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学び舎の緑風  作者: 瓶覗
219/477

219,合流と寄り道

「セルちゃーん!」

「あ、シャム。お疲れ」

「お疲れ!セルちゃんの方も終わった?」

「うん、とりあえずね」


 ギルドでぼーっとしていたらシャムが駆け寄ってきた。

 リオンとロイものんびり歩いて来ているのでとりあえず手を振っておく。

 クエスト完了報告を済ませに行くシャムにはリオンがついて行くらしく、ロイは私の横で止まった。


「どんなクエストだったの?」

「泉の調査。何より報告が疲れた……」

「お疲れ様」

「そういえば、ロイは未発見の属性って言われて何かピンとくるものある?」

「未発見の属性……んー……幻獣とかの魔力が全くの別物に見えるみたいな話は聞いたことあるよ」


 なるほど、幻獣。

 それなら基本的には現れないままだし見覚えが無くて当然か。

 あの場所に幻獣が出現したのかどうかは一旦置いておいて、納得したので満足だ。


 幻獣が現れたの?と聞かれたけれど結局そこは分からないままなのでもしかしたらそうかもしれない、とだけ返事をしておく。

 そんなことを話している間にシャムの手続きが無事に終わったようでニッコニコで駆け寄ってきた。


「ね、このままちょっとお茶しに行かない?」

「いいぞー」

「僕もセルリアの話もう少し詳しく聞きたいな」

「お?何の話してたの?」

「調査結果。まあ、とりあえず移動しよう」


 どこに行くかはシャムにお任せする。

 なにやら行きたい喫茶店があるらしいのだ。

 一体どこでそういう情報を拾ってくるのかは全く分からないけれど、別に異論もないので迷いなく進むシャムについて行く。


 向かう先は大通りの更に先、学校とは別の方向だから王城の方かな?

 あんまりお店は多くない場所な気もするけど、静かな喫茶店ってことならいい雰囲気かもしれない。

 なんて考えながらシャムの初クエストの話なんかを聞いている間に目的のお店についたようだ。


 綺麗な外装と、可愛らしい看板。まだ開業間もない感じのお店だ。

 ……シャムは本当にどこでこのお店の話を聞いたのか。戻ってきてから一人で街に繰り出したりはしていないはずなんだけどなぁ。


「お、空いてる空いてるー」

「新しいお店?」

「うん!半月前くらいに出来たらしいよ。食堂のお姉さんが教えてくれたの」

「食堂のお姉さんたちとも個人的に仲良しなのすごいよねぇ」


 聞く前に情報の出どころを教えて貰えた。

 なるほど、食堂のお姉さんたちならこういうお店の出現には敏感だろう。

 何をどうやってお姉さんたちと仲良くなったのかが一番気になるけどね。


 なんて話しながら店の中に入り、案内された席に座る。

 こういう時の座る位置が何も考えていないのに食堂と同じ並びになるの、なんというか身体に染みついてる感じがするよね。


「私ケーキセットにしよーっと」

「私もセットにしよう」

「俺ミックスサンド、大盛で」

「サンドイッチの大盛ってなに……?」

「知らねえけど出来るって書いてあるぞ」

「ロイなににするー?」

「僕はお茶だけでいいかな」


 流れるように全員の注文が決まったので店員さんを呼んで注文を済ませ、話題は私の行ってきた調査クエストのことになった。

 私としてもシャムが何か知っているなら話を聞きたいし、特に話してはいけないなんて言われていないので話すのは別にいい。


 まずどこから話そうかなぁと考えて、とりあえずクエストの内容から話しておくことにした。

 順番に話した方が分かりやすい……かは置いておいて、私が混乱しないからね。

 泉の妙な魔力の話になったところで、頼んでいたお茶とケーキ、そして大盛りのサンドイッチが運ばれてきたので話を中断する。


「本当に大盛りのサンドイッチだ……」

「うめぇ」

「良かったね」


 シャムと私は別のケーキを頼んだので一口交換したりしながら、半分ほどまで食べ進めて話を再開する。

 ……ロイがお茶飲んでるとやけに優雅だな、なんでだろう。


「えーっと、どこまで話したっけ?」

「泉にあった魔力の話!セルちゃんも見覚えない魔力だったんだよね?ってところ」

「ああ、そっか。うん、全く見たことない魔力だったから、十六個目の属性の存在とか疑ったりしたくらい」

「……見てみたい」

「流石に今からはいけないし危ないから駄目だよ」

「分かってるけど見てみたいー!」


 シャムが見れば何か分かるのかもしれないけれど、そんなに近いわけでもないからね。

 私はシャウラさんという冒険者の先輩が一緒だったけど今から行こうとしたら四人で行くことになる。それは流石に危ないよね。


「泉の中に蹄の跡もあったから、それが夜に目撃された獣だと思うんだけど……」

「そっちは見つかんなかったんだよな?」

「まあ、元々目撃されてたの夜だからね」

「……気になるなぁ」


 ロイとシャムが声を揃えてそんなことを言うので、思わず笑ってしまった。

 研究職の知識欲に火をつけてしまったなぁ。つけるだけつけておいて申し訳ないが無理なので諦めてね。そのうちギルドの方から結果報告聞けると思うから。


「水辺の幻獣ってなんか居んのか?」

「まあ、それなりに居るよ」

「蹄があるってなるとちょっと絞れそうだけどね」

「学校戻ったら調べてみようか」

「というか、レースさんの担当教科って幻獣研究じゃなかったっけ」

「え、そうなの?」

「じゃあ聞いてみようぜ」


 話しながらケーキを食べきってお茶を飲む。

 リオンの大盛サンドイッチももう食べ終わりそうだ。

 なんで可愛らしいケーキと同じくらいの速度で大盛サンドイッチを食べきっているのか。


 疑問に思っている間にお茶も飲み終わったのでちょっと息を吐いてから会計を済ませることにした。

 まだ遊んでいても問題ない時間ではあるけど、調べものもあるので早めに学校に戻るとしよう。

 レースさんに迷惑かけるわけにはいかないから聞くなら生徒の少ない学校再開前がいいんだよね。


「行くぞー」

「あの肉買ってきていいか?」

「まだ食べるの?」

「夕食まで待った方がいいんじゃない?」


 リオンの食欲は一体どこから来ているのか。

 今日は良く動いたってほど移動もしてないってシャムから聞いてるんだけどなぁ。

 まあ、いつも通りと言えばそれで終わりなんだけどね。


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