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初めての殺人




 騎士達と傭兵達が互いにぶつかり合う、その直前。その場に、一陣の風と共に蓮慈が割って入る。

 そのいきなりの登場に両方、ピタっと動きを止める。蓮慈はボリボリっと後頭部を掻き、苦笑いを浮かべる。



「………あちゃー、止まるとこ間違えた。恥ずかしいヤツじゃんこれ」



 へへへ………っと愛想笑いをする蓮慈だが、周囲の態度は冷たく、何コイツ?と顔に書かれている。


 取り合えず、敵か味方か分からない男の登場に、騎士達は「危険だから下がりなさいっ」と一言。流石、王国民の頼れる味方。

 対するアウトローである傭兵達は怪訝な表情で、蓮慈を一瞥して大して驚異ではない判断した。それが、運命の別れ道とも知らずに。



「おいおいっ、クソガキ。なんだぁ?かっちょ良くでてきて正義の味方の真似事かぁ??新米冒険者如きが意気がってんじゃねぇーぞ!?」



 傭兵の一人が右手に持つの得物である戦斧を蓮慈に向けて唾を飛ばす。それに対して、苦笑いではなく蓮慈は本当に困った表情になった。



(まず、正義の味方じゃないし、新米冒険者でもないんだけどなぁ。でも、冒険者って職業やっぱりあるんだ………)



 と思いながら、一歩踏み出し、傭兵の右腕を掴み更に右肩を掴んで固定すると、そのまま文字通り右腕を引っこ抜いた。

 右肩をしっかり固定していたお陰か、何の抵抗もなく右腕は右肩から引き千切れ、ドバドバっと真っ赤な液体を吹き出す。


 蓮慈は大量の返り血を浴びながら、痛みに悶絶し声も出せない傭兵が地面に這いずり回るのを眺める。


 その光景に周囲は唖然とし、誰も動く事が出来ない。まるで時が止まったようだ。



「………あっ。一応確認しますけど、やんごとなき御身分の方に盗賊行為って極刑ですかね?」



 体の左半身をベットリと返り血で濡らしながら、騎士達に振り向き蓮慈は確認を取ってみる。しかし、大体の騎士達はビクッと肩を震わせるのみで返答がない。


 たかだか、腕一本引っこ抜いたシーンだけで固まる騎士達に、いやいやグロ耐性無さ過ぎでしょ?と思う蓮慈だが、素手のみで相手の腕を引っこ抜く者は居ないに等しい。


 やや間が開いて、放心状態なら立ち直ったニア・ホワイトルーレが代表としてようやく蓮慈の問に答えてくれた。



「う、うむ。こちらはセイドリッヒ王国の第一王女殿下だ。勿論、この様な狼藉を働く者には極刑が下るだろうが………」


「だろうが?」


「後処理の為に、事情聴取したいのだが………」


「………三人くらいは殺さない様にしないと」


「え?あっ」



 次の瞬間、傭兵の内五人が同時に死亡した。

 一人は地面に叩き付けられて真っ赤な染みになり、一人は吹き飛ばされて木に激突しバラバラに。二人は天高く打ち上げられて首から地面に落ちて頭部が潰れ、最後の一人は首が消滅していた。


 ここでようやく傭兵の呪縛が解け、彼等が一斉に騒ぎ立てる。曰く、化け物だ。やれ、悪魔だの、蓮慈に畏怖の言葉を放つ。が、全て彼の怒りを買うだけで他には何の意味もない。ただ寿命を縮めるだけの行いだ。


 蓮慈はその中でも我先にっと逃げ出す者から、高速で先回りして物言わぬ肉塊に変えていく。勿論、ただ殺している訳ではなく、直接攻撃型の技量(アビリティ)を使っており、確りと機能しているか検証しながらだ。


 そうしていく内に、様々な死因の死体が出来ていく。頭部に何だかの損傷を負って絶命した者。腹を抉られ内臓を引き摺り出された者。手足が引き千切れた者。身体を球体に圧縮された者。身体を三つ折りにされた者。全身の皮を剥がれた者。または、全身を焼かれ炭化した者。

 しかし、一番多かった死体は五体がバラバラになった者だ。これは蓮慈が単純に力を加減を間違えてバラバラにしてしまっただけで、故意にやった訳ではない。



「力が強すぎるのも問題だなあ。上手く制御が出来ないし」



 あーぁ、めんどくせっと呟きながら蓮慈は死体のオブジェクトを量産していく。傭兵達も黙って殺されていく訳ではなく、魔法や魔術など、技量(アビリティ)で反撃を仕掛ける者も居るが、音速を超えている蓮慈の移動速度に反応する事が出来ずに不発で終わっている。


 何の手応えもなく、作業をすること約三分。そこには濃厚な死の臭いが漂い、流石の騎士達も思わず口に手を当てていた。




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