一ヶ所目 1
「ぐしゅ‥‥欧介君……や‥やっぱ卒業式って感動だねっ……うえっ……」
春の日差しがポカポカの今日この頃、イカ臭い男達が歌う低音校歌に包まれながら、ベストフレンドの宗男君ことムネリンが涙を流して言った。
「そ。そうだね……ハ‥ハッハ…」
(そんな、感動できるのかな?)
我ながらドロッとした相槌を打ってしまう。
(今日で、華の高校生活ともお別れ。思い返せば男だらけで…友達はムネリンを含めオタクばかりだった。我が青春は地下アイドルとのチェキとおでん缶に彩られた三年間だった…)
そんなこんなで、気づけば僕が通う銘東男子高校卒業式も終了し、有志7人と地下アイドルで企画した、銘東卒隊式も閉幕していた。
最後まで惜しまれつつも第二次銘東卒隊式の参加を拒否して家路に着く。
「欧介、卒業しても、ずっと一緒にいてね…約束よ」
「安心してよ。どんな障害や困難が二人を隔てても、僕の背中に生えた愛の翼で二人を阻む壁を飛び越えてみせるから」
「欧介、大好き」
「僕もだよ…○○子」
バス停で甘い妄想に浸っていると、フンワリと優しい香りがした。
香りの方へ顔を向けると、女子高生が立っていた。
初投稿しました。
まだまだ未熟者なのでご指導をお願いがします。