【2-2】新しい出逢い
**瘴気の調査**
国全体に広がる瘴気の異常事態は、
王城騎士団の副団長である
アレン・ヴァルディエールにとって、
見過ごすことのできない問題となっていた。
瘴気が影響を与えた動物たちが凶暴化し、
人々や街を襲う事例が増加していたのだ。
彼らは瘴気の発生源を探し出し、
原因を究明するため、
証言があった地域を中心に
国中の各地を調査に出ていた。
アレン「次はここか…」
アレンは手にした地図を見つめ、
そこに記された森の名前に目を細めた。
瘴気の報告は徐々に増えており、
今やその範囲は広がり続けている。
この森も例外ではない。
だが、どこか不安を感じる。
ここまでの調査で訪れた場所はどれも、
どこか重苦しい空気が漂い、
汚染された土地ばかりだった。
しかし、
この森には奇妙なほど空気が軽い、
清らかな気配すらあった。
アレン「…妙だな」
森の中に一歩足を踏み入れた瞬間、
アレンはその澄んだ空気に驚いた。
瘴気に覆われた土地とは対照的に、
ここでは心が洗われるような感覚が広がる。
しかし、同時にその違和感が、
彼の胸に小さな警戒心を抱かせた。
アレン「油断は禁物だ。
これまでの場所とは違う様子もあるが、
それだけに何か隠されているかもしれん。」
部下たちも同様に
森の異様な空気を感じ取りながら、
警戒を怠ることなく進んだ。
瘴気に冒された生き物が
いつ現れるかは分からない。
彼らは、常に剣の柄に手をかけ、
周囲を見渡しながら進んでいく。
隊員「副団長、こちらに湖のような水辺があります。
調査の拠点に適していそうです。」
前方を偵察していた部下が戻り、
アレンに報告した。
その言葉に、
アレンは一息ついてその方向へと向かった。
森の奥に足を踏み入れると、
そこには息を呑むような美しい湖が広がっていた。
木々に囲まれ、
陽の光が湖面に反射して神秘的な輝きを放っている。
澄み切った水は穏やかに揺らぎ、
その静けさが心に安らぎを与えるかのようだった。
アレン「ここなら安全そうだ…
数日間の拠点として十分だな。」
アレンは湖を眺めながらそう呟いた。
これまで調査してきた荒れた土地とは違い、
この場所には森の神秘的な力が
宿っているように感じる。
騎士たちは荷物を下ろし、
周囲の警戒を続けながら休息の準備を始めた。
アレン「この広い森全体を調査するには、
時間がかかるだろう。
ここを拠点に、
周囲を慎重に探っていくしかない。」
アレンは湖畔に立ち、
遠くを見つめながら、
瘴気の真の原因を探り出す決意を胸に固めた。
この静かな森には、
何か秘密が隠されている
――その確信が、彼の心の中に刻まれていた。