彼女のいない日々
――それから、数週間経て。
「…………はぁ」
茹だるような暑さも随分と和らいできた、10月中旬の頃。
茜に染まる空の下、閑散とした住宅街を溜め息と共に歩いて行く。尤も、帰宅途中というわけでもなくただ宛もなく彷徨い……うん、何してるんだろうね僕は。
……あっ、ちなみに以前の件とは関係なく。と言うのも――あの翌日、会ってすぐさま謝罪。すると、どうしてか風奈さんまでこちらこそごめんと謝罪を……ともあれ、そういうわけであの件はひとまず解決……いや、そもそも何を以て解決と呼ぶのかも分からないけど。
さて、話を戻すと――なので、この溜め息は以前の件とは関係なく。では、何の件かというと……今、風奈さんが京都にいないことに関してで。
とは言え、何か由々しき事態が生じたとかそういう話ではなく――今、彼女は楽しい修学旅行の真っ只中で。なので、憂うどころか喜ばしいことだし、僕としても存分に旅行を満喫してほしいと思っている。なのに……うん、寂しい。ほんの……たったの三日会えないだけなのに、どうしてかこんなにも――
「…………あ」
ふと、声が洩れる。そんな僕の視界には、例の路地裏――どうやら、我知らず来てしまっていたみたいで。だけど……うん、もちろん入るわけにはいかない。尤も、神社なのだし参拝客として入る分には問題ないのかもしれないけど……でも、風奈さんのいない時だとやはり気が引け――
「――おや、陶夜さんではありませんか」
「…………へっ?」




