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学び舎の緑風  作者: 瓶覗
262/477

262,魔力操作・リオン

 昨日と同じように、昼食の後片付けを手伝った後に既に外に出ているみんなの所に向かう。

 シャムとロイは昨日で課題を終わらせているので、今日はそれぞれ別の事をしているみたいだ。

 ロイは片手剣の何かしら、シャムは魔法の何かしら。

 ソミュールは……近くの木にかけられたハンモックで寝ているみたいだ。


「あ、セルちゃーん!あそぼー!」

「いいよぉー!」


 別にそんな大声を出さなくても聞こえるんだけど、シャムのテンションに引っ張られて無駄に声を大きくしてしまった。

 シャムは特に何か明確なやる事があったわけではないらしく、他は皆することがあるから何となく魔法を使って雰囲気だけでも混ざっておこうと思ったらしい。


「何する?」

「私あれやりたい。魔力の手合わせのやつ」

「ああ、久々にやるなぁあれ」


 杖をぐるっと回して、どこでやろっかーとのんびり話す。

 とりあえず魔力操作をやってる二人からは距離を取ったほうがいいだろう。

 あとはソミュールも起こさないようにして、そうなると当然のようにロイからも距離が空くのでちょうど良さそうだ。


「ここらでいっか」

「よーっし、負けないぞー!」

「おっ。私だって負けないぞー」


 ダラダラ言い合いながら距離を取り、向かい合って杖を構える。

 これからやるのは純粋な魔力の押し合いだ。

 それ用の呪文もあるので、怪我とかの心配もしなくていいのが嬉しいところだ。


 やるのは本当に久々なので、演唱を間違わないようにしないといけない。

 まあ、間違えたらシャムも気付くだろうしそうなったらやり直しでいいか。

 誰が見てるわけでもないし気軽にやろう。


「これなるは純なる魔力の腕比べ」

「手出し口出し一切不要」

「いざ尋常に!」

「勝負!」


 言い終わると同時に、正面に向けてかなり大きな魔力の塊が押し出された。

 この手合わせ、魔力量にも結構左右されるので私は中々強い方だったりする。

 それでもコガネ姉さんに勝てた覚えがないんだけどね。姉さん曰く、姉さまからの魔力の補給が自動で行われているからそれの影響もあるんだろう、とのことだ。


 演唱時は両手を広げていたので、押し合いが始まった後に改めて杖を持ち直す。

 別に体勢はそのままでも出来ないことはないんだけど、やっぱり杖は両手で持って正面に向けている方がやりやすいし落ち着く。


「お、いけそういけそう」

「セルちゃんつっよい……!」


 魔力はこうしてそのまま押し出した状態だと結構個人差が見て取れる。

 基本的にはその人の属性に寄ってるんだよね。

 なので私の魔力は魔視で風の魔力を視た時にちょっと似ている。あれよりは薄い色だけれど。


 ついでになんだか渦を巻いている気がする。

 シャムの方は真っすぐで、薄っすら黄色な気がする。確かシャムは光だったはずだから、それであの色なんだろう。


「あー!」

「よし、勝った!」

「セルちゃん強い……圧倒的魔力量の差……」


 考えながらぐいぐい押して、力技で勝利をもぎ取る。

 勝てる気がしなーい!と叫んで地面に寝転がったシャムに笑いながら寄っていき、起こそうとしたところで他の皆が居る方が騒がしいことに気が付いた。


「なんだろ」

「行ってみよっか」

「うん」


 ここからだとよく見えないけれど、そもそも同じ敷地内には居るので駆け足で五秒くらいで騒ぎの中心には到着する。どうやら魔力操作組の方に人が集まっているみたいだ。


「昨日もこんなん見た気がするー」

「私もー。立て続けだねぇ」


 なんて話しながら寄って行ったら、私たちに気付いたらしいコガネ姉さんがこちらを見た。

 今回はミーファではないみたいだけれど、そうなるとリオンが何かあったのかな?

 いつもなら何もなくても近付いたら反応するのに、今は全然動かないし。


 とりあえず正面に回ってみよう、と思い付きでコガネ姉さんの横に移動したら、リオンが少しだけ反応してこっちを向いた。

 戸惑っているような表情は珍しいなぁ、なんて思ったのは一瞬で、直後に思考と行動が同時に停止してしまう。


「えっ、リオン、目、光ってる」

「光ってんのかこれ……」

「うん。光ってる。リオンからはどう見えてるの、それ」

「なんか……すげぇことになってる」

「何も分からん」


 目が光っている、と言っても、そう見えるだけなのかもしれないけれど、何か本能に近いもので光っているのだと思った。

 キラキラしてるってわけじゃないんだけどな。暗闇なら分かりやすいのかもしれない。


「うーん……慣れてくるともう少し上がりそうかな」

「これ以上があるんすか」

「鬼人なら、角とか生えるんじゃない?知らないけど」

「コガネ姉さんがアオイ姉さまみたいなこと言ってる……」


 今後まだまだやり込んでいくべきかな、なんて話していたら影からトマリ兄さんが生えてきた。

 私やコガネ姉さんは慣れているから何も思わなかったのだけれど、ミーファがしゃがんだ状態からびょんっと跳んでかなり後ろに行ってしまった。


「魔法の核が見えるかだけ試そうぜ」

「ああ、そういえばそんな話からこれやってたんだっけ」

「リオンその状態保ててんな?」

「うっす」

「セル、適当になんか魔法」

「はーい」


 雑に振られたので、雑に風の塊を作ってリオンの正面になるように自分の後ろに浮かせる。

 このまま斬ってみよう!ってなるようなら広い場所に動かせばいいだけだしね。

 風なので魔視無しでは見えない訳なんだけど、リオンはじっと風を見て小さく驚きの声を出した。


「なんか……中央に小せぇ球みたいなのが浮いてんな……ぼんやりだけど」

「見えてんなら斬れんだろ。やるか」

「今からっすか」

「まあ、早い方がいいと思うよ」

「セルー」

「はいはい」


 思った通り、斬ってみように移行するらしいので風の球を浮かせつつ立ち上がる。

 今回はこのままやるけれど、風は斬りにくいらしいからこの後はやっぱり氷とかにした方がいいかもしれない。


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