ミサ・シルキールとの話し合い?
三人でテーブルに着く。ミサさんと言われる女と対面になるように座る。黒髪で身長は百六十あるかないかくらい。清楚そうで話し方は優しくゆるい感じだ。どこかの店で働いているのかエプロン姿である。
「お話しましょ〜?」
「「…」」
ゆるい感じで言ってるが目が笑ってない。
「先ずは自己紹介ですね〜?私、ミサ・シルキールと言います。よろしく〜」
「あっ、えっと、神道 遮です。よろしくお願いしま…」
「単刀直入に聞きますがぁ、あなた、犯罪者ですね?」
「そうみたいです…」
「言い訳しないんですね?」
「言い訳しても意味が無いので…」
多分、俺の口からだと何言っても意味が無い。
「ふぅーん、で、ティーネちゃんは襲われたの?」
「違う、襲われてないよ」
「フゥーン…自分から誘った変態?」
「へ、変態…」
悲しそうな顔をするのかと思いきや顔が真っ赤になり下を向いた。(否定しないのかよ…)
「通報してい〜?」
「ダメ!やめて!あれは、熱出した私を看病してくれてたの!」
テーブルに手を付き立ち上がり怒鳴る様に言う。こんな姿は初めて見た。
「そっか〜、なんで庇うの?」
「庇ってない…」
「庇ってるよ」
ゆるい話し方が一変、怒鳴る。
「庇ってなんか…」
「なんで、そんな悪人を庇うの!睡眠削って、仕事時間伸ばして、なんで倒れるまでそんな事するの!お金が足りないのは、その汚い男を匿ってるからでしょ!さっさと憲兵とかに突き出せば、そんなお金なんかに困ることもないのに…なんで!」
「汚くない、サエギさんは汚くない!そんな事言わないでよ!何も知らないで、見た目だけで判断しないでよ!」
「何も知らないよ…でも、傍から見ても汚いでしょ!太ってて、醜い顔で、臭いし、ティーネちゃんにずっと養って貰ってて、こんなクソ人間…ティーネちゃんが体を張ってまで守りたいの?私はティーネちゃんが頑張るのは違うと思う!」
「違くない…!サエギさんはかっこいいの!一生懸命に生きてきて、私がやらないとこの人はずっと不幸のままなの、私が好きでやってるの口出さないでよ!」
「嫌だ、それで不幸になったら…私はティーネちゃんが幸せになら…」
突然、ティーネはミサの胸ぐらを掴み頬を引っぱたいた。
「えっ…!」
ミサも叩かれるとは思っていなかったようで放心する。
「なんで…なんで…なんでなんでなんで…こんなに心配してるのに!」
ミサもそんなティーネの行動に反撃をする。
「きゃぁっ!」
ティーネを突き飛ばし馬乗りになる。そしてティーネの頬に平手打ちをする。
ティーネは負けじ抵抗する。
しばらくするとエスカレートしてきて掌ではなく拳で殴り合いに…。
流石にまずい止めないと!
「二人とも辞めて、このまままだと…」
「「うるさい!!」」
「うぐっ…!」
二人に蹴飛ばされてドアの方に転がった。
止められない。本当に無力だ。きっと力は俺の方が強いはずだ。だが、どうしてもそれを向けられない、こんな時でも。
髪の毛を引っ張り合いながら暴言を吐き殴り合う。その姿を見ているのが辛い。
どうしたらいい。分からない。優しくしてくれた彼女に、それを思う彼女を傷つけないように…早く止めないと、ティーネは病み上がりなのに!
また止めに入ろうと立ち上がった時ドアの開く音がした。
振り向くと、黒いローブを着ていて三角帽子を深く被った少女が一人立っていた。
「はぁ、お前らなになってるんだ…」
二人の元に向かいながら呆れた声をかける。それを聞き二人は動きを止め入ってきた少女に目を向ける。
「先生…」
「えっ…」
ポツリと呟いた声に少女は振り向いて驚きの声を漏らした。