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上手な修正液の使い方  作者: 和紙
41/70

四ヶ所目 13

 僕は、改めて昼休みの出来事を話した。


もちろん、さっきよりかは落ち着いて話せたし、より詳しく話せたと思う。


多分。


三人は、それぞれが僕を気遣っている様子で最後まで聞いてくれた。


「へぇー、オースケが蒼っちをねぇ」


蓮は、僕が話を終えると楽しい事が始まったかの様な明るいトーンで口を開いた。


「青春してんなぁ、さすがオースケ」


さすが、って僕にその言葉は似合わないよ。

そう言おうと思ったけど止めた。


「俺と花は、その話を聞いてたんだ。お前のお陰で余分な時間がかかったな」


大河君は、蓮を睨んで足を組んだ。


冷ややかな視線に、どこからか冷たい空気が流れる。


いや、大河君が流してるんだけどさ。


「余分な時間って、焦る事無ぇよ。ゆっくりしようぜぇ、どうせ午後の授業は始まってんだし」


そういえば、そうだ。

って、もう午後の授業開始して二十分経ってるじゃないですか!?


んあぁ、僕のせいで三人をまた巻き込んでしまったぁ。


ってか、学級委員ってクビになったりするのかな?


いやいや、今そんな自分の進退を考えてる場合じゃないし。


「ゴメン、テスト前なのに僕のせいで」


僕は、当然謝まるしか無い。

いや、申し訳なくて謝らずには居られ無かったと言った方が正しい。

「気にしないで、欧介君。テスト勉強はバッチリだからさ」


親指を立てて笑う花君。


僕を励ましてくれる為の言葉なのかは、分からないけど、僕は花君の言葉に救われる。


いつも、今現在もね。

君は、僕にはもったいないぐらいの人だよ。


「そうだ、試験の事は気にするな。俺と花はすでに終えているからな」


大河君は、まるで当たり前だと言う様に軽く鼻で笑った。


僕の中で大河君は、高校に通う必要が無いのかと思ったりしている。


つい最近、大河君が図書室で本を片手にノートに何かはしり書き読書をして居る所を偶然見掛けた。


もしかしたら、テスト勉強しているのかと思って、そっと覗くと英語の様な何やら分からない外国の文字をスラスラと書いていた。

そう、丁度医者が使う様な英字みたいな。


それを含め、まだまだ大河君についても謎だらけだ。


でも、僕は大河君にこれからも学校に来てほしいと思ってる。


特に今、テスト前には大河大先生の力が必要過ぎる。


「テストも授業も、どうでも良いだろぉ」


蓮は、いつもて同じ様にカラカラと笑ってるくれた。


テストも授業も、どうでも良くは無いと思ったケド、あえてツッコまずスルーした。


だって、こんな近くに諦めてる仲間が居たんですもん。


二人なら、怖くないさテストなんてね。


成績の結果は、ガクガクもんだけど。


「なぁオースケ、思ったんだけどさ」


蓮が、僕をマジマジと見た。


「何かな?」


「いや、まぁ待ちな。答える前に一つ聞かせてくれ」


僕は黙って頷いた。


「お前さ、蒼っちの事諦めんの?」


大河君と同じ様な質問だ。


だけど答えは、もう決まっている。


「僕は諦められないよ。蒼ちゃんの事…」


言えた。

こんなに簡単に言えた。

何を躊躇してたんだ、今まで。


僕の真っ暗だった世界に一筋の光が差した。テレビで言うような、こんなカッコいい事は言えない。


僕的に言うと、また一つ前に進めた。


それ以上でも、それ以下でも無い。


「だよな。諦めるなんてモッタイ無いぜ!俺思うんだけどな、蒼っちは結構欧介の事気にしてると思うぜ」


蓮が僕の隣に来て、バシっと掴んで肩を組んだ。


「えっはぁ、そんな事はぁ」


そんな事無いよ。

僕なんて、学級委員の片割れですもん。


でも、もしそうなら良いなぁ。

もしそうだったなら。


「何キョドってんだよ。ベタ惚れだねぇ」


僕は肩を組んで笑う蓮と一緒にユサユサと揺れている。


蓮に揺らされているの間違いか。


「蓮は、何でそう思うの?」


僕は我慢出来ずに、蓮に聞いてみた。


「へへん!それはな…」


蓮は鼻を鳴らして誇らし気に笑い、


「お前が合コンに参加するなら教えてやるよ」


耳元で僕にしか聞こえない様に、囁く様に言った。

「えっ、僕が男と女の愛のコロセウスに入って良いの?」


僕も、口をついて出てしまった言葉を蓮に囁き返した。


おいおい、何言ってんだよ僕は。


「コロセウス?ぷはぁはぁ、欧介やる気満々だなぁ」


僕の肩から手を放し腹を抱えて笑う蓮。


《やる気》は、もう何年も前から有ります。なんちゃって。


「おい、二人で何話してる」


顔をあげると大河君が、疑う様な眼差しで僕と蓮を見ている。

「いやぁな、欧介が蒼っちを絶対俺の女にする!って言ってるんだよ」



えっ、そんなデカイ事言ってない言ってない!


「欧介の目が游いでるのは何故だ?」


更に強い疑念を込めた視線が僕と蓮に襲いかかる。


「知らね」


そんな大河君の疑念に、テヘッと笑って答える蓮。


明らかに、苦しいでしょ今のは。


「何か、コロセウスとか聞こえたケド…」


花君も少し心配そうな顔をして僕と蓮を見ている。


「あぁ、コロセウスってのは闘技場だよ。確かベネゼェーラの」


闘技場は分かるでしょ、高校生だし。

ってか、ベネゼェーラ違ぇ!


何処から出てきたんだよ。


「ロ、ローマだよね?しかもコロッセゥムのハズ…」


「こ、細かい事は気にすんなぁ。とにかく欧介の恋が叶うよう願おうぜ」


結局、強引に僕の話に繋げちゃうのかよ。


もうバレてるよ、絶対。


「お前の話は納得出来ないが、欧介の想いには納得した」


大河君は、椅子を軽くひいて足を組み直す。


「大河君、いろいろゴメン。ハンカチは洗って漂白してから帰します」


「あぁ。漂白はしなくても良いから」


大河君、僕の話を聞いてくれて嬉しいよ。


「僕も、欧介君の話が聞けて良かったよ。ありがとう」


ありがとうは、要らないよ。


「僕の方こそ、ありがとう花君」


花君には、ありがとうで良い表せないぐらいの感謝だ。


でも、僕のボキャブラリーでは《ありがとう》が精一杯です。


「オースケ、お前なら蒼っちをゲット出来るさ。俺ぁ、そう思う」

蓮はバシッと僕の背中を叩く。


突然の強い衝撃を予期してなかったので、僕はむせ込んだ。


「おっと悪ぃ、でも男なら背中にパンチ喰らっても、叩かれても笑ってみせろよ」


僕の顔を見て、ニンマリ笑う蓮。


「蒼っちが、お前の女になったらお前の背中で守らなきゃイケないんだからな」


「蓮…」


「なんてなぁ。あと、合コンはこの四人で行くからよ」


コソッと僕に耳打ちする蓮。


ウソぉ!

どうやって?

どう転んだら、このメンバーで行けるんだよ!


「さてと、教室に帰ろうぜ。俺達の事は学級委員様が弁解してくれるらしいからな」


最後の大仕事キタァー。

多分、下ろされるんじゃないか学級委員。


「期待してるよ、学級委員さん」


花君は、楽しそうに笑う。


僕は嫌なドキドキ感を感じ苦しい笑いを浮かべる。


「見物だな、欧介の修羅場」


楽しんじゃってるよね、大河君!?


更に嫌なドキドキ感は、大きくなる。


「う、うん。学級委員としても恋も頑張りまぁす」


苦し紛れに何言ってんだよ、僕ちゃんは。


「ははっ、欧介は楽しませてくれるぜぇ」


楽しませてるつもりは、あまり無いんですが。

でも、僕だって楽しまなきゃ損かもね。



僕だって、高校生してんだからさ。


二度目だけど。


でも、蒼ちゃんに出会えた。


大切な三人にも。


これから、どうなるのかな?


明るい道が拡がってるんだろうか。


それとも…?


僕はそんな事を想いながら、三人と自習室を後にした。

 最近執筆が進んでます。

まだまだなので、頑張っりたいです。


部屋の窓から、秋の香りが。


感想やコメントを、お待ちしています。

いつまでも。


和紙でした、ではぁ!

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