嫌い?
―――神様……僕はうまれてはいけなかったのですか?―――
ココの環境は嫌いだ。
昔を思い出す。
己が存在を否定され続けることはロクなことじゃない。
周囲を嫌悪しながらも誰にもその嫌悪をあらわせない。
そしてその想いを吐き出せず溜め込んでゆく。
……壊れる一歩手前ですか?
「貴方は、私が嫌いなんですか?」
「嫌い?」
どこかで聞いたような会話。
それでもかつてとは役割が変わっているのが新鮮かもしれない。
「ええ、貴方は私が嫌いなんでしょう?」
噛み殺しにくい笑いがこみ上げる。
「何がおかしいんですか!?」
きっと今までも誰かが繰り返し続けてきた問答。
「嫌いですよ。でも、貴方のことは好きですよ」
「わかりません」
彼は拳を握りしめる。
ああ、笑いがこぼれそうだ。
「かつて、遠い昔、私も貴方と同じ疑問を人にぶつけましたよ。昔の自分を思い出すのでその質問は嫌いです」
彼は予想通り、沈黙した。
きっと理解してくれない気がする。
「そして思うんですよ」
「なにをですか?」
「貴方はご自分が嫌いなんですね。もう少し自分を好きになられることです」
彼は顔を真っ赤にさせ、踵をかえして行ってしまった。
「馬鹿ね。陛下のご不興をわざと買うのは得策だとは思えないわ」
「嫌われてますからね」
「そうね。ねぇ、私のことはお嫌い?」
「嫌いですよ。フレム、あなたは何者ですか?」
「私は私。太陽の制御者フレム・アーシュリーよ」




