修道女のティーネ 2
彼は私に抱きついたまま寝てしまった。寝顔は見れない。とても、ドキドキする。私はおかしくなってしまったのだろうか?彼の匂いを嗅ぐ。酸っぱい匂い。だけど落ち着く匂い。
好き。会ったばかりなのに好きになってしまった。
一睡も出来なかった。
彼が目を覚ました。
「おはようございます」
声をかける。彼は状況を確認しようと動こうとするが、顔を胸に沈めているので動かれるととてもくすぐったい。
「あまり動かないでください。くすぐったいので…」
「俺は…」
状況がまだ呑み込めていない様だ。
「あのまま寝てしまったんですよ?覚えてますか?」
「…!あっ、あぁ、すみません、今どきます!」
彼は慌てて離れようとする。
彼が離れるのは少し寂しい。
「大丈夫ですよ。もう少し…このまま…良いですか?」
「…えっ?」
私は何を言っているのか分からない。寝ていないせいでおかしくなってしまっのだろう。
「その、温かくて、居心地が良いので…」
つい言ってしまった。とても恥ずかしい。
大きくて、温かくて、落ち着く。
なにか下の方に硬いものが当たっている。私だってそういう知識は多少ある。彼も男だ。しかも結構年は言っている。この状況では仕方がない。
我慢している姿はとても可愛い。
しばらくの間抱きしめていた。
「すみません。はしたない事してしまい」
「い、いえ、こちらこそすみません」
「?」
何故誤っているのかは大体予想はつくがここは分からないふりをする。はしたない女とは思われたくない。
突然、彼のお腹が鳴った。
「そうだ、ご飯!」
昨日はお茶だけで何も食べていない。彼はきっと私よりもお腹が空いているはずだ。
朝食の準備のため調理場に向かう。その前に着替えていないことを思い出したので寝室の方へ向かう。
「はは、すみません。長居してしまって。今出ていきますので…」
彼は起き上がり出ていこうとする。
私はそれを慌てて腕を掴んで止める。
「ご飯食べてください。準備しますので!」
「わ、分かりました…」
彼は断らなかった。
私は寝室へ向かい服を着替えるため今来ている服を脱いだ。
「えっ…!」
そこに彼は入ってきてしまった。
彼は目を直ぐに逸らし謝り戻って行った。
私は恥ずかしさで死にそうになる。
「朝食の準備が出来ました…」
未だに顔が暑い。彼も目を逸らしていて耳が真っ赤だ。
「す、すみません」
「大丈夫ですよ…その…手伝ってくれようとしていましたし…あれは事故なので大丈夫ですよ…」
彼は手伝おうとしていた。とても優しいくて嬉しい。だが、見られてとても恥ずかしい。
(こんな事ならもっと可愛い下着にすれば良かった。と思う。何故?好きだから。恋しているから。)
二人で一緒に祈りを捧げ朝食に手をつける。
「美味い!」
彼はパンをスープに漬けて美味しそうに食べる。
「ふふ、それは良かったです」
その姿を見ているだけでもとても嬉しい。
私もパンをスープに漬けて口に入れる。
そろそろ食べ終わりそうな頃、提案を口にした。
「しばらくの間、泊まってってください。」
彼は追われている。今出ればきっと捕まるだから…。
「すみません、それは出来ない。もしも匿っていることが知られたら貴女が危険だ。これ以上迷惑を掛けられない、だから…」
彼は私を気遣ってくれるとても優しい人だ。
「お気遣いありがとうございます。ですが、大丈夫ですよ。困ってる人を助けたいですし、それに、優しい方なので」
だから守りたい。彼と少しでも一緒にいたいのもある。
時計を見るといつの間にか出なければならない時間になっていた。
「あっ、そろそろ私行かないと」
立ち上がり、慌ただしく食器を片付け出掛ける準備をする。
「ドアは鍵閉めませんので、外出たい時は出て大丈夫ですよ。ですが、気を付けてくださいね。行ってきます!」
彼の返事を聞かず直ぐに出かけた。