第4話:貴方の名前
(チュンチュン)
時刻は朝の7:00
紅月琴が目を覚ますと
そこには見慣れない天井があった。
「あ、あれ...何処ここ...」
彼女は少し考えた後
大きなため息をついた。
「はぁ〜...私なにやってるんだろ...まさか彼の家の玄関で倒れるなんて...」
琴は昨日おこなったことを少し思い出し...。
「うぅ...ばかばか!...私のばか...!」
琴は恥ずかしいやら悔しいやらで
ベッドを思いっきり叩いた。
「...あれ?」
ふと
琴にある疑問が浮かんだ。
「...そう言えば...アイツの名前...教えてもらってない...なんかムカつく...」
相手は自分の名前を知っているのに自分は相手の名前を知らない事に急に腹が立った彼女は...
「よし!アイツのこと叩き起して
名前聞いてやろう!」
彼女はベッドから
起き上がって近くのソファーで
寝てる鈴弥を叩き起した。
「ねぇ!ちょっと!起きなさいよ!」
「...んん...あれ...琴...おはよう」
寝ぼけ眼で見つめてくる鈴弥に
すこしドキッとしてしまった。
「う、うん...お、おはよう...」
「じゃなくて!!!
私の名前教えたんだから
アンタの名前も教えなさいよ!」
「えぇ?...あぁ、まだ自己紹介してなかったな...」
鈴弥はダルそうに身体を起こした。
「俺の名前は八雲鈴弥...」
「...八雲?」
八雲...その名を聞いた瞬間
琴の中にある嫌な記憶が蘇った...。
ある少年の姿。
周りにはおびただしい数の妖達の死体...
そして
返り血で真っ赤に染まった顔で
こちらに微笑みかける
...少年の顔。
「うぅ...!」
琴は恐怖で震えが止まらなくなっていた。
「...(八雲...その名は...)」
「い...おい!...大丈夫か!?」
「え...あ...」
琴を心配そうに見つめる鈴弥
その鈴弥の顔とあの血まみれの少年の笑顔が重なる。
「っ...」
「大丈夫か?...少し熱でもあるんじゃないか?」
鈴弥が琴の額に手を当てる
と
彼女の心から不安や恐怖が
少し無くなった気がした。
「...アンタの手...暖かいんだね」
「え?...あぁ、女の子と一緒に朝を迎えたんだからね...体温が上がって当然だよ」
「なっ!?...あ、あさを迎えたって!私たちは別々で寝たでしょ!?
ま、まさか...なにか間違いが...」
「あはは、それはないよ...大丈夫......」
「も、もう!驚かせないでよね!」
「ごめんごめん...って...あれ?」
鈴弥はあることに気づいた。
「な、なによ?」
「いや、昨日、巫女服だったのに...いつの間にか元の服装に戻ってる」
鈴弥の言う通り
玄関で倒れた時は巫女の姿だったが
今は初めて出会ったときと同じ
黒の半袖パーカーとミニスカートに戻っていた。
「あぁ、それね...別に大した問題じゃないわ」
「いやいや!大した問題だよ!
確かにミニスカ黒ニーソもいいかもしれないけど!」
「はいはい!...世の中に不思議なことがたくさんあるものよ
アンタも妖が見えるならもう慣れっ子でしょ?」
鈴弥はイマイチ納得出来なかった。
「うぅーん...俺としては一日中巫女服でも構わないんだけどな」
「嫌よ、巫女服は神聖なる衣装...
儀式とか大切な日とかにしか着ないんだから」
「ふーん...あれ...ってことは
昨日なにか神聖な儀式かなにかやったってこと?」
鈴弥がそう問いかけると
「っ.../////」
琴の顔がみるみる赤くなっていった。
「うぅ...思い出させるな!バカ!///」
「えぇ!?なぜだ!?」
「うっさい!知るか!バカァ!!!」
「え、えぇぇぇ!?」
琴が行ったとある儀式...
それを鈴弥が知るのは
まだ先のようだ...。




