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上手な修正液の使い方  作者: 和紙
35/70

四ヶ所目 7


僕は、蓮と花君を教室に残して廊下に出た。

モヤモヤした気持ちも有るけど、静かな場所に居たい気分だったからだ。


静かな場所…、そう考えて一番最初に浮かんだのが渡り廊下の先の図書館だった。


僕の勝手なイメージだけど、図書館なら安らげると思う。


何も考えずに…。




目的の図書館に着き、とりあえず目についた本を掴み、席に座った。


開いた本の中から、活字の羅列が目に飛込んできたが読む気はさらさら無い。


自分の情け無さに、怒りが込み上げていたからだ。


あぁ、何か自分に腹が立つ!


三人とも、友達の筈なのに、何で言え無かったんだろう。


蒼ちゃんの事、こんなにも好きなのに。


人に…友達にすら言えないなんて。


後悔しないって、校門前で誓った筈なのに。

修正した意味無いのか?



自分自身への自問自答で、苦しんでいると図書館に木霊す筈の無い、大きな声が響き渡った。


「ちょ、ちょ待って。今何て言った?」


僕が反射的に声の方を向くと、黒髪で眼鏡を掛けた学生が、大声で叫んだと思われる学生に向かい、囁く様に話しかけていた。


「二回も言わせんな!俺は、今日舞ちゃんに告るのである」


相変わらず、叫んだと思われる、ボサボサ無造ヘアーの学生は声のトーンを落とさない。多分、自分が今居る場所が見えてなんだろうな。


「拓ちゃん、ナイスボケ。オモロォ」


二人の側に座っている色黒で快活な学生が、腹を押さえ笑う。


ナ、ナイスボケなのか?


心の中でツッコミを入れ、とりあえず本を読む振りをして、片目でチラチラと様子を見る事にした。


「濱よ、ボケでは無いぞ!」


無造作君が、悪戯っ子の様に笑い、指を振る。


「拓!お前さぁ、本気なのか?」

眼鏡君が呆れた様に天井を仰ぎ見た。


「僕、冗談嫌いでち」


無造作君は、眼鏡君のアゴを指で色っぽく撫でた。


「って事は、拓ちゃん!マジで告白の大一番を決行しちゃう?」


色黒君が、興奮した様子で机を揺らしてる。

キィキィと軋む音が僕の座る席まで響く。


「当たり前だろ。男は黙って告白するんだ」


「黙ってたら告白出来な…」


そう言いかけた瞬間、メガネ君の喉元に深々と水平チョップがめり込んだ。


「そう、男は硬派に決める。今日の俺は決まってるだろ、濱」


目の前で喉を抑えて、のた打ち回るメガネ君を見ながら無造作君は、渋い顔をして笑った。


「仲良いなぁ、やっぱ二人はさ」


色黒君は、親指をバシッと突き立てて無造作君に極上の笑顔を見せている。


何だよ、この三人組!

話が全く繋がってないよ。


僕は、メチャクチャな会話をするムチャクチャな三人組を見ていたら、いつの間にかさっきまでのモヤモヤを忘れて笑っていた。


中々、図書館で笑いを堪えるのは苦しくて、あまり鍛えていない腹筋が痛かった。


一頻り笑い終えると、今この瞬間まで悩んでいた事に対してバカバカしさが込み上げた。


何でこんな事で悩んでたんだろ…僕は何で一歩踏み込めないのかな。


逃げている、そう僕は逃げている。

肝心な所で僕は今でも逃げていた。


公園で、蓮に偉そうな事を言っておきながら僕は。

真田欧介は、修正をして変われたんだ。


心のどこかでそう信じていた、いや信じていたかった


だけど、根本はあの日の蒼ちゃんから逃げたバス停の僕その物だ。

いつの間にかバカバカしさは、姿を変えて僕の心を黒く侵食して溶かし、包み込んだ。


「蒼ちゃん、僕は…」


「えっ何ですか、欧介君?」


驚いて振り向くと蒼ちゃんが僕と同じ様な少し驚いた顔をして立っていた。

僕は、心の中の言葉を無意識に口から漏らしていた事に今ようやく気付いた。

御久しぶりです。

そして、読者様すいませんでした。

とりあえず、今は更新を続けていきます。

とだけ、言っておきます。


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