忘れちゃった?
「――ふぅ、楽しかったぁ!」
「はい、そうですね風奈さん」
「ええ、ちょっと筋肉痛になりそうなのが心配ですが」
「普段から運動してないからだよ、光里は。これを機にちょっとはしたら? ねえ? ロリコンくん」
「……いや、ですからそう言われると返答しづらいのですが」
それから、一時間半ほど経て。
すっかり金色に染まった帰り道を、和気藹々とした雰囲気で歩いて行く僕ら。風奈さんの言うように、本当に楽しかった。楽しかったの、だけども……あの、そろそろ控えていただけません? その呼び方。
「あっ、ところで光里。最初以降、なんだか随分と調子が悪くなっちゃったみたいだけど……いったい、どうしちゃったのかな?」
「……まあ、手加減してあげたんですよ。あまり独走してしまっては、お二人が可哀想ですから」
「ふーん、それはそれは。お優しいねえ我が妹は」
「ふふっ、いつもながら仲が良いですねお二人は」
「……あの、陶夜くん。もちろん仲が良いのは否定しないけど……今、そう見えたの?」
すると、僕の言葉に何処か戸惑った様子で尋ねる風奈さん。……へっ? どう見ても仲良しご姉妹にしか見えなかったのだけど……あっ、そう言えば呼び方が戻ってる。……ふぅ、良かった。
「――それでは、僕はここで。今日もありがとうございます、風奈さん、光里さん。またお会――」
「――ん? なに言ってるの陶夜くん?」
またお会いしましょう――そんな僕の言葉を遮る形で不意に尋ねる風奈さん。……あれ、なにか変なこと言ったかな? それに、心做しか――
「――あれ、忘れちゃった? さっき言ったよね、後で部屋に来てって」
そう、満面の笑みで告げる風奈さん。……うん、意外と根に持ってました?




