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003

投 宮部 裕太 1年 ユータ

  右投右打 176cm 65kg

捕 早乙女 颯 2年 ウー先輩

  右投右打 177cm 78kg

一 小林  賢 2年 コバケン先輩

  右投右打 169cm 70kg

二 土屋 春馬 1年 ツッチー

  右投左打 162cm 49kg

三 馬渡  彰 1年 アッくん

  右投右打 182cm 71kg

遊 織田 光成 1年 ミッチー

  右投左打 161cm 48kg

マ 咲良 小春 2年 コハル先輩  159cm

マ 望月 秋葉 1年 アキバちゃん 152cm

サ 七瀬 千夏 中2 147cm

 高校のグラウンドに到着する。

 おれが一番乗りだった。

 暖かい日差しを浴びて深呼吸をすると、自転車を漕いで熱くなった体内から白い息が漏れ出る。

 心地良い、最高の昼だ。


 グラウンドとは言ったものの、所詮は田舎の県立高校の運動場だ。

 しかし、それでも球児にとっては神聖な場所であることは間違いない。

 一礼して一歩踏み入る。

 今朝、母さんに貰ったランニングシューズの裏で、土の感触を確かめると、忘れていた何かが込み上げてくる。


「オッス!」


 後方の声に振り向くと、アッくんが立っていた。

 男の俺から見ても、この高身長イケメンはスポーツウェアに野球帽がよく似合っている。

 しかも野球センス抜群なのだから、憎いを通り越して憧れさえ覚える。


「30分前に着いちまったと思ったらユータも同じだったか」


「うん。アッくんも早いな」


 そこから数分も経たないうちに、続々と仲間が集まり始める。


「うぃーす。アッくん、ユータ」


 声を揃えてやって来たのはツッチーとミッチーの俊足二遊間コンビ。


「はっはっは! 俺だけじゃなくやっぱお前らも早かったか!」


 筋肉ゴリラこと主将(キャプテン)のウー先輩。


「やっぱり集合時間より早かったですね。きっと皆さんお昼もろくに食べていないと思って、コハル先輩とおにぎり作ってきましたよ」


「食べて」


 ラップに包まれた海苔おにぎりを持って、マネージャーのコハル先輩とアキバちゃんもやって来た。

 コハル先輩の声は相変わらず小さくて、耳を澄まさないと聞こえにくい。


「これはありがたい! お前ら昼飯は食ってきたか?」


 ウー先輩の問いに、全員が首を横に振る。

 かく言う俺も、早くグラウンドに向かいたい一心で、昼飯は食べていなかった。

 俺と同じで、みんな同じように野球部活動が待ち遠しかったのだ。


 誰かの、というか全員の腹が鳴る音がする。

 高校生男子、高校球児にとって、おにぎりが垂涎の的であることは否めない。

 コハル先輩とアキバちゃんの手元に目を惹きつけられていると、遠くで声が聞こえてくる。


「遅くなってごめぇーん!」


 大きな体を揺らしながら、コバケン先輩が走ってきた。


「朝からお餅食べ過ぎちゃってさぁ!」


 コバケン先輩の走る姿に、俺たちは顔を見合わせてクスリと笑う。


「大丈夫だ! まだ集合時間にはなってないぞ!」


 ウー先輩の声にコバケン先輩は安心したようににっこり笑い、そしてマネージャー2人が持つおにぎりを見つけると、我先にと手に取るのだった。


「コバケン! さっき餅食い過ぎたって言ってただろ?」


「おにぎりは別腹だよぉウータン」


 2年生コンビのやりとりに、その他全員は苦笑いだった。

 さて、腹を満たした俺たち野球部6人とマネージャー2人を合わせた計8人は、主将(キャプテン)であるウー先輩を中心に半円を組む。

 時刻はちょうど集合時間である13時になったばかりだ。


「みんなよく集まってくれた! 今日から活動再開だ! 不甲斐ない主将(キャプテン)だが、これから夏までよろしく頼む!」


「はいッ!」


「まずは選手6人、マネージャー2人からのスタートだが、冬休みが明けたら部員を勧誘して新チームを作ろう!」


「はいッ!」


「よし、いい返事だ……全員走るぞ!」


 ウー先輩の号令を合図に、俺たちは走り出す。

 神社まで走って30分はかかるだろうが、ペース配分なんて考える余裕もなく、全員笑いながら全力疾走だった。

 みんな、早く体を動かしたくて仕方ないんだ。

 マネージャーの2人も後ろから自転車で着いてくる。

 白い息を吐きながら、体と心を熱くして、俺たち野球部の活動がスタートした。


 神社に着いた時には、みんな息を切らしていたが、しかし全員表情は明るい。

 田舎の小さな神社とは言っても初詣に来ている人は多い――まあ、よくある正月の風景である。

 俺たちは野球部復活を胸に神頼みをして、学校に向かって再び走り出した。


 冬空の下、じわりとした気持ちのいい汗がアンダーシャツに染みる。

 グラウンドに着く頃には十分に体は温まっている。


「よーし、キャッチボールだ!」


「よっしゃー!」


 ウー先輩の号令に、全員が少年のように飛び跳ねる。

 ボールを投げて、ボールを捕る。

 ただそれだけなのに、野球小僧たちにはそれが楽しくて仕方がないのだ。


 ウー先輩とコバケン先輩。

 ツッチーとミッチー。

 アッくんと俺。


 笑いながら、何かを思い出しながら、これからのことを考えながら、疲れて腕が上がらなくなるまで、マネージャーの2人が呆れて座り込むまで、俺たちはキャッチボールを続けるのだった。

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