五ヶ所目 11
お久しぶりです。
ブチ撒けたい。
だけど、止めよう。
女の子に不満をブツブツ言って何になるんだろ。
折角の初合コンを台無しにするのは嫌だ。
そうだ!
家に持ち帰って、父さんと母さんと一緒に食べよう。
たまには、美味しいモノを家族で食べたい。
「すいません」
「どうしたんですか?まだ、お持ち帰りするんです?」
雪白さんが、不思議そうに小首を傾げる。
彼女の不思議そうな顔に、僕は自然と笑っていた。
だって、彼女のどんな顔も魅力的だ。
ウェイトレスさんを呼び止め、骨付きチキンを2本追加する。
ウェイトレスのお姉さんは、爽やかな笑顔で頭を下げた。
正直、お金の心配はある。
多分…2本分の代金は親から返ってくるハズ。
代金が返ってこなきゃ、1ヶ月は家に直帰しなきゃいけなくなる。
「ふおぉー」
花君が、ソースを頬につけて声を上げた。
花君……だからソース付いてるって。
「うわぁい!欧介君から、ほのへのチキンのプレゼントだぁ」
「えっ、それはどうかなぁ……ハハハッ……。」
ごめんね、ホノちゃん。
プレゼントしないから……。
「何で追加したんですか?」
雪白さんが真っ直ぐと僕を見つめてる。
見つめられるのは苦手。
「あの……恥ずかしい話だけど、両親にも食べさせたいなって。あんまり親に美味しいモノを買ってあげた事無いから。美味しいモノを家族で食べたいなって、ふっと思って。今、みんなで食べてるように美味しいから絶対」
しまった。
マザコンかファザコンと思われてしまったか?
何で親の話なんか出したのか。
口に出して後悔するのは何度目なんだろう。
現にシーンとしている皆。
「あなた……」
雪白さんが何か呟いた。
「私……欧介君みたいな男の子好きですよ」
美月ちゃんが、目を潤ませてる。
「欧介君みたいな彼氏が居たら、絶対幸せよね」
茜ちゃんが優しく微笑んでる。
「ほのの…心が盗まれそうだよ…。うぅん、もうあげちゃいたい」
胸の前で両手を握る、ホノちゃん。
女の子達から褒められてる。
……この僕が褒められてる!?
何で?
みんな、普段から当たり前にしてる事ですよね?
普段、僕が親孝行してないだけで。
「欧介君、僕も大好きだよ。ずっと」
花君が、ニコニコ笑って告白してくれた。
「うん、ぼ、僕も……」
ダメだダメだダメだぁ!!
花君は男なんだ!
可愛いくても男の娘……じゃなくて!
男の子なんだ!
(俺の《お持ち帰り》パス、効果抜群だろ?)
蓮は、皆に見えないようにスマホ書き込んだ文字を見せ、僕の脇をウリウリ小突く。
蓮…君は僕に全てを擦り付けて、みんなと楽しそうに雑談してただろ。
大河君は何かを考えてるのか、何だか分からない表情を浮かべている。
雪白さんも同じような表情を浮かべて、僕を真っ直ぐ見つめている。
気づかない内に、連載開始六年が経ちました(苦笑)
コメントやアドバイスをお願いします。
和紙でした!
では!!