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報われない!

 森杉の嫌がらせは鳴りをひそめた。

 神田さんが働きかけてくれたのだ。


 勘のいい人間はなんらかの気配を察していて、

 私になにがあったのを尋ねてきた。


 私は絶対に口外しないことを条件に

 カウンセリングに行った事実だけを話した。

 だけど、相談した内容までは教えなかった。


 もしかしたら森杉の傘下かもしれないのだ。

 やつにそこまでの人望があるとは考えにくいが

 万が一の可能性すらも潰しておきたかった。


 私が一週間の出張を終える頃、

 森杉は入れ違いで県外に行っていた。

 私は深く安堵した。

 悩みの種が消えてくれたことを素直に喜んだ。


「そういえばお前、

 フルマラソンと漢字検定を受けるって言ってたよな」

 来月の出勤簿を見ながらその人は言った。

「はい。すでに申し込みも完了しています」

 フルマラソンはランネットで申し込み、

 コンビニ払いまでを済ませた。

 漢字検定は書店で申し込み、

 その場で支払いも行っていた。

 総額で15,000円ちょっとである。


「悪いんだけどさ、

 今度は埼玉に出張してくれないか?」

「え、またですか」

 とは、さすがに言えない。


 この職場に味方がいないにしても

 無闇に敵を増やしたくもなかった。


「わかりました」

 そう言いつつも、落胆の色は隠せない。

 せっかく小説を書かずにがんばったのに。


 小説は書かなかったというよりは書けなかったのだが、

 それでもその努力が報われないのは悔しかった。

 せめて小説を書かなくて良かったというエピソードがほしかった。


 実施会場はどちらも新潟だ。

 しかも出張期間に被っている。


 いや、余計なことを考えるのはやめよう。

 社会人なんだから耐えることも大事だろう。

 そう動画投稿サイトを見て退屈をまぎらわすことに決めた。

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