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Dialogue

 


 問おう。人は何を愛するか?


「貴様の両親はまず初めに椅子もトマトジュースも無い所で質問をしろと教えたのか」


 もう一度問おう。人は何を愛するか?


「貴様、誰だ、何処にいる」


 最後に問おう。人は何を愛するか?


「我輩は如何なる時も焦りはしない、そして貴様の次元に合わせるが故に答えよう。人は箱庭、創造を愛する」


 何故人は箱庭を、創造を愛するか?


「それは人が主と、神となるからだ。人の願望欲望映す数ある創作物―――映画も、アニメもそうだ、仮初の世界、虚無を形にする事で人は絶対の安心を得る。気に入らなければ壊し、気に入れば残す。簡単な話だ」


 では人には可能性があるか?


「無論だ」


 何故?


「声は翁の癖に、頭は幼児だな、何故、何故と。まあいい、それは彼らが『無から有を創り出す』事が出来るからだ。何も無い所に形の無い箱庭を産み出し、そこに彼らでは無い創られた人間を産み出す。それらは動き、闘い、傷つき、生きる。頭の中のモノをカタチに。それが、創作物、それが、人間の持つ可能性」


 …


「正しく、魔法だとは思わんか」


 …


「黙っているのならば、今度はこちらの質問に答えてもらう。貴様は何者だ」


 私は何者でも無い


「では此処は何処か」


 此処は何処でも無い


「貴様は神か?」


 私は神では無い


「あの『目』は貴様の目か?」


 私であって、私ではないかも知れない


「成程。ユーモアのセンスは無いようだ」


 もう一つ問おう


「よかろう。姿見えぬ化生の分際で我輩に問いを投げかけるなど抱腹絶倒モノだが、甘んじて、答えよう」


 ヒーローとは何か


「正義の味方。弱きを助ける者」


 では正義とは何か


「すまんが、そういった深いスピリチュアルな問答は遥か昔にし終えているのだよ。観測点から見る角度によって容易に姿を変える無形の事象だ。正義の味方とは己が信念を正義とし、それに準じて行動する」


 君はヒーローに成り得るか


「愚問だな。人を超越した我輩こそ、ある種ヒーローの様なモノだ」


 では君は君がヒーローとしてあるという事に嘆かぬと


「然り。森羅万象天上天下何処を見ようとも、我輩より優れた種は存在しない。つまり我輩以外は弱き者と言っても過言ではない。ならば気まぐれで手を貸せばそれ即ち、ヒーローであるとは思わんか」


 理解した。では君に託すとしよう、ヒーロー


「待て待て待て、貴様は一体何なのだ」


 言っただろう。私は何者でも無いのだよ


「貴様は我輩に何を望む。託すとは、何だ」


 それは恐らく君の嫌う事象だ


「答えろ」


 それは


「それは」

 


 運命だよ、ヒーロー




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