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上手な修正液の使い方  作者: 和紙
30/70

四ヶ所目 2

さっきから僕のハートは僕の中の誰かに乱暴に揺さぶられ、隣で歩いている蒼ちゃんに聞こえるぐらい高鳴っている。


(この展開はやっぱりこ、告白なのか?)


さっきからそんな事ばかりが頭に浮かび、ドキドキ感で今自分が何処に向かって歩いているのかさえ分からない。


いや、むしろ分からなくても良い。


蒼ちゃんと一緒に告白に向かって歩いてるんだから。


僕が、そんな事を思っていると蒼ちゃんが僕の顔を見た。


(つ、ついに告白されちゃうのかな!!)


「さっき、本当は中村君達喧嘩してたよね?」


「えっ」


告白かと思い、身を強張らせていた僕を蒼ちゃんは再び探る様な目で見た。


「いや…その、してないよ…」


「本当ですか?」


蒼ちゃんは、僕との距離を縮めて僕の目を真っ直ぐに見た。


「え、うん。いや…」


蒼ちゃんの目は、凄く綺麗で吸い込まれてしまいそうで、つい言葉を濁してしまった。

「ほら、やっぱり。嘘ついたんですね」


「ゴ、ゴメンね。嘘ついた訳じゃ無いよ。蒼ちゃんが心配そうな顔してたから、つい」


僕は、非難する様な目で見つめる蒼ちゃんの顔を見ていられなくて目を伏し目がちに反らした。



「私…嘘つく人は嫌いです!!」


「えぇ、嫌い?」


僕のハートを揺さぶっていた誰かは、蒼ちゃんの言葉を聞いて、逆上したのか鋭利な刃物を持ち出しズタズタにハートを引き裂いた。

ぐわんぐわんと周りの夕焼けが揺れ僕は、ショックで地に膝を着きそうになった。


「はい、嫌いです!!でも…」


無意識に僕は、蒼ちゃんの顔を見ていた。


「欧介君は私に気を使ってくれたみたいですね…だから今回は許します」


僕の顔を見て、少し微笑んでくれた。


その言葉を聞かなかったら確実に地に膝を着いていたし、ハートは修復不可能なくらいに切り裂かれていたと思う。


「本当ゴメンね…もう嘘つかないから」


「はい。信じてますよ」


そう言うと、また蒼ちゃんは歩き出した。


(良かった…蒼ちゃんに嫌われなくて。でも告白じゃなくて、わざわざ嘘を見破る為に僕を連れ出すなんて…蒼ちゃんもしっかりしてるな…)


僕は、トボトボと後について歩いた。


歩く途中、夕日の影によって、むさぼられた様に侵食された校舎が目に入った時、変な考えが浮かんだ。


(もし…僕の存在自体が嘘だという事を知ったら、蒼ちゃんは僕を拒絶するのだろうか?)


そんな事を考えたら、心の中の誰かがハートにキンキンに冷えた冷水を絶え間無くぶちまけている気がしてハートが痛んだ。


後に、従って歩くとやがて校舎の下駄箱に着いた。


「で、今ドコに向かってるの?」


僕は、玄関に入った所で変な考えが浮かんだいたせいなのか、すっかり気分が萎えていて今すぐにでも帰りたかったが、一応どこに向かっているのか聞いてみた。


「もう、欧介君忘れてるでしょ?」


「あれ、何か忘れてる?」


今日忘れたのは、学生証と蓮に頼まれたお宝ビデオぐらいしか思い当たらない。


「学級委員として、クラスを引率した感想や反省点を先生に報告しに行かなきゃ」


「あっ、そうだった」


そう言えば担任が朝そんな事を言ってた気がする。


蒼ちゃんのジャージ姿を頭にファインダーに焼き付けてる内にすっかり忘れていた。


「私、職員室の前で待ってたんですけど…欧介君が来ないから探しに来たの」


「ご、ごめん…僕は足引っ張ってばっかりだ」


我ながら蒼ちゃんに迷惑かけていると思うと情けなくなる。


「でも、会えたんだから気にして無いです」


ニッコリ笑って、再び僕を見た。


その笑顔が、今日朝から見てきた蒼ちゃんの姿の中で一番愛しく思えた。


「さぁ、一緒に職員室に行きましょ」


「うん!!」


僕と蒼ちゃんは、お互い笑い合い職員室に向かった。

今の僕には、告白よりも一緒に笑い合える事の方が価値のある物に思えた。

この調子で執筆していきたいです!!

コメントや御指摘をバシバシお待ちしています!!

では!!

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