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上手な修正液の使い方  作者: 和紙
40/70

四ヶ所目 12

  人間の神経に伝えられている電気信号は、どのぐらいのモノなのか僕には検討がつかない。


でも人間には電気信号があるんです。


それを確信できました。


何故なら、合コンが有るんですから。


ヤバイ、自分で何言ってるか分からなくなってきた。


一人でパニくる僕の目の先では大河君が、出口に一直線に向かっていく。


「た、大河君!どこ行くの?」


花君は立ち上がって、歩く大河君に叫んだ。

「くだらない、そして付き合ってられない」


大河君は、立ち止まって首だけを向けた。


「へっ!大河は、合コン行くのがハズいんだろ?正直に言えよ」


「恥ずかしい?笑わせるな。俺は興味が無いだけだ」


蓮の挑発的な言葉を易々とかわし、鼻で笑い返す大河君。


「興味無いだぁ?お前、それでも男かよ!日本男子なら女の二人や三人、いや四人以上モノにしろや」


蓮…日本男子がそんな価値観持って無いと思うよ。


「馬鹿馬鹿しい。それに、お前が日本男子と言葉を使う事自体、甚だしいな」


大河君は、言い終えるとまた歩き出した。


「んだぁコラ、待て大河!」


蓮は、指を痛めていない左手でかなり強く黒板を殴り付けた。


僕は、何も出来ずに身を任せてる。


いや身を任せてちゃダメだ、僕が蓮に説明しなきゃ。


僕のせいで三人がこの場に居るんだから。


僕が言葉を放とうと声帯に力を入れた瞬間、花君が立ち上がった。


立ち上がった花君に、僕らの視線は注がれる。


「いい加減にしてよ…」


小さな声だったけど、辛うじて聞き取れた。


「花ぁ、どした?」


蓮は、少し驚いた表情で聞く。


「いい加減にしてくれって、言ったんだ!」


花君が怒った様な強い口調になるのは、三津高以来だ。


「花…」


大河君は、先程とは一変して申し訳なさそうな顔をして席に戻ってくる。


蓮も、黒板から離れテーブルに歩みよって来た。


僕は、自分が中腰なっている事に気付いて慌てて席に座り直した。


「僕達は、何でココに居るんだよ」


「それは…その」


僕は言葉を続けられない。


「俺は、知らないんだけど…」


テへッと頭に手を乗せ笑う蓮。


頼むから今だけは、雰囲気を読んで欲しいよ。


「だったら、自分の話一点張りじゃなくて、少しは聞こうよ!」


ほら、怒られた。


「き、聞く暇が…」


「一番最初に聞けば良いじゃないか!」


「でもよぉ、合コンが…」


モゴモゴと言葉を濁らせる、蓮。


「すまなかったな、花」


大河君は、反省しているのか謝った。


ちょっと待ったぁ。

大河君が謝った?


かなり珍しい事が起きたから、僕はびっくりした。


あの大河君が、謝ったんだから。


蓮も驚きを隠せない様子で、目をパチクリさせている。


「良いよ。分かってくれれば、もう」


花君の声のトーンもだいぶ戻ってきた。


花君の笑顔が、無性に恋しくなるのは何故だろう。


とにかく、花君は怒らせない様にしよう。


心に堅く誓った。


他の二人も絶対怒らせたくないケド。


「それで、もし良かったら…そのぉ、話を俺にも聞かせて貰えたら嬉しいッすよ」


蓮は、頭を軽く触り苦笑しながら花君に聞く。


「それは、僕が話すよ」


僕は、立ち上がって蓮を見る。


「オースケが教えてくれんのか。悪ぃな」


僕に、ホッとした様に笑いかける蓮。


「いや良いよ、僕の話を聞いてくれてたんだからさ。二人は」


蒼ちゃんとの話を。


「そっか。オースケ、お前の話聞かせて貰うぜ」


蓮は、髪を掻き上げ僕を見据える。


「僕も、もう一度聞かせて貰うよ」


花君は、あのいつもの優しい笑顔を見せてくれた。


花君の笑顔は、マイナスイオンより癒し効果が有るなぁ。


「落ち着けよ」


大河君は短く、でも優しさが感じられる言葉をかけてくれた。


ありがとう

花君。

大河君。

蓮。


三人に、話を聞いてもらえる僕は幸せなヤツだよ。


友達の有り難みを改めて感じて、僕の頭には昼休みの情景が展がった。



 やっと40話目に辿り着きました。

我ながら、遅すぎると感じる今日この頃(苦笑)

感想やコメントをバキバキお待ちしています。

和紙でした、では!

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