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上手な修正液の使い方  作者: 和紙
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一ヶ所目 ラスト

確かに、本の目次には自分が産まれてから今日この瞬間まで18年間が記されている。


修正液で文字を訂正するぐらい何かのセールスの契約を結ぶ事にはならないな。


とにかくこの怪しい空間から出なきゃと思い、僕は言われた通りに中学3年生から今日までの目次を消していった。


最後の目次の18歳の3月に差し掛かった時

突然、女の人が真剣な口調で、


「今まで自分の記録を修正するという事は綺麗さっぱりやり直しが出来て、変えたい過去を変えられるという事よ。その反面、今まで築いてきたアンタの周りの人々との繋りも真っ白に元通り」


女性は、本の目次を意味有り気に撫でる。


「そう…今は良好な両親との絆や3年間で知り合った全ての人の絆もね。やり直した先の未来でのアンタがどんな苦しみや悲しみを味わっても全ては自分持ち、やり直せない未来になるという事をお忘れなく。もちろん今より幸せになる可能性もあるけど……」


女の人が僕の目を強い思いが込められいる様な目で見た。


「その覚悟が有るならどうぞ、今日までの自分を修正しなさい」


この言葉を聞き僕の腕は修正作業を止めまりガタガタと震えた。


何より、僕の心の奥ににズシンと響いた。


(そうだった…修正するって事は後悔しながらも今まで歩いて来た3年間自分の記した道が消えるんだ。また、自分自身で新しい道を書き込む事なんだ。軽い気持ちじゃダメなんだ。そんな強い覚悟、僕にあるのか?)


僕は真剣に悩み、過去や現在の生活を考えたんだ。


もう、体が半透明になりつつあり、消えていくように感じる。


(マジだ……本当に、この修正は実行されてるんだ。怖い…だけど…変えたい…3年間の男に囲まれた暗い高校生活をやり直したい。もしかしたら、僕の人生の分岐点は今なのかも…)


その思いが浮かんだ瞬間、別れ際の蒼ちゃんの笑顔が浮かんだ。


もっと、蒼ちゃんの身近に居て一緒に高校生活を送りたい。


僕は、もっとたくさん蒼ちゃんの笑った顔が見たいんだ。


蒼ちゃんの笑顔が僕のの心に絡んでいた何本もの鎖を解いた。


僕の覚悟が決まった。


「僕は、何もしないで後悔するのより、行動して後悔したいんだ」


そう、女の人に笑いかけ一気に18歳の目次を修正液で修正した。

そして、目の前のウーマンに元気よくピースを叩きつけてやった。


辺りが修正液の白に包まれる。


今日までの三年間の自分が稀薄になっていく様に感じる。


意識が消える直前に女の人が、呟いた。


「じゃねーん。good luckよん。頑張って良い修正しなよ」

そして彼女の小意気なマダム流ピースに見送られ僕の意識は消えていった。


もしかして、今日のラッキーアイテムって修正液かな?


そんな事を思いながら。

この話が一ヵ所目のラストです。

次の二ヵ所目からは学校生活編が始まります。

二ヵ所目もよろしくお願いします。

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