四ヶ所目 6(蓮)
今回は、蓮の視点で描きました。
「うほぉ!!今日のチャーハン最高だぜ。我ながら自分の腕に惚れるね」
そう俺の今日の昼飯は、自作のチャーハンだ。
今、そのチャーハンを口一杯に掻き込んでいる。
「隠し味にさ、昨日バイト先のおっちゃんにもらった豆板醤を入れたワケよ。そしたらピリっとした風味が追加されてさ、いやいや大発見」
俺は、一人で場の雰囲気を盛り上げようと意味不明な料理の話を、目の前で弁当を食べているオースケとハナにした。
「俺って良い嫁さんになるかもな?」
普段なら、
『ホ、ホント!!蓮、味見させてよ』
とか、
『も〜う御婿さんでしょ!!蓮、ボケ過ぎだよ』
と、オースケやハナが言うのに今日はまるで反応しない。
いや、正確には昨日(?)からだ。
昨日、俺達がサテンでオースケの話を聞きながらダベってから何かオカシイ。
いつも、仲良いコイツらが全く話してない。
それに、ハナの笑顔にいつもの輝きが足りないと思う。
うん、何か足りないんだよな…こう、楽しさと言うか元気な証というか。
「それにしても、綾さんって綺麗だよな〜こう年上の温もりが溢れててさ、綾さんと一緒に風呂入ってさ〜色々と…ってオースケ何想像してんだよっ!!」
俺は、立ち上がって目の前でゆっくりと箸を進めているオースケの頭頂部にチョップを喰らわせた。
その衝撃でオースケは、箸で掴んでいたウィンナーを弁当箱にダイブさせた。
「あ、うん。豆板醤は大発見だね」
オースケは、そう言って落としたウィンナーをもう一度箸で掴み直して口に運んだ。
下ネタでオースケが反応しないとは…ヤベェ…入院レベルだ。
「おい、今日のお前ら変だぞ。何かあったのかよ?」
いくら寛大で高貴な心を持つ俺でも耐えられ無くなった。
っう〜か、初めから聞きゃ良かったんだよな。
「え、特に何も…」
オースケは、俺の質問の意味が全く解らないといった様子で目を瞬たかせた。
ハナにいたっては、軽く微笑むだけだった。
いやいや、お前らそれじゃダメだろう。
この雰囲気に包まれてる俺の身にもなれっうーの!!
俺の気持ちなど全く知らない目の前のワガママ君達は再び自分の世界に入ったようにうつ向いた。
タイガ!!
あの野郎はドコに消えたんだよ。
あいつ、いつも昼は居なくなりやがって…。
こんな気まずいムードの中に俺を置いくなっうーの!!
帰ってきたら、もう嫌と言う程思い知らせてやるぜ。
俺がタイガに対する罰ゲーム的行為を脳内で選んでいるとオースケが立ち上がった。
「ゴメン、僕図書室に行ってくる」
それだけ言い残すとオースケは、まだ中身の残っている弁当箱をイソイソと片付けた。
「お、おい!!オースケ…」
そしてオースケは、教室から出ていった。
俺の言葉は、宛てもなく宙に舞っている様な気がした。
「オースケ、図書室とか言って実はトイレだったりして…」
ハナは、全く反応しない。
それでも俺は話かける。
芸人として。
いや芸人志望じゃ無いけど。
「なぁ。もしかしたら密会かもな。目撃!!白昼の図書館で女子高生とニャンニャン読書みたいな」
「何か…ガッカリだな」
俺の妄想話に対してなのか、ハナが溜め息混じりにポツリと漏した。
「ガッカリですと!?お、俺の事なのか?今の俺に対して言ったんか?お、俺だって下方面に走りたくなかった…でもお前らが俺に冷たくするから…」
「蓮?何言ってんの?」
サスペンスドラマの犯人が自供するシーンの様な仕草をする俺を見て、ハナがキョトンとさせた。
「ガッカリって、俺の事なんだろ?」
「違うよ!!もう、なに言ってんの」
そう言ってハナは、立ち上がった。
「ちょっと散歩してくるね」
じゃ、ガッカリって誰の事だよ。
大河?
オースケ?
いやタイガじゃないな、昨日と今日から予想するとオースケだ。
でも何で?
解んねぇ…全然解んねぇ。
いや、俺に解んねぇ事なんか無ぇ筈だ!!
俺は、容姿淡麗品行方正なイケメンなワケだし。
何より、ツレのピンチだ。
俺が立ち上がるしか無ぇわな!!
あの二人は、大事なツレだっぺさ!!
っうか、四人揃わなきゃアレが出来ないし!!
俺がやっちゃる。
万事解決して、四人でGOだろ!!
俺は、去っていくハナの後ろ姿を眺めながら覚悟を決めた。
いやいや、蓮のキャラがどんどんおかしな方向に…(笑)
コメントや感想をバシバシお待ちしてます。
感じた点をお願いします。