公園にて
赤い煉瓦造りの遊歩道。
もとは緑萌える並木道だったのだろう。
今は枯れた木々が立ち並ぶ。
白い噴水は水をたたえず。
そこは乾いた荒んだ空気をたたえていた。
「子供のいない公園」
ゼオンは公園の外に広がる廃墟に目を移す。
「人の住まぬ町」
潤いのない町。
「……ヒドイ……」
少女の声にゼオンは頷く。
「異端審問があったらしい」
「イタンシンモン?」
サキの言葉にゼオンは再び頷く。
「実際のところはただの政権争いだろうけどな」
負けて処刑された男の娘が激情に任せ、この町から潤いを奪った。
その結果、此処は乾いた死の町になった。
「風の魔王軍による悪行」とされたこの町をゼオンは見に来たのだ。
「魔王軍の所業にしてしまえば何の問題もないと思ってるのかねぇ」
あきれたようにゼオンは呟く。
植物の育成を愛する彼にとってこの公園の惨状はせつない。
「……本当に対魔王軍潰さないか他の魔王にも相談持ちかけてみようかなぁ」
くすくす笑いながらゼオンは潤いのある風を町におくる。
「サキ」
「はい」
「この町を森に還しておけ」
ゼオンの背後でサキは膝を折った。
「承知いたしました。数日のうちには」