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学び舎の緑風  作者: 瓶覗
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107,続々と戻ってくる生徒たち

 抜けるような晴天の下、学校の門のすぐ内側の木陰でリオンと一緒にロイとシャムが戻ってくるのを待っていた。

 図書館で借りてきた本のページを捲り、時々人が歩いてくる気配を感じて顔を上げる以外は読書に意識を向ける。


 一定のリズムで身体が上下に動き、声を出そうとするとうっかり舌を噛みそうになるので基本的に無言のまま時間は流れて、二人分の足音が聞こえた気がして顔を上げる。

 目線の先、こちらに向かって歩いてきているのはまさにシャムとロイだった。


「お、戻ってきた」

「おー。どっちだー?」

「二人ともだよ、一緒に来たんだ」


 本にしおりを挟んで閉じ、歩いてくる二人に手を振る。

 シャムが手を振り返してくれた。そして、驚いた表情で小走りになった。


「セルちゃん!リオン!何してるの!?」

「読書」

「筋トレ」


 驚いたまま固まってしまった二人をよそに、私はリオンの背中から降りる。

 ここで二人を待つのは前の休み明けにもやったけれど、前はあまりにも暇だったので今回私は本を持参していた。


 そうするとリオンだけ暇になってしまうので、リオンは筋トレを始め、腕立て伏せの負荷係として私はその背中に座って読書をしていたのだ。

 ちなみに昨日もしてたので、先生たちからは今日もするのか、と言われた。


「なんていうか、二人とも元気だね」

「私は本読んでるだけだけどね」


 元気なのはリオンの方だろう。

 私が居なかったら剣を背負ってやっているらしいし、私の十倍くらい元気。


「というか、二人は一緒に来たんだね」

「途中で会ったんだ」

「ロイと一緒になったのもビックリだったけど、それよりセルちゃんたちの方がビックリだったよ……」


 そんなに驚くことだろうか、とも思ったけれど、研究職の方では見ることのない光景なのだろう。

 戦闘職の方では、練習試合の順番待ちに筋トレを始める連中が居たりするのでわりかし見慣れた光景なのだけれど。


「なにはともあれ、お帰り二人とも」

「ただいまー!」

「ただいま。二人は今回も戻ってくるの早かったんだね」

「今回もリオンが一番乗りだったらしいよ」


 寮が開放されたその日に戻ってきたらしいので、四人の中でどころか全体で見ても一番乗りだったかもしれない。

 宿に泊まるより安全で代金も発生しないのでフォーンにずっと残っている人たちは寮開放日に一斉に戻ってくるのだとヴィレイ先生が言っていた。


「荷物置いてくるから四人でお茶しようよ!みんなの休みの話聞きたい!」

「そうだね、僕も色々話したいしそうしようか」

「おー。腹減ったしなんか食うか」

「じゃあ私とリオンは先に食堂行ってようかな」


 木陰に立てかけて置いた杖を手に取って歩き出し、寮に向かう二人に手を振ってリオンと共に食堂に向かう。

 私はお茶だけにしたのだけれど、リオンは運動してお腹が空いたからとサンドイッチセットを頼んでいた。


「リオンそれ食べた後に夕飯も食べるの?もう四時だよ?」

「あ?余裕だろ」

「わあ、常識の違い」


 食べる量の違いは分かっていたはずだけれど、夕飯の前にこの量を食べるのには少し驚いてしまう。

 とりあえず私はお茶を飲みつつ食堂の入口を確認する。


 少ししてからロイが現れ、お茶を持ってきてリオンの横に腰を下ろした。

 お茶請けのクッキーも持ってきている辺り、小腹が空いているのかもしれない。


「リオンはまた休みの間冒険者活動に精を出してたの?」

「おう。まあ今回はセルが来たりもしてたけどな」

「ソミュールのところでミーファと一緒に全力の追いかけっこしたりしてたね」

「楽しそうだね」

「お、ロイもやるかー?」

「体力作りにはなるかな……?」


 意外とやる気みたいだ。これは明日にでも全力追いかけっこを開催するべきかもしれない。

 もしやシャムも混ざったりするだろうか。そうなるとかなり楽しいことになるのだけれど。

 なんて考えていたらシャムがやってきてお茶を片手に私の横に座った。


「なになに?何の話?」

「全力追いかけっこの話」

「なにそれ楽しそう」

「シャムも参加か。ソミュールとミーファも来るなら結構人数増えるな」


 流れるように追いかけっこ開催が確定事項になった。

 ついでに日程も明日でまとまった。ミーファとソミュールが来るのが先か私たちが疲れ果てるのが先か、みたいなことになりそうだ。


「さて、と。んで?シャムとロイは休みの間何してたんだ?」

「私は村の書庫に籠ってたかなぁ。タミン……村の子と一緒に、色々と調べ事をね」

「僕は研究室からの課題をやったり村の子供たちに勉強教えたりしてたよ」

「つまりは……前と同じ?」

「まあ、そうだね」


 お茶を飲みつつ話を聞きつつ、ついでにこちらの休み中の話もしつつ。

 ダラダラ続いたお茶会はそのまま夕飯の時間までもつれ込み、そのまま夕飯を食べることになった。


 当然のように誰よりも多い量の夕飯を持ってきたリオンに若干畏怖の念を抱きつつ私は軽めに夕食を取って話の続きをする。

 それから授業が再開された後の話になった。


 それぞれが専攻する授業は、私が攻撃魔法、リオンは大剣、シャムは魔物研究でロイがダンジョン補佐らしい。

 ロイはもっと別の物を専攻するのかと思っていたので少し驚いた。


「じゃあロイが冒険者登録したらダンジョン探索出来るようになるな」

「あはは。そうなるように頑張るよ」

「じゃあ私もついて行けるようにサポート魔法でも鍛えようかな」

「お、四人でダンジョン探索する?」


 シャムは魔物研究を選択したようだし、その面だけでも十分居てほしい人だけど彼女はハーフエルフなので魔法適性も高い。

 攻撃魔法よりも補助魔法の方が好きだという話は前に聞いたこともあるからついて来てくれるなら非常に有難い。


 私は自分で攻撃する方が好きだからね。補助も出来なくはないけれど、基本的には攻撃魔法を応用して補助に回していることの方が多い。

 補助魔法担当がいればリオンが戦いやすくなるし、私も攻撃に専念できるのでいいこと尽くめなのだ。


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