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学び舎の緑風  作者: 瓶覗
105/477

105,冒険者登録完了

 ギルドの中にはいくつか受付があり、一番窓口数が多い所がクエスト受付口、その横にクエスト発注口があり、少し離れたところにその他受付窓口がある。

 私が行くのはその他の窓口だ。新規受付はそこだと確認はして来てある。


 そんなわけでその他窓口に向かうと、そのカウンターに座っていた職員のお姉さんがこちらに気付いて笑顔を浮かべた。

 人見知りしがちな私としては、優しそうな人が居てくれて有難い限りだ。


「こちらその他受付窓口です。本日のご用件は何でしょう?」

「新規で冒険者登録をしたいんですが……」

「新規登録ですね、畏まりました。お名前を教えていただけますか?」

「セルリアです」

「セルリア様ですね」


 受付のお姉さんがカウンターの裏から一枚の紙を取り出して何か記入を始めた。

 私が書くものかと思ったけれど、文字の読み書きが出来ない人も居るからギルド職員が記入するのかもしれない。


「まずは登録料の説明をさせていただきますね。登録には五ヤルが必要になります。手持ちでない場合は仮登録となり、一つクエストをこなしていただいてその報酬を天引きして本登録となります。

 この場で支払っていただける場合はそのまま本登録となります」

「支払いでお願いします」

「畏まりました」


 財布から銅貨を取り出してカウンターに乗せると、それが回収されていき書類の項目が一つ埋まる。

 サラサラと紙の上を走るペンの動きを目で追っていたら、記入を終えたらしいお姉さんが顔を上げた。


「続いて冒険者としての情報を身体のどこか一部に刻ませていただきます。イピリアでは魔力照合が出来ないので、刻んだ情報を見せてクエストを受けていただくことになります。

 どこがよろしいですか?」

「右腕でお願いします」

「はい。では腕を出していただけますか?」


 上着を脱いで袖をまくり、腕をカウンターの上に乗せる。

 二の腕の外側にしてもらうことになり、お姉さんが謎の魔道具を腕に当てて起動させ、光ったと思ったら魔道具が離れていった。


 腕を見るとそこには何か不思議な文字が書かれていた。

 冒険者ランクが上がるとこの文字も変化していくらしいので、その時にまた見てみよう。

 そんなことを考えながら袖を戻して上着を着直す。


「登録はこれで完了です。次に、クエストについての説明をさせていただきますね」

「お願いします」

「まずはランクについての説明をさせていただきます。ランクは冒険者の実力を示す指標であると同時に受けられるクエストの基準にもなります。ランクは下からF、E、D、と上がっていきます。セルリア様はFランクからのスタートになります」


 話しながら見せられた紙には冒険者ランクと昇格の条件が書いてあった。

 FランクからEランクに上がるにはいくつかクエストをこなすだけでいいようだ。

 Dランクに上がるのには小型の魔獣を討伐したという記録が必要になるようなので、気にするのはそのあたりからでいいだろう。


「基本的には自分のランク以下のクエストしか受けられませんが、ギルド側からの申請やパーティーの加入で受けられるクエストの幅が変わります。

 クエストを受注する際はあちらのクエストボードから選び、クエスト受注窓口にお持ちください。

 クエストの内容が分からない場合は職員にお声がけいただければ説明させていただきますので、遠慮なくお声がけください」


 示されたクエストボードの方を見ると、リオンが誰かと話していた。

 冒険者仲間だろうか。国の中で終わるクエストをあれこれ受けているからなのか、リオンは意外と知り合いが多いのだ。


「クエストボードに張り出しているクエストは紙の縁の色で種類分けがされています。

 採取クエストは縁が緑色、探索クエストは黄色、小型魔獣の討伐クエストは赤色、大型魔獣の討伐クエストは黒色になっていますので、一つ判断基準にしていただければと思います。

 クエストのランクは右上に記入されていますのでご確認ください」


 確かに遠目から見てもいくつかの色を確認できた。

 黒はあんまりないみたいだ。多いのは黄色だろうか。多分ダンジョンの探索などが黄色なんだろうし、新しい魔窟が見つかったとかがあれば人も多く出入りするだろうから数も多くなるのだろう。


「続いてパーティーの説明になりますが……こちらはパーティーを組む際に説明を受けていただいても結構ですが、お聞きになりますか?」

「お願いします」

「畏まりました。冒険者パーティーは二種類あり、正式なパーティーと臨時パーティーがあります。

 正式なパーティーを組むにはいくつかの手続きが必要になり、パーティー解散時も手続きが必要です。その代わり、個人ランクとは別にパーティーランクを取得できます。

 パーティーランクが高ければ個人ランクが足りない場合もパーティーでクエストを受けることで受注が可能になります。


 臨時パーティーは特別な手続きは必要ありませんが、パーティーランクは取得できません。

 一つのクエストを複数人で受けるための仕組みなので、一度のみで解散になる場合が多いです。

 臨時パーティーは一番ランクの低い方に合わせてクエストを受注していただくことになります。

 報酬はこちらで均等に分けてお渡しする形になります。


 以上がパーティーの説明になりますが、なにか不明点などはございますか?」

「とりあえず大丈夫です。ありがとうございます」

「いえいえ。では、説明は以上になります。セルリア様の冒険者登録は完了しましたので、すぐにクエストを受けていただいても大丈夫です」


 ランク上昇の条件が書かれた紙は貰っていっていいそうなので、受け取ってカバンの中に入れる。

 これで私も晴れて冒険者の仲間入りだ。

 とりあえずは薬草採取のクエストでも受けてランクを上げていくことになるだろう。


 いつから始めようかな、なんて考えながらクエストボードに向かい、何か確認していたリオンの肩を叩く。

 受けたいクエストでもあったのかと思ったけれど、そういうことでもないらしい。


「終わったか?」

「うん。気になるクエストでもあったの?」

「んー……ずーっと張られてるのがあんだよなぁ」

「難易度高いの?」

「いや、運搬だから単に面倒なんだな」


 気にはなっているみたいだけれど、リオンもお腹が空いているらしくとりあえず食事にしようという話になった。

 まだどこで食べるか決めて居なかったので街をぶらぶら歩いて決めることにしてギルドの外に出る。


「何食べたい?」

「んー、肉」

「ざっくりだなぁ……」

「セルはなんか食いたいもんあんのか?」

「……麺類」

「お前もざっくりじゃねえかよ」


 その通りだけどなんかムカつくので杖をぐるぐる回しておいた。

 あぶねえ!と言って飛びのいたリオンに軽く笑い、真面目にどこで昼食を食べるか考える。

 麺と肉がある所、というと割とどこでもある気がするけれどどこがいいだろう。


「とりあえず通り進むかー」

「そうだね、目に付いたところ入ろ」


 この流れはいつもの店に入る流れな気もするけれど、それでもまあいいだろう。


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