第三章: バリアを壊せ!
モクバ爺さんが導く先は、リセスタウンの外れにある、古びた神殿のような場所だった。そこには、長年誰も近づくことのなかったバリアが静かに立ちふさがっている。ジョーカーたちは、モクバ爺さんの指示に従い、その前に立った。
「これが、バリアか……」スゴロク・ゴローが息を呑んだ。
「どんなに強力な技でも、このバリアを突破するのは簡単なことじゃない。しかし、無理ではない。お前たちが本気でやり遂げたいと思うなら、力を合わせるんだ。」モクバ爺さんの言葉に、仲間たちは一層決意を固める。
「本気だよ!俺たちは、絶対に諦めない!」ジョーカーが力強く答えると、みんなも頷き、準備を整えた。
オセロが前に出て、真ん中で髪が白黒に分かれている自分の姿をしっかりと確認し、こう言った。
「俺の力も、このバリアを壊すために使う。白と黒、どちらも必要だ。」
その言葉に、ジョーカーは目を輝かせた。
「よし!俺たちの技を見せつけてやろうぜ!」
それぞれが準備を始め、ディアは周囲のエネルギーを吸収しながら静かに手を振り上げ、ゴローはその場でスゴロクのコマを回しながら構えた。
「じゃあ、行くぞ!みんな、力を合わせて!」ジョーカーが叫び、全員がその場に集中した。
その瞬間、バリアが微かに揺れ動き、まるで中から何かが反応しているかのようだった。
「何だ?」オセロが驚いて後ろを振り返ると、モクバ爺さんがゆっくりと杖を上げた。
「これが、俺たちの力だ。お前たちが持っている本当の力を使え。」
ジョーカーが大きく息を吸い込むと、心の中で何かがひとつにまとまるのを感じた。次に、彼の目が強く輝き、彼のカードが空中で舞い始めた。そのカードはひとつひとつ、光を放ちながらバリアに向かって飛び、全身を貫くような力が流れ込んだ。
オセロも白と黒のエネルギーを引き寄せて、バリアを一気に包み込む。白と黒が交錯し、バリアにひときわ強い衝撃を与えた。
ゴローはコマを手に取って、無言で空中に放り投げた。そのコマが回転を始めると、周囲の空間が歪み、バリアを中心に渦巻きが生まれる。
「これで――!」ジョーカーが叫び、みんなで力を込める。
バリアがとうとうひび割れ、そこから一筋の光が漏れ始めた。その光が次第に強くなり、バリアは完全に消え去った。
「成功だ!」ジョーカーが勝ち誇ったように叫ぶと、みんなが喜びの声を上げた。
だが、その瞬間、リセスタウンの他のキャラクターたちが驚きながら駆け寄ってきた。
「お前たち、何をしてるんだ?」トランプ・ジョーカーが一歩前に出て、言葉を続ける。
「バリアが壊れて……まさか人間界に行くつもりじゃないだろうな?」
ジョーカーがその質問に真剣な眼差しで答える。
「俺たちは、もっと遊ばれなきゃいけないんだ。ゲームのキャラだって、もっと愛されていいはずだろ?」
オセロが横から口を挟んだ。
「それに、俺たちは本当の力を見せつけたいんだ。」
その瞬間、古いキャラクターたち――かつて人気があったが今ではほとんど遊ばれないゲームキャラクターたちが、愚痴をこぼしながら現れた。
「お前たち、いいよな……まだ遊ばれてるんだから。俺たちなんか、誰も遊んでくれないんだぞ!」
モクバ爺さんが静かに言った。
「お前たちがどれだけ幸せだったか、今の若い者たちにはわかるまい。」
ジョーカーはその言葉を静かに聞きながら、心に決めたことがあった。
「俺たちができることをやるんだ。」
その後、ジョーカーたちはいよいよ人間界に足を踏み入れる――次の冒険の始まりだった。