重大なお話?
「……さて、陶夜くん。今日、君に来てもらったのは他でもない――それはもう、天地を揺るがすほどの重大な話があるからなんだよ」
「……いや、わりとしょっちゅう来てるかと。あと……すみませんが、その前振りから重大な話が来る気がまるでしないです」
それから、およそ一週間経て。
夏休みも終わりに近づいた頃、和の風情漂う穏やかな居間にて。
そう、何とも深刻な表情で告げる風奈さん。だけど、申し訳ないけど壮大なフリにしか聞こえない。
……いや、でも決めつけは良くないか。ひょっとすると、万が一にも本当に大変重大なお話かも――
「――なんと、このわたくし……このままでは、宿題が終わらないかもしれない大ピンチなのです!」
「やっぱりしょうもない内容だったよ!!」
「ちょっと陶夜くん、しょうもないとは何かなしょうもないとは!! いくら陶夜くんでも、言って良いことと悪いことがあるとお姉さんは思うよ!」
「いやもちろん言って良いことと悪いことはありますよね!! そして、これは言って良いことだと脊髄反射で判断したんですよ!!」
「脊髄反射で!?」
――とまあ、こんな具合に馬鹿なやり取りを交わす僕ら。……いや、まあ、流石にしょうもないは言い過ぎたかもしれない。しれないけど……うん、あまりに壮大なフリだったのでつい。
「……ともあれ、纏めますと――つまりは、まあまだ大丈夫だろうと高を括りに括りのんびりしていたら、いつの間にやらあれよあれよと時間は経ち……そして、今に至ると」
「なんか言い方に悪意がない!?」
ともあれ、そう纏めると甚く不服そうにツッコむ風奈さん。いや、悪意はないけども……まあ、ちょっと意地悪な言い方はしちゃったかな?
まあ、それはさておき……うん、何とも典型的な理由だ。なので、別段驚くこともないのだろうけど――
「……だいたい、そういう陶夜くんはどうなの? 私には言っておいて、自分は全然進んでない、なんてことはないよね?」
すると、ジトッとした目でそう問い掛ける風奈さん。なるほど、確かにその気持ちも分かる。自分が出来ていないとはいえ、同じく――それこそ、自分以上に出来ていない人にさも呆れたように言われるのは癪だろう。なので――
「…………へっ? 宿題って普通に進めてて残ることあります?」
「今日の陶夜くんなんか嫌だ!!」




