いざ尋常に?
「――だるまさんが……転んだ! ……ふふっ、なかなかやるね陶夜くん」
「……お褒めにあずかり光栄です、風奈さん」
それから、十数分経て。
公園隅の樹の前にて、こちらを振り返りそう口にする風奈さん。ちなみに、この十数分ほぼずっと対決をしていて。……うん、冷めないといいんだけど、タコ焼き。
正直、僕としては負けてもいい……と言うか、負けて是非とも風奈さんに最後の一つを美味しく召し上がってほしい。でも……まあ、わざと負けたりしたら納得しないのは目に見えてるので。……さて、どうしたものか。
――それから、更に数十分経て。
「……ふぅ、やるね陶夜くん」
「……風奈さんこそ、流石です」
そう、お互い呼吸を整えつつ応酬をする僕ら。あの後もずっと転んでは止まり……いや、転んではないか。ともあれ、ずっとだるまさんが転んだで対決していて……ふぅ、流石に疲れた。こんな終わらないものだっけ、この遊戯。
…………だけど。
「――だるまさんが~」
そう、顔を附せ唱える風奈さん。その声からも……そして、それまでの表情からも凄く楽しそうなことが伝わる。そして、それは僕も同じで……ほんと、こんな馬鹿みたいな時間がずっと――
「――転んだ!」
「…………あ」
「ふふっ、私の勝ちだね」
そう、可笑しそうに微笑み告げる風奈さん。理由はもちろん、振り返った彼女の目に動いたままの僕が入っていたから。ともあれ……そんな彼女を見ながら、僕も思わず微笑んだ。




