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神様へと祈りを込めて  作者: 暦海


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あまりの衝撃?

「……ところで、あまりの衝撃でつい忘れてたけど好きな本の話だったよね? ……うーん、そうだね……色々あるけど、夏目(なつめ)漱石(そうせき)とか芥川(あくたがわ)龍之介(りゅうのすけ)とかかなぁ。陶夜(とうや)くんは?」

「……へぇ、そうなんですね。僕も好きです、そのお二方」

「ほんと? そっか、嬉しいなっ」



 その後、本題に戻りほのぼのと話す僕ら。それから続けて、数名の作家さんの名前を挙げる風奈(ふうな)さん。その大まかな傾向から、彼女は近代――中でも、主に明治から大正に掛けての作家さんが好きなのかなと思ったり。


 ところで、彼女の挙げた作家さんが好きだというのは本当だけど……やはり、ここは僕からも挙げた方が良いかな、なんて思ったので――



「――それから、坂口(さかぐち)安吾(あんご)太宰(だざい)(おさむ)も好きかもです」

「あっ、そうなんだ! ちょっと前、ネットで調べて読んでみたいなと思ってたんだ、その二人! いやー私とは時代が違うからまだあんまり知らなくってさ」

「僕も違いますけど!?」



 ともあれ、その後お互いにこの作品のどこが好きなどの話で盛り上がる僕ら。あっ、しつこいようですが場所が場所なので声は抑えめに。

 他にも、広大な館内からお互いの本を選ぶという陰キャラでコミュ障の僕にとっては非常に新鮮な遊びを楽しんだり。そして、入館から数時間後――



「――いやーほんと楽しかった! また行きたいね、陶夜くん」

「はい、是非。僕も本当に楽しかったです、風奈さん」



 空がほんのり橙色を帯びる頃、和気藹々とした雰囲気(くうき)で帰り道を歩む僕ら。うん、本当に楽しかった。是非また行きたいし、きっとその機会もあるだろう。



 ただ……うん、この楽しい雰囲気(くうき)に水を差すのもどうかとは思う。思うのだけど、それでも――



「……ときに、風奈さん。その……宿題はどうしましょう?」

「…………うん、それは言わないで?」



 


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