失敗
DAN!!
爆音が轟く。
灼熱の大地が爆音を飲み込んですぐに静寂が戻る。
爆発の名残は何も残っていない。
小麦の髪が爆風に撒き遊ばれる。
小麦の髪の女の手が握る白銀の筒。
「侵入者……」
黒髪の青年がどこからともなく現れた。
「あら、違うわ。私はフレム。新たな太陽の支配者。あなたは私のもとに下るのよ」
小麦の髪の女フレムがゆっくりと微笑む。
「断る」
青年の淡々とした言葉とともに空間が歪む。
「戦うというの? 愚かなこと……。あなたに勝ち目はないのよ。大烏」
「侵入するだけでなく、不当に攻撃を加えた新参者に我が家を譲れぬ」
「不当? 正当な要求を示すための手段よ。心配しなくともあなたのことはちゃんと可愛がってあげるわ。イイコにしてたらね」
DAN!!
銀の筒が爆音を放つ。
閃光が青年の黒衣に吸い込まれる。
「戦闘空間すら張らずに攻撃を仕掛けて何を言う!」
青年の言い分にフレムの碧の瞳が薄く笑う。
「不の影響を与えたあなたへの信仰は揺らぐでしょうね」
ピンヒールの靴で足場を確認しながら微笑む。
「だから私は悪い大烏を管理するの。みんなが喜ぶわ」
銀の筒から三度閃光が放たれる。
同時に青年の手が弧を描く。
銀の閃光と焔の矢がぶつかり、衝撃を広げる。
「な?!」
「え……。嘘……」
赤い風が戦闘空間を渡る。
「ちょっとー。逃げられたぁああああああああああ?」
閉ざされた戦闘空間にフレムの絶叫が木霊した。




