少しお疲れ?
「……ほぉ、なかなかやるねえ陶夜くん。まあ、私にはまだまだ及ばないけど」
「ええ、流石です陶夜さん。素人目にも、姉さんのまぐれとはまるで違うのが分かります」
「うん、後で体育館裏に来ようか光里」
「……あはは、ありがとうございますお二人とも」
その後、ほどなくして。
ご姉妹の称賛……と言うか、お二人のやり取りに苦笑いで答える僕。……いや、体育館裏て。
さて、僕の結果は一投目8ピン、二投目2ピン――即ち、スペアという内容で……ふぅ、どうにか上手くいって良かっ……あっ、もちろん下から投げましたよ?
「……さて、それでは私の番ですね」
「はい、頑張ってください光里さ……あっ、でもリラックスして――」
「ふふっ、どっちなんですか陶夜さん」
その後、そんなやり取りを交わした後ゆっくりとレーンの方へ向かっていく光里さん。……ただ、なんと言うか――
「……ふふっ、ありがとうございます陶夜さん。お陰さまで助かりました」
「……いや、なんで楽しそうなんですか」
そう、どうしてか楽しそうに謝意を告げる光里さんに少し呆れて答える僕。……いや、もちろん何を着てても良いのだけど……でも、そりゃ転びそうにもなりますよね、その服装では。
ともあれ、再び優雅にレーンの方へと歩いて行く光里さん。そして、小さな身体に不釣り合いな最大サイズのボールをゆっくりと転がし……うん、ほんとにそれで良かったの? 頑なに……どうしてか、頑なにそれが良いと言うので止めるのは躊躇われたけど。
ともあれ、ボールはゆっくりとピンの方へ転がっていく。……うーん、これではピンに辿り着く前に――
「…………あれ?」
左の溝に落ちると思われた直前、ぎゅんと右斜へと軌道を変える大きなボール。そして、そのまま先頭やや左側へと向かい――
「――やった、やりましたよ陶夜さん!」
「ええ、すごいです光里さん!」
そう、弾ける笑顔で僕に駆け寄りぎゅっと抱き締める光里さん。スポーツでは――とりわけ、大きな結果を残した後ではよくある場面。なので、恥ずかしながら僕もぎゅっと抱き締め称賛を送る。だって、光里さんも――
「――いや絶対おかしいよねぇ!?」
すると、不意に響いた鋭い声。光里さんと僕ではないので、必然声の主は一人に決まってくるのだけど――
「……あの、すみません……ですが、おかしいとは? 誠に見事なストライクだったではありませんか、風奈さんと同じく」
「いや同じではないよね!? 百歩……いや億歩譲ってストライクは認めてあげるにしても絶対に同じではないよね!?」
すると、心外とばかりに強い口調で捲し立てる風奈さん。いや億歩って。それはもう認めていないも同然なのでは? ……ふぅむ、いったい何がそれほどにご不満なのだろ――
「……いや、見てたよね陶夜くん。あんな曲がり方、普通に考えてありえないでしょ。こやつが魔法使ったんだよ、あれ」
すると、なかなか答えに辿り着かない愚鈍な僕に呆れたように告げる風奈さん。だけど、そんな彼女の説明に申し訳なくも首を傾げる僕。と言うのも――
「…………へっ? 確か、魔法少女は風奈さんのはずでは――」
「それはもう忘れて!!」
「……全く、姉さんってば……そんなファンタジックな能力、この世に存在するはずないでしょう。ねえ、陶夜さん?」
「はい、光里さん。ひょっとして、少しお疲れではないでしょうか風奈さん。でしたら、ひとまずゆっくりお休みに――」
「うん、君はもうわりと経験してるよね? 急に謎の鳥居が出てきたり、かと思えば神社にワープしたり結構なファンタジックを経験してるよね?」
すると、なおも不服そうにそう口にする風奈さん。なるほど、言われてみると確かに……でも、だからと言って光里さんが先ほど能力を使ったということには――
「――うん、分かったよ。陶夜くんが可愛い幼女だ~い好きだってことが、今日よ~く分かったよ」
「……いや、誤解にもほどがあるのですが」
すると、満面の笑みで告げる風奈さん。……でも、気のせいかな? その表情とは対照的に、温度という温度が一切感じられない。……うん、困ったね。あと、光里さんって幼女なの?




