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学び舎の緑風  作者: 瓶覗
217/477

217,たまには別行動もする

 光を感じて目を開け、ぼんやりしたまま身体を起こす。

 ああ、そっか。昨日学校の寮に戻ってきたんだった。

 とりあえず起きて着替えを済ませ、朝食を食べに部屋を出る。


 まだ人も少ないから用意されている朝食もそれほど多くはないけれど、それでも複数種類用意されているし充分豪華の枠に入るだろう。

 しかも無料だし。有難い限りだね。


「おはよう、セルリア」

「おはようロイ」

「人と一緒に朝ごはん食べるの久しぶりだな」

「リオンは起きないもんね」


 話しながら朝食を食べる。

 ロイは宿に泊まっている間もちゃんと起きて朝食を食べていたらしく、リオンが昼頃に起きてくるまでは一人であれこれやっていたらしい。


 筋トレしたり木刀で素振りしたりと毎日地道に身体を鍛えていたらしく、それが終わったら読書とか去年の復習とかをしていたんだとか。

 あまりにも真面目。リオンが起きてこないから一人で暇だっただけだよ。とロイは言うけれど、それでも毎日続けられるのは凄いと思う。


「叩き起こしてもいいと思うけどなぁ……」

「特別することがあるわけじゃないしね」

「そう?」

「うん。……今日は起きて来るかな?」

「来るんじゃないかなー」


 今日はシャムが冒険者登録をするからついて行く予定になっている。

 とりあえず私はついて行くしロイもすることないから行こうかなーと言っていたので、意外と寂しがりなリオンはどうにか起きて付いてくるだろう。


 予想通り、特に意味もなく四人で行くことになりそうだなぁと笑う。

 ロイも同じようなことを思っていたのか笑っていて、朝食は食べ終えたので準備をしに部屋に戻ることなった。


 まあ、荷物は既に纏めてあるから持って出るだけでいいんだけど……

 それだとちょっと早すぎるかな?でもすることないしなぁ。

 時計片手にちょっと考えた結果、出た結論はまあ行って待ってればいいか。だった。


 そうと決まれば行動は早い。

 腰にカバンを付けて財布とか必需品を入れて、杖を持って部屋を出る。

 髪は朝のうちにポニーテールに纏めてあるし、服もギルドに行く前提で選んであるのでこのまま出て大丈夫。


「よーし。ま、ロイもすぐ来るでしょ」


 独り言を呟いて杖をクルリと一回転。

 こういうことしてると学校に戻ってきた感を感じるんだよなぁ。

 家だと一人で居ることがあまりないから独り言にならないんだよね。


 廊下をテクテク歩いて寮を抜けて教室を抜けて中央施設を抜けて正門近くの木に寄りかかる。

 今日はちょっと雲がかかっているけれど、そのくらいの方が暑くないしちょうどいいかもしれない。

 なんて考えながら空を見上げていたら足音が近付いて来た。


「あれ、早いねセルリア」

「やる事なかったからね」


 思った通りロイも早めにやってきたので木陰で雑談に興じることにした。

 朝食中は食べるのに意識割いてるから話してないこととかもあるし、話している間に二人も起きて来るでしょう。


「セルリアはもうレイピア買ったの?」

「うん。どうにか最初に持つに相応しいだろう物を」

「大変だったんだね」

「うん……」


 最終的にはどうにかなったから良いけどね。

 なんてのんびりと声に出し、左手で杖をクルクル回す。

 今年の授業の話なんかをしていたら建物の方からシャムが歩いてきて、寝起きでポヤポヤなシャムのほっぺを両手でいじくりまわしていたらリオンも駆け寄ってきた。


「おっしまだ居たな!」

「おはようリオン」

「シャムもさっき来たんだよ。……起きてる?」

「うん。セルちゃんが私のほっぺ捏ねるから……」

「とても柔らかかった」

「そっかぁ」


 なんやかんややっている間に全員揃ったのでとりあえずギルドに向かう。

 さっさと終わればそれでいいし、時間がかかりそうなら早めに行く方がいいからね。

 シャムも魔法で物を浮かせたりは出来るから運搬系のクエストがあると良いんだけど。


 ご飯はまあクエスト選んでからでもいいだろう。

 リオンはお腹空いてるならどこかで買い食いして待ってるだろうから気にしなくていいし、リオンが行くようならロイも一緒に行く気がする。


「あれ?セルリアだ。ちょっと久しぶり?」

「シャウラさん。お久しぶりです」

「今日はクエスト?決まってないならちょっと手伝ってほしいんだけど……」

「実は今日私は付き添いなんですよね」


 ギルドの中に入ってすぐに後ろから声をかけられた。

 振り返るとシャウラさんがクエスト受注の紙を片手に歩いて来ている。

 リオンは休みの間も時々会っていたらしいけれど、私は休みの間は冒険者活動はしていなかったのでシャウラさんに会うのも久しぶりだ。


 そして久しぶりで申し訳ないが、今日は予定があるんですよね。

 あら残念、と軽く言ったシャウラさんは魔法使いを探してたのかな?

 一応他にも魔法使いだろう人の姿は見えるのでそっちを当たってもらって……


「セルちゃん、行ってきても大丈夫だよ?リオンとロイ引っ張ってくし」

「そう?まあ、そんなに大人数で行くもんでもないしなぁ」

「ついて来てくれる流れかな?」

「はい。何する予定ですか?」

「そのあたりはご飯食べながら説明しようか。とりあえずクエスト受けに行こう」

「はーい」


 言葉の通りリオンとロイを既に捕まえていたシャムに笑い返し、臨時パーティー申請のためにシャウラさんについて行く。

 申請を済ませてクエストを受注し、大通りから少し外れた食事処に入って注文を済ませた後にようやくクエストの話になった。


「クエスト、討伐じゃなかったですよね?」

「うん。前にアンプラの群れを討伐した泉、覚えてる?」

「覚えてます」

「あそこに妙な魔力があるのと、夜に見たことのない獣を見たって報告があったからその調査。セルリアは魔力の異常に敏感だから手伝ってほしくて」

「なるほど。獣の方はいいんですか?」

「昼と夜で別任務になるんだ。居るのかどうかと、居たとして夜行性かどうかを調べないといけないからね」


 もしかして指名されたクエストなのかな。

 シャウラさんはよくこういう調査系のクエストを受けている気がする。

 ちゃんと判断できる人が行かないと意味がないから指名されていたりするのかもねーなんてリオンと噂していたこともあるんだけど、聞いたら答えて貰えるだろうか。


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