第一話 出会い
気がついてはいたのかもしれない。
世の中で起こる色々な事に。でもそれを見て見ぬふりをしていたのかもしれない。
メシアに。予言されていたのかもしれない。
☆
《メッセージは一件です。》
その、たった一言の携帯の音から全ては始まった。
《葵、ユリアが滅亡する。あなたが危険に遭遇するのもそう遅くはない。あなたの結界は薄くなっている。時間がない。その時まで…》
女の人の声…
今のは誰だったんだろう。何故私の名前を知っていて、電話番号まで知っていたのだろう。
私は携帯を耳にあてながらじっと立っていた。
ユリアとはどこの誰で、どんな人なのか。この人が言っている、滅亡と言うのは何のことのなのか。
疑問が頭をぐるぐると回ってる。
まるで、何かに取りつかれた様にピクリとも動かず。
今はちょうどお昼。
友達の麻里達と食べていたが、食べ終わった後にこの伝言に気づいて、聞いていた。
でもその伝言を聞いて見ると、この状況。
見知らぬ人から見知らぬ事を言われて、こうならない訳がない。
とにかく、この電話を返そうとした。
「…あれ」
私は着信履歴を見てつい、呟いてしまった。
そこには、あるはずの電話番号がなかった。
なのでもう一度伝言を聞くことにしてみた。
しかし不思議にその伝言もなくなっていた。
「…え…どうして…」
「葵ー!行くよー」
私がびっくりした表情で携帯をみていると、麻里が私と麻里の、空のお弁当を持ち私を呼んだ。
私は伝言などが気になったが、忘れる事にした。
☆
「じゃあこの問題を…水野」
あの伝言は一体何だったのだろう。
って…こんなに考えるのは可笑しいかな。
「水野?聞いてるかー」
「…え?は、はい?」
やばっ、全然聞いてなかった
なんかあの伝言と履歴の事で、頭いっぱいになっちゃった。
「よし水野。聞いてなかったか?」
「え、いや…」
私は焦って否定した。
「よし、じゃあこれ資料室に持って行ってくれ」
私は渋々はいと言って荷物を持ち、
資料室へ行った。
「ここかな…」
資料室はあまり用事が無いので入らない。
「すみません」
声がしないので誰もいないのだと思う。
そして置いてキョロキョロ見渡し、机に乗せ、帰ろうとした時だった。
「お前だ。」
1人の男性の声がした。
そしてこの男こそが、私の人生の鍵を握る事になる。