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上手な修正液の使い方  作者: 和紙
57/70

五ヶ所目 1

新章 侠の闘争の場編スタート!


 初めての中間テストが終わった。

僕にしたら十数回目のテストだったわけで……だけど銘東よりも段違いに難しかったわけで。


……でも。


でも何回テスト受けても、このテスト最終日の放課後が爽快なわけでぇ!!


ひゃふぅ、気分最高!

今なら何でも出来そうだ。


「ひゃっはぁ、かったるい一週間が終わったぜ!長かったなぁ、あぁぁー魂が解放されていく!ニフラム最高」


僕以上にハイテンションな蓮。

たくさんの学生が行き交う下駄箱で、天に向かって高らかに拳を突き出す。


突き出された拳に挟んでいた褐色の革靴が遠くに弾き飛ばされた。


「だね、だねぇー。ようやくテスト終わったね。でも無事に終わったから良かったよぉー。ありがとう大河君、お世話になりましたぁ」


花君もニコニコ笑いながら、上履きから白黒ストライプのスニーカーに履き替えた。


「んっ、礼には及ばない。僅かな手助けしかしてないからな。……危ないだろ阿呆」


花君の言葉を受けて、満更でもない様子を見せる大河君。


でも最後に阿呆とか聞こえたような。



「飛ばされて、俺の足元を守護している褐色の双子達も喜んでおるわ!……プハハッ、甘ぇよ大河!阿呆とか言われて今日の俺は気にもしないぜ」


拾い集めた革靴をガッと音を立て履く、蓮。


その表情には、並々ならぬ余裕が浮かんでいるようだ。



「なぜなら今からフリータイムだからだ!さぁ行こうぜ、行こうぜ!今からドコ行く?ゲーセンか?買い物か?大人の健康ランドか?んまぁ良いや!決まってないなら、俺様に任せな!さぁ、てめぇら青臭いケツを上げろや」


いや、すでに立ち上がってるから……ケツは上がってるんだけど。


それに大人の健康ランドって……あんた。


そう言いかけたが、口に出すのは止めておいた。


この蓮のテンションは、明らかに異常だ。


「さぁ行こうぜ、オースケ。テスト週間は、蒼ちゃんとヨロシクしてたんだから今日は男同士の友情を深めようぜ」


僕の肩をバシバシと叩きカラカラ笑う。


あ、蒼ちゃんと……。


あぁ、それにしても思い出すだけで至福だった。


テスト週間中は、数回蒼ちゃんに電話出来たし、一緒に勉強も出来た。


くはぁ!

時間巻き戻ればなぁ、修正液であの時に戻れたらなぁ……なんちゃって。

「ハナぁ、今日は楽しもうぜぇ!タイガと勉強してたんだろ?なら今日は4人で楽しもうぜ、なっ!なっ!」


「そうだね、今日は高校生初のテストが終わった日だからね!楽しもうよぉ、四人で遊ぶなんて久しぶりだねぇ。僕、先に行っちゃうぞぉ」


花君は、とびきりの笑顔で下駄箱から飛び出していった。


花君も、負けないぐらいテンション高いなぁ。


そんな、花君も可愛いな。

って違うか。


「タイガ、行こうぜ。今日は休戦だ!やっぱりお前が居ないと……張り合いが無いぜ。なぁ」


今までのスーパーハイテンションから一転して、珍しく照れているのか頬を掻きながら笑う蓮。


マジでおかしいよ、今日の蓮!?

何か変なモノ食べたのか?

赤いかさに白い模様のキノコとか?


まさかね、そんなわけ。


「……そこまで言うのなら行ってやっても良いが……何か嫌な予感がするのは気のせいか?」疑惑を含んだ視線を送る大河君。


「おいおい嫌な予感って酷いな。別に何もねぇよ、俺はダチとオモロい時間を過ごしたいだけだぜ。ほら行くぜ、ハナが外で手招きしてるよ、待たせちゃ悪いだろ!ハナぁ、今行くぜぇ」


悪戯っぽい笑みを残して、蓮も下駄箱から高速で駆け出した。


とり残された僕と大河君は、お互いに顔を見合わせた。


「……と、とりあえず行こうか大河君」


「そうだな。たまにはアイツに付き合ってみるか」


フッと、軽く笑みを浮かべ大河君が歩き出した。


良かったぁ、思った以上に大河君も楽しそうに見える。


どうか最後の最後まで、蓮と大河君が揉めないで欲しい。


「もぉう欧介君、走ってよぉ!早く早くぅ。大河君もだよ!」


花君が手をブンブン振りながら、僕達をを呼んでいる。


「あぁうん、花く……」


「オースケ、そしてタイガァ!何たらたら歩いてんだよ。遅いぜ、ヤベェぐらい遅ぇ!今すぐに走れ。駆け抜けてこいや亀さぁん」


両手をパァンと打ち鳴らし、急がせる蓮。


何を、そんなに慌てるんだよ。


確かにテストが終わって嬉しいケドさ。


それにしてなぁ……。


「わ、分かったよ!今すぐ行くって」


これ以上、騒がれると厄介な事になるので歩みを早める。


チッ!


後方をチラッと振り替えると、大河君が明らかに不服そうに眉を歪めていた。


あぁ……何か舌打ちも聞こえたような。

また揉めちゃうよ、この様子じゃ。


今から始まるテンション最高潮、気分は大解放のフリータイムに、暗雲が立ち込める嫌な予感を感じながら僕は蓮と花君の元へ辿り着いた。


予感が的中しない事を願いつつ、じきに辿り着いくであろう大河君の方を、ゆっくりと振り返る。



彼の眉は、やはり元には戻ってなかった。

ようやく新章スタート出来ました。


あぁ、目前に60話。


ようやく六合目かぁ。


これからも頑張ります!

和紙でした!

では !!

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