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枯葉
はらり
地面を埋める茶色の木の葉。
一踏みでカサリと乾いた音を立てる。
茶色にまみれて真紅が輝く。
ぽたりぽたり
地面に血の花が咲く。
しかしそれも新たに落ちた枯葉が覆い隠してゆく。
血にまみれた青年は焦点の合わぬ眼差しで、空を仰ぐ。
風が血痕を隠してゆく。まるで彼の罪を隠すかのように。
枯葉が舞う中、彼は歩みを止めない。
誰もそこにいない。
彼が無意識に放つ風の刃が、切り裂く。罪のない木々を、そこに住まう「いた」もの達を……
枯葉だけが彼の刃を逃れ、ただ、舞い落ちていた。