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key〜光の先へ〜  作者: 初 未来
第5章 科学技術の王国

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第5章 (11)訓練

 スコールとバッシュが訓練場に戻ると、そこにはすでに苛立いらだちを隠せないリズの姿があった。彼女は腕を組み、冷たい視線をスコールに向けている。その隣で、エライザとアリサは、少し緊張した面持ちでハンドガンを構えていた。


「スコール!遅い!すぐ終わるって言ったわよね?」


 リズの声が、広い訓練場に響き渡る。スコールは、そんなリズの怒りを気にも留めず、ひらひらと手を振った。


「ごめんごめん!ちょっと道草しちゃってさ。まあ、たまにはいいだろ?」


「良くありません!わたくしたちは、一分一秒を無駄にできませんのよ!」


 リズはそう言って、スコールをにらみつけた。しかし、スコールは涼しい顔で、エライザとアリサに話しかけた。


「どうだ、二人とも。ハンドガンの調子は?」


 エライザは、手に持ったハンドガンをじっと見つめ、静かに答えた。


「はい…少し、重いです。」


 アリサもまた、ハンドガンを構えながら、口を開いた。


「でも、なんだか、不思議な感じだね。これで本当に魔法が撃てるなんて…」


「それじゃあ、まずは基礎から始めましょう。」


 リズは、二人の言葉を聞くと、スコールから視線を外し、再び真剣な表情に戻った。


「あなたたちのやることは、とても単純ですわ。このハンドガンに込められた魔力を、正確に標的に撃ち込むこと。いいですか、重要なのは、『狙い』と、そして『集中力』です。」


 リズはそう言って、訓練場の壁に設置された小さな標的を指差した。その標的は、魔導の力で常に動いている。


「さあ、まずはアリサ。構えて。」


 アリサは、言われた通りにハンドガンを構えた。その手は少し震えている。


「引き金を、ゆっくりと引くのです。呼吸を整え、狙いに集中する。大丈夫、あなたにはできますわ。」


 リズの静かな励ましの言葉に、アリサは深く息を吸い込み、狙いを定めた。


 パーン、と乾いた音が響き、ハンドガンから閃光が放たれた。しかし、その弾は、狙いを大きく外れ、壁にぶつかって消えた。


「くっ…」


 アリサは悔しそうに顔を歪めた。


「大丈夫よ。次は、エライザ。あなたの番ですわ。」


 リズの言葉に、エライザは静かにハンドガンを構えた。彼女の手は、アリサとは違い、微動だにしない。彼女の透き通った瞳は、ただひたすらに、動く標的を追い続けていた。


 パーン、と音が響く。放たれた閃光は、正確に標的の中心を撃ち抜いた。


「すごい!エライザ!」


 アリサが、驚きの声を上げた。リズは、わずかに目を見開き、そして、満足げに頷いた。


「驚きました…素晴らしい集中力ですわ、エライザ。あなたは、このハンドガンを使いこなす才能があるのかもしれません。」


 リズの言葉に、エライザは少し照れたように微笑んだ。


 バッシュは、そんな彼女の様子を、静かに見つめていた。彼女が、自分のために戦う力を手に入れようとしている。その姿は、彼の心に、新たな決意を刻み込んでいた。


 エライザとアリサの訓練が始まったのを確認すると、スコールはバッシュを促した。


「さあ、こっちだ。お前には、お前にしかできないことをしてもらう。」


 スコールは、バッシュを訓練場からさらに奥にある、まるで巨大な図書館のような部屋へと連れて行った。そこは、天井まで届くほど高い本棚が何十も並び、古びた紙の匂いが満ちていた。しかし、その本棚には本ではなく、無数のガラス製の円筒が隙間なく収められている。円筒の中には、色とりどりの液体が満たされ、まるで生きているかのように微かに光を放っていた。


「ここには、この国が持つ知識が眠っている。」


 スコールがそう言って、壁に埋め込まれたパネルを操作する。すると、円筒の一つが、静かに光を放ち、二人の手元へと浮き上がってきた。


「これは、魔力解析の記録。そして、こっちは…」


 スコールは次々と円筒を浮かび上がらせ、説明を続ける。バッシュは、その光景をただ黙って見つめていた。彼の知る世界とはあまりにも違いすぎる。


「で、だ。お前にしかできない訓練というのは、この知識を読み取ることだ。まあ、訓練というか作業だな。」


 スコールの言葉に、バッシュは戸惑いを隠せない。


「読み取る…?」


「ああ。これらのデータは、魔力で記録されている。魔力を使える者でなければ、読み取ることができないんだ。このローレルでは、国の上層部と俺とリズくらいしか、まともに読み取れないからな。」


 スコールはそう言って、バッシュに円筒を差し出した。


「お前は、魔力が使える。そして、その指輪。それらが、この魔力データと、何か共鳴するんじゃないかと俺は踏んでいる。それはどう見ても魔導回路に近い構造に思えるんだ。同じように見えるが違う…怪しいだろ?実験だ。」


 バッシュは、スコールの言葉に静かに頷き、差し出された円筒に手を伸ばした。彼の指先が円筒に触れた瞬間、円筒は強い光を放ち、その光はバッシュの指輪と共鳴を始めた。そして、彼の頭の中に、無数の光景が流れ込んできた。


 それは、遥か昔の、記憶だった。

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