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私に残った感情(モノ)
「君は普通の人として暮らしてきたみたいだけどさ!俺の…俺の大事な人を手にかけてまで…普通でいたいのかい!?」
頭の中に男の声が延々と流れてくる。
嫌だ。違う…違う…違う!!!
「ちがう…ちがう…ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい。」
男は呆れたように私を一瞥し、外へ駆けて行った。
それを私は呆然と見ていた。いや、眺めていた。
私が…人を…殺した。
そう、殺した。
あは、あはは。あはははははははは!!
悲しみも、怒りも何もかもなくなった私には笑いしか出てこなかった。
「あははははははははははははは、あははははははははは!」
赤い部屋に、少女の笑い声だけが響いていた。