表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
上手な修正液の使い方  作者: 和紙
10/70

二ヶ所目 4

ピンポーン


ガチャ


ドアを開けると蒼ちゃんが立っていた。


「良かったぁ…あの一緒に、学校行きませんか?」


下を向きながら言ってきた。


心なしか照れている様に見える。


「良いですよ。」


「ありがとう……好きです。」


いきなり、蒼ちゃんが胸に飛込んできた。


(!)



「ぼ…僕もです…。」


戸惑いながらも蒼ちゃんを抱き締めようとすると、突然奇妙な感じに襲われた。



「気持悪りぃーんだよ。」


蒼ちゃんの顔をが、赤毛に変わっていた。


「勘違い野郎って醜いねぇ〜」


赤毛が顔を歪めて大爆笑した。


(うわぁ!)


ガタンとハネ上がるとバスの中にはいた。


周りの人が僕を見て、笑ったりビックリしたりしている。


(いつの間にか、寝てたんだ…)


無意識に立ち上がっていた事に気付いて、照れながら席に座った。


窓からは、歩道を歩く沢山の人や車が見える。(はぁ四組が今日からスタートかぁ。どうなるんだよ)


外を見ながら、昨日の二人の様子が目に浮かんで憂鬱になった。




教室に到着して入ろうとした時、ドアの所で教室から出ようとしているサラッとした髪の男の子と出くわした。


「あっ…」


男の子は、そう言うと道を譲ってくれた。


「えっ……気にしないで良いよ」


僕は、何か悪い気がして男の子に譲り返した。


「ありがとね」男の子は、そう言うとニッコリ笑って出ていった。


(何か、素直そうな子だなぁ。背も同じぐらいだし、カワイイ男の子タイプって言うのかな)


そう思い、教室に入った。




矢の様に時間が過ぎ、一時間目になった。


「今日は、まずクラス全員に自己紹介をしてもらいます」


開口一番、担任が発表した。


「クラスメートを知る事が友達作りになり、しいては自分を肥やすかけがえの無い仲間になるんです」先生は、頷きながら話した。


「先生も昔はなぁ………(長いので中略)……だった。では、男子から紹介ヨロシク。」


というわけで、クラス初のLTは自己紹介になった。


改めて見ると、やはり聖蘭の学生は金持ちが少なく無い。


自己紹介の中でも、鼻につく話方の人々が結構いた。


大河君の番になり、彼は教壇に歩いていった。


女の子達の間では、クスクス笑いや内緒話が矢の様に飛び交っていた。


(大河君かぁ、やっぱりカッコいい人だ。背も高いし、黒髪だし?、顔立ちも整っている。できすぎ君とのび太って感じだよ)


大河を見ながらため息が出た。


「春日 大河です。趣味は、音楽鑑賞等です。一年間よろしく」


そう言い終わると一瞬目があった。


(目があった?)


直後、教室は破れんばかりの拍手に包まれた。


特に女の子から拍手が大爆発した。



(目が合ったのって…気のせいかな?)

僕の頭は、拍手の衝撃に混乱をきたした。


坂田君が終わり、とうとう僕の番になった。


教壇に向かいながら胸が高鳴ってくるのが分かった。


き…緊張するなぁ…。


教壇に着いて前を見た。


クラス全体が見渡せた。


蒼ちゃんが見える。


(目が合うと笑顔をくれた。)


大河君が見える。


赤毛も目に入った。


(んだよ。って顔に書いてあった。)


サラサラ髪の男の子も見える。

(童顔だ‥やっぱり‥)



そう思うと何故か楽しくなった。


(みんなに、見られるのってちょっと良いかも)


「名前は、真田 欧介です。趣味は、フィ……」


(危ない……フィギィア集めって、銘東時代かいっ……。)


気を取り直して、


「フィーリングミュージック鑑賞です。お願いします」


僕の頭の中で、セーフと、野球の塁審の声が響いた。

ホッとしていると、


「んだぁ〜てっきりフィギィア鑑賞ってギャグかますかと期待してやったのになぁ。空気読めっうーの」


と、赤毛君の声が聞こえた。


(えっ赤毛さん、アンタ鋭い過ぎて怖いっすよ…)


赤毛の勘の鋭さに関心しながら席に戻った。


どんどんと自己紹介は進み、次は赤毛君の番になった。


赤毛君が、教壇に立って元気良く自己紹介を始めた。


僕は赤毛を見て、パッと見はナカナか男前だなぁと思った。


(まぁカランで来なければの話だけど…)


「オレは、中村 蓮。好きな事は楽しく遊ぶ事で嫌いな事は……」


その途端、元気な雰囲気は消えて昨日の赤黒い雰囲気になり、


「嫌いな事は、嘘や偽善」


多分大河に言ってるんだと分かった。


その発言に昨日の事がフラッシュバックして、凍りついた。


(あっ…やっぱりまだ昨日の事忘れてないや)

「んじゃ、よろしゅうに」


そう、元気に締め括ると教壇から離れた。


女の子達は、満更でも無い顔をしていた。


(赤毛君は、そんな良いヤツじゃないぞぉ)


そう叫びたいのを必死で我慢した。


気がつくと、女の子の自己紹介に入っていた。


草下さんが終わり、いよいよ蒼ちゃんの番がきた。いよいよだぁ〜。


今日はこの話を聞くために教室にいるんだぁー。


興奮する自分を落ち着かせて耳を澄ました。


「私は、楠木 蒼です。趣味は、読書や散歩です。仲良くして下さい」


蒼ちゃんが、ペコリと頭を下げた。


大河君以来の拍手が溢れた。


特に男達から。


赤毛君は指笛を吹いているし、後ろの男はボーッとしながら手を砕かんばかりに拍手している。


かっ…感動じゃぁ〜〜(内なる欧介談)。

アンコール。


アンコール。


感動しながら手を叩いた。

そして、ビデオカメラを持ってくれば良かったと深く後悔した。


その雰囲気に、蒼ちゃんはタジタジになり、照れながらソソクサと席に戻っていった。


無事、全員の自己紹介が終わった。


「はいっ。ええーと、途中で大盛りあがりのようだったけど(男女共に、照れた)楽しい自己紹介だったようですね。では、LTは終了。この後の授業も頑張れ」


そう言うとLTは終了した。


(はぁー、LTって良いね)


僕は、大満足だった。

そして、その後の授業も何事も無く終わって家に帰った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ