五ヶ所目 7
目の前の女の子4人は瞬きをする以外、ピクリとも動かない。
あっ……れ?
マズい展開!?
こ、ここはもう一度重ねて。
「ブ、ブロ」
「オ、オースケ!すっげぇ緊張してんなぁ。とりあえず落ち着こうぜ!」
蓮が勢い良く立ち上がり、僕を制した。
反射的に見た蓮の顔には、引きつった笑顔が張り付いている。
「あぁ……ゴメンね。やっぱり緊張してさ。よしっ!もう一度ハッキリ言うね!ブロ……」
もう一度、よりハッキリと自己紹介ネタを伝えようと思った矢先、4人の女の子に優しい笑顔を向けてる大河君に、テーブルの下でズボンを強く引っ張られた。
彼の笑顔からは、想像もつかないぐらいの力なワケで。
というか、ズボンを引き千切る勢いだ。
「ほらほらぁ、欧介君。リラックス、リラックス。いつも通りに言えば良いんだよ。いつも通りに……普通にさぁ。ねっ」
ニコニコ笑う花君。
だが彼の手はテーブルの下で、しきりに×を作っている。
そ、そのジェスチャーは!
うぅ……つまり、大失敗なんだね。
三人は、暗に止めろと言ってる訳だ。
三人とも、迷惑かけてゴメン……。
って、元はと言えばアンタら三人がやらしたんじゃん!
大トリとか、いつものアレとか言ってさ。
まぁ今言っても、しょうがないけど。
「ゴホゴホッ。ぼ、僕の名は真田欧介です。あのぉ、ゴメンね、緊張して変な発音しちゃった」
額、首、脇に冷や汗を滲ませながら、噛んだだけだよオーラを醸し出し誤魔化す。
絶対誤魔化せて……ないと思うけど。
「な、なぁーんだ、緊張して上手く言えなかっただけかぁ。てっきり、本当にブロリーとか言ってるのかと思ったよ。はいっ?ブロリーとか何!?って感じだったもん」
ぎこたない笑顔を浮かべる、ほのちゃん。
その横で、ゆっくりと頷く茜ちゃん。
「そ、そんな事言うわけないよな、オースケ!いつものアレは、オースケの鉄板ネタなんだぜ……ってか!次は女の子の自己紹介じゃん、さぁ宜しく紹介してくれやぁ」
半ば強引に話題を変える、蓮。
うん。
やはり僕は、合コンの存続すら危うくする言葉を発していたようだ。
ブロリーで押し通さなくて、良かった。
今、冷静に考えれば何故ブロリーをチョイスしたんだ?
ただ、伝説のスーパーサイヤってだけじゃん!
もしかして、深層心理で僕はブロリーに憧れてるのか?
まぁ、結果的に三人に助けられて最悪の事態を回避出来たようだ。
だから、良しとしますか。
そんな事を考えていたら、椅子から元気に立ち上がった、ほのちゃんを視界に捉えた。
更新出来る時に、しておきます。
感想やコメントお待ちしてます。
次回は、花か蓮か大河サイドを書きます。
和紙でした!
では!!