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神様へと祈りを込めて  作者: 暦海


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神様ご降臨?

 ――それから、数日経て。



「どうかした? 陶夜(とうや)くん」 

「あっ、いえ……ただ、綺麗だなって」

「……へっ? あ、いや、確かに私は綺麗(そう)だけど、流石に急に言われると照れるよ……」

「自分で言っちゃった!? あっ、いえもちろん風奈(ふうな)さんはとてもお綺麗なのですが、今僕が言ったのは――」



 放課後、依月神社にて。

 どういう経緯か、さながらカップルのようなやり取りを交わす僕ら。……いや、まあどういう経緯も何もご覧の通りなのですが。ただ、それはそうと……うん、なんかすっごい恥ずかしい! お願い、誰かツッコんで!



「……なるほど、そういうことか。ほんと、びっくりしちゃったよ。突然、面と向かって綺麗なんて言うんだから……」

「……あ、はい、すみま、せん……?」


 その後、軽く事情を説明すると納得したように答える風奈さん。……あの、風奈さん? 確かに、結果的にはそうなったかもしれませんが……でも、それまで違うとこ見てましたよね? 僕。



 ともあれ、本題に戻りまして――結局、何のお話かというと……さっきまで僕が見ていた、境内の隅に凛然と立つイチョウの樹についてでして。



「それにしても、随分じっと見てた気がするけど……好きなの? イチョウ」

「……そう、ですね。昔から、イチョウを眺めながら歩くのは好きでした」

「……そっか」  


 その後、どこか楽しそうな風奈さんの問いに沁み沁みと答える僕。昔、両親と一緒に見に行ったイチョウがあまりにも綺麗で、それからずっと――


「……まだもう少し先だけど、秋になると葉っぱが金色に染まる……その景色がすっごく好きなんだ、私」

「……はい、分かります風奈さん」

「ほんと? だったら、約束しよ? 金色に染まったイチョウを、またここで二人で見るって」


 すると、ふとそう告げる風奈さん。真剣な()で、僕を真っ直ぐに見つめて。そんな彼女に対する答えは……まあ、考えるまでもないよね。


「……はい、もちろ――」

「…………へっ?」


 もちろんです――そう答えようとするも、不意に言葉が止まる。と言うのも――



「…………あなた、は……」



 一つに束ねた銀髪を纏う、風奈さんによく似た清麗な少女が茫然とした表情(かお)で呟いて……うん、なんだか最近あったよね、似たような場面(シーン)



 ともあれ……さて、どうしよう。いや、どうしようも何も、まずはやっぱり――


「……あの、僕は(きり)さ――」

「――ひょっとして、姉さんの彼氏!? いやーだったら早く言ってくださいよ! 全く水臭いんですから!」

「へっ? あっ、いやそういうわけじゃ……」


 すると、目を輝かせ捲し立てる少女。そして、そんな彼女にたどたどしく答える風奈さん。……うん、なんだかごめんなさい。


 まあ、それはともあれ……彼女の容姿、そして風奈さんに対する呼び方からも、やはり――



「あっ、自己紹介がまだでしたね。私は依月(いづき)光里(ひかり)。そこにいる風奈の四つ下の妹で、神様を務めています」



 そう、朗らかな笑顔で告げる美少女。お姉さんそっくりの、眩いほどの笑顔で。……うん、まあ、何と言いますか――



「……その、変な――いえ、たいへん個性的なご姉妹ですね」

「ごまかしきれてませんけど!?」





 

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