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学び舎の緑風  作者: 瓶覗
312/477

312,暇な時は空を飛ぶ

 授業が始まるまであと二日。昨日ミーファとソミュールも戻ってきて、流石にこれ以上冒険者活動に出るのはやめておこう、という話になったので暇で空を飛んでいる。

 まだ午前中だからリオンも起きてきていなくて、ロイとシャムはなんかすることがあるらしい。


 そんなわけで一人でボーっと空を飛んでるわけだ。

 リオンが起きてきたら遊んでくれそうだけど、何時になったら起きて来るんだろうなぁ。

 何の約束もしてないから昼食の後も起きてこない可能性あるんだよね。


「セルリア先輩!」

「ん?おお、アリアナー」


 風に乗ってクルクル回っていたら地上から声をかけられた。

 向きを変えて下を向くとアリアナが手を振っていたので、身体の向きを直して少しだけ高度を下げる。何か持っているみたいだけど、多分杖も持っているでしょう。


「おいでー」

「はいっ」


 足元に水を作ってふわりと飛んできたアリアナを引き寄せる。

 飛ぶの上手になったねぇ。休みの間もちゃんと練習してたみたいで、安定度が随分と増している。

 そのまま足元を氷に出来ると属性との相性もあってもっと安定するかなぁ。


「えっと、こちら、蜂蜜です」

「ああ、休みの前に言ってたやつ。ありがとう」

「いえ」


 持っていたのは蜂蜜だったらしい。

 なんだか綺麗な袋に入っているけど、袋ごと渡されたので受けとっておく。

 学校が始まってからでも良かったのに、わざわざ持ってきてくれたのは私がここで飛んでいるのを知っていたからだろうか。


「そういえば、アリアナは第一選択何にしたの?」

「結界術です。家の意向で」

「そっか、元々使えるの?」

「少しだけですが。先輩も、結界術が使えるとお聞きしました」

「誰から聞いたのそれ……そんなに使ってるわけでもないのに」

「グラル先生が教えてくださいました」


 全く、先生ったら気軽に人の手札明かすんだから。

 別にいいんだけど、こうもキラッキラな目を向けられるほどの精度でもないから言いふらさないで欲しい。使えるってだけなんだから。


 なんて考えつつ、アリアナと手を繋いで空をふわふわしていたら下から「あー!」という大きな声が聞こえて来てアリアナの水が揺れた。

 抱き寄せて落とさないように風を分厚くしてから下を見たら、こっちに走って来る大型犬……もとい後輩が一人。


「セルリアせんぱーい!!」

「やっほーグラシェ。元気でなにより」


 ゆっくりと高度を下げると、グラシェは足元まで来てにぱーっと笑う。

 対してアリアナはちょっと不満そうだ。

 むっとしてるのも可愛いからとりあえず頭を撫でておこう。


「先輩!俺、選択授業攻撃魔法にしたから授業被るよ!」

「おー、そっかぁ。まあ私四年生だから学校居ないこともあると思うけどね」

「あっ、そうじゃん!忘れてた!」


 授業が被るってだけでそんなにウキウキだったのか。

 別に私が居ようが居まいが、内容はどうせ個人個人で変わるんだけどな。

 まあ授業出てることも多いだろうし多少一緒にはなるだろうけど。


 四年生って授業どうなるんだろうなぁ。先輩たちの様子からして月に何度かは出るもんなんだろうと思ってるけど、詳しく聞いたわけでもないから分かんないんだよね。

 詳しいことは今年の最初の授業日に先生から説明があるだろう。


 なんて考えている間に後輩二人は何やらわちゃわちゃと言い合いを始めていた。

 内容はいつも通りで別に本気でいがみ合ってるわけでもなく、なんというか子猫と子犬のじゃれあいって感じだから基本は放置している。

 まあ、一応話題逸らしておくか。聞いておきたいこともあるからね。


「二人とも、今年の目標とかある?」

「はい!俺は今年こそ飛べるようになりたい!」

「私は……魔法や結界術もですが、座学にも力を入れたいです。図書室には家にない本も多いですし、普段読まない本も読んで行こうかと」

「お、いいねぇ」


 図書館はいいぞぉ。私は本借り過ぎて一部の先生に引かれてるレベルで入り浸っている。

 何なら学校に戻ってきて授業が始まるまでのこの期間でもう三冊借りた。

 知識は宝だってウラハねえが言ってたから、本も宝だと思うわけだよ私は。なんてうんうん頷いていたら後輩たちはこっちを見ていた。


「先輩は?今年の目標」

「んー?……そうだなぁ。とりあえず風の槍でダンジョンの壁ぶっ壊そうかなぁ」

「えっ」

「普通の事みたいに大変なこと言ってる!?」

「ずっと威力上げてるからね。そろそろいける気がしてるんだよね」


 ノア先生からもそろそろやってみませんか?とウキウキで言われているし、今後ダンジョンに行くことがあったらロイの許可を取ったうえでやってみようかなと思ってはいる。

 壊せたら二人にも教えてあげようねぇ、と頭を撫でたら尊敬と恐怖の狭間みたいな顔をされた。


 おお、いい反応だ。もっとドン引きするかと思ったけど、さては二人とも私が思ってるより私の事好きだな?

 ちなみにリオンに「ダンジョン壊しに挑戦しようと思う」って言ったらウッキウキで「いつやるんだ?」って聞かれたよ。横で見る気満々みたいだ。


「……さて、そろそろお昼かなぁ。一緒に行く?」

「はいっ」


 時計を確認して、ちょっと早めだけど食堂に移動することにした。

 素直についてくる後輩たちが可愛い。後輩と言えばもう一人、第二選択を何にしたのか聞きたい黒猫がいるんだけど……まだ戻ってきてないのかな?


 イザールは向こうから来るのを待つくらいしか会う方法ないからなぁ。

 ちょっと探したくらいじゃ見つからないし、本気で探すほどの用でもないからね。

 まあ、そのうち声かけて来るでしょ。その時に聞いてみよう。


「お?セルー」

「おはようリオン。寝癖ついてるよ」

「おー、気にすんな。相変わらず好かれてんなぁ」

「可愛いでしょ」


 食堂に移動している途中でやっと起きたらしいリオンに出会った。

 リオンも食堂に行くらしいので一緒に移動して、後輩たちとは食堂の入口で別れる。

 流石にもう帰ってきている人が多くて、食堂内はかなり混み合っているのでそれぞれ席を確保した方が早いからね。


 昼食を持っていつも座っている辺りに向かうと、ロイとシャムが既に座っていた。

 座ってはいたけど手元に昼食はないので、食堂で何かしら作業をしていたようだ。

 私たちがそろそろ来るだろうと思って待っていたらしく、今から昼食を取りに行ってくるらしいので手を振って見送る。


 確かに誰かいないと席取られそうな感じだもんね。

 一応開いている席は他にもあるし、ここは別に端っこでもないのですぐに埋まる場所でもないんだけど……まあ、念には念を、だ。


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