているのも見えていたのだろう。

 悪い癖なのだ。楽しんでいると、そちらへ向ける意識が薄くなっていく。


 今はまだ大丈夫でも、いつか魔力切れで困る時が来るから意識しておけと言われていたのにどうにもその悪癖だけ抜けなかった。

 それに意識を向けている暇があるなら氷の生成に意識を回そうとしてしまう。


「リオンは疲れてきてるのが分かりやすいね」

「だよなぁ。途中から剣が重い気がしてくんだよな」

「実際その剣重いでしょ」

「振られてるようだと実戦で役に立たねえもんなぁ」


 研究職の二人は、しっかりこちらの観察をしていたらしい。

 観測係、なんて冗談半分で言っていたけど、ここまでしっかりバレているとなると侮れない。

 せめてバレない程度まで練度を上げないといけないな、なんて思って緩く杖を回した。


 反省点を見つけた時点でこの行動にも意味があったということで、こちらとしては大満足だ。

 授業では出来ないくらいの魔力消費もしたしね。沢山魔法使った。満足。


「これじゃ冒険者登録しても、だよな」

「登録するの?」

「おう。稼がねえと」


 魔法を斬れるのか、なんて聞いてきたのはそれもあってのことだったのだろうか。

 まあ、冒険者登録だけなら難しいことは何もないのだ。登録だけしている人もそれなりに居るらしいし。だがリオンは登録だけ、で終わるわけにはいかないらしい。


「……稼ぐだけなら、薬草採取とかの依頼もあると思うよ」

「俺それ圧倒的に向いてねえの。速攻飽きるし別の混ざるし」


ぶつ切りな終わりになってしまいました。が、今作は多分今後もぶつ切りなところが出てくると思うので気にしないでいただければなと。

出来るだけ無いようにはしますので……

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