Second
「今日は全国的に晴れ模様でしょう。ただ例年の平均気温を10度も下回るでしょう。何か羽織れるものを必ず持って行ってくださいね!」
テレビには、もうおじさん達の姿はなく、可愛いお天気お姉さんが今日の天気を教えてくれている。
時計の針ははちょうど11時30分を指していた。
4年ぶりの再会を果たした彼女は部屋に入るなり、体育座りをしながら無言でテレビを見ていた。
「それでは、今日も一日頑張って下さい!」
お天気お姉さんが、満面の笑みであいさつを終えてしまった。
そろそろ沈黙に耐えきれない…
体育座りしている彼女のワンピースからでた、太ももに思わず目が行ってしまいすぐにそらした。
やばい、もう限界…
「えーとですね、そろそろですね、来たわけを聞きたいのですが…」
30分かかりやっと第一声を発した。
「……。」
彼女は一瞬こっちを見たものの、まだ口を固く閉ざしている。
なんだ、なんなんだ。どおすれば良いんだよ!
もう既に僕の頭はキャパオーバーだった。
「こういう時は何も言わずに押し倒のが男ってもんだろ。」
「お前は黙ってろ」
ドヤ顔をしながら、また彼が現れた。1日で2回も現れるのは、おそらく新記録だろう。
「だいたいさ、元カノ様が会いに来たって事は何か相当な理由があんだよ。何か心当たりねえーのかよ?」
「ねえよ!別れた日から一回も連絡なんかとってねぇよ!」
「じゃあ、あれだ、お前の後に出来た彼氏にでもふられたんじゃねぇの?それで、寂しくなって誰でも良いから男に会いたくなったってとこだろ。」
「それは、あるかもな…。」
「じゃあ、ほら、早くしろよ!」
「何をだよ!」
「分かんねぇ男だな。さっきから押し倒せって言ってんだろ!」
「できるわけねーだろ!」
「はぁ…これだから、非童貞は」
「ゆき、最後の日の事覚えてる?」
「え?最後の日?」
童貞天使に気を取られてるうちに、彼女の口が唐突に開かれた。
「ゆきと喧嘩して別れたあの日の事!」
大きな声に少し驚いてしまった。
「もちろん、覚えてるよ。」
「私さ、気づかなかった。あの日、ゆきが私の為に嘘をついてくれたんだって。」
「いや、嘘なんかつかないよ。単純に好きな人が出来たって言ったよね」
「もう、いいよ。私聞いちゃったのお母さんに。」
「え…?」
「本当はあの日の前日、私のお母さんに会ってたんでしょ…」
「…」
「ごめんね、本当に…」
「…」
しばらく沈黙が続いた後、彼女は小さく深呼吸をしてこう続けた。
「私達もう一回やり直せるかな?」




